13.

 水曜、一日部活が休みで、その後二日続けて部活。それから土日と休んでまた月曜から部活、というのが、一週間の流れだった。部活が休みの水曜日、俺は家でぼんやりと過ごしていた。友達から遊びの誘いがあったが、利香先輩との事を考えるとそれどころではなかった。

 デートで浮かれていたけれど、問題はそのあと、自分の気持ちと今後どうするかなのだ。それを思い出して、気分が沈んでいた。

 憂鬱に一日を過ごし、夜、日課の利香先輩へのラインは出来なかった。昨日も出来なかったから、二日続けてだ。

 朝、目が覚めるとラインの通知が入っている。利香先輩か、と思って寝惚け眼で慌てて確認すると、四ツ木先輩からだった。

『利香が、珍しく海堂からのラインがなかったっていってたけど、なんかあったか?』

 首を傾げる犬のスタンプ。

 利香先輩が気にかけてくれた事を知って、嬉しくて泣きそうになる。俺はやっぱり利香先輩が好きなのかもしれない。

『宿題やってたら寝落ちちゃって!』

 そう打ち込んで、送信しようとして――指が止まった。

 四ツ木先輩に打ち明けようか。そう思う俺が居た。

 勿論前世の話は伏せて、利香先輩が好きかもしれない、という相談だ。引かれる可能性はあったが、いいふらしたり、それで態度を変える様な人ではないと、信じられる。利香先輩にも俺にも近い場所に居る人なのだから、相談するには適任に思えた。

 がしかし、急に後輩から、同性の先輩を好きかもしれない、なんて相談されては四ツ木先輩も困るだろう。だが、この気持ちを一人胸の内に秘めているのも、限界だった。どうすべきか。迷っている間にもどんどんと時間が過ぎ――

「優衣、まだ寝てるの? 遅刻するわよ」

 母の声で、はっと我に返った。

 結局相談する決心がつかず、四ツ木先輩には最初に打ち込んだ文章をそのまま送信した。学校に着く頃には既に利香先輩達が来る時間を過ぎていて、その点でまた二人に心配をかけてしまったが、寝坊して、と笑って誤魔化した。

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