第3話  孤立する 30代

時は、昭和から平成に正雄も正人も子供ができ、良き父とは言えないまでも、仕事面では、二人とも良く働き、正雄は、土木業界、地元のN長老に好かれる、地元の仕事の入札などは、N長老が振り分け、皆それに従うというやり方、俗にいう、談合みたいなやり方なのであり、N長老の信頼、影響力は町でも有名、そのN長老のお気に入りの正雄、その為、他社の社長達も業界では若造の正雄に媚び諂うとこがある、かたや正人も親方に付いていけないと、独立を考え、妻の明子に相談、明子は父さんのしたい様にしていいよ、私はお父さんの喜ぶことが嬉しい只それだけ、出来ることは何でも協力しますと背中を押してくれた、翌日、親方に独立の件を伝える、そしたら、手のひらを返した様に、お金は幾らほしい、お前の言い値払う、と言い出す、俺の言った金額払うのですかと尋ねた正人に、払うという親方、もう遅い、金で動かないことを伝えると、今度は条件をだしてきた、まず、同業者には成るな、地元では商売するな、この条件を飲めば退社してよい、そういいだす、分かりました、正人は受け入れ、退社、何をするか、お金はない、そうだ、知り合いにリフォーム業の全国展開をしているメーカーさんの支店長と親しくしている奴がいた。そいつに頼み、支店長に相談、2つ返事で明日からでも仕事を頼むと有難いお言葉、車と少しばかりの道具を買うため、正人の姉から借金、それに正人を慕いついてきた友人がいた、起業していきなり従業員を、1人で始めようと考えていたのに、最初から人件費が掛かる、それも家庭持ち、それなりの給料を払わなければ生活できない、始めたからには後には引けない、人の倍働く、元々仕事の覚えも作業のスピードも速い、末締めの末払いなので、2か月目からの収入、それでも直ぐ借金返済稼ぎも今までの3倍ほど、支店長も優先的に仕事を正人に回す、出だしは良かったが、支店長は元やくざの人で会社の金を横領して解雇、支店も閉鎖され、万事休す、正人は、初めての営業活動に、アポなしの飛び込み営業、最初の1件目で大手メーカーの下請けという形で契約を頂く、だが、2家族分の稼ぎはない、そこの仕事を社員に任せ自分は又別の業者に営業、、何とかなると思つた矢先に従業員、俺も独立します、横で見て是ならば自分でも出来ると思っているのだろう、陰で正人が夜遅くまで見積もりや、打合せ、営業をしていることなど知らず、良いとこばかり見て簡単そうに見えたのだろう。正人にとつてもラッキー、給料を30万月給制で払いきつい状態、時には自分が少ない時もあり、顔で泣き心で(笑)つてお別れ。でも、子方はいる、明子に会社を辞めて貰い、夫婦でメーカーの下請けを受けることに、子方は男も女も同じ、人件費が浮いた分、生活は楽になり、売り上げも伸び、2年で新居まで購入、一方、正雄は名実ともに土建屋の二代目社長、態度が横柄になり町でも、付き合う者も減り孤立してゆく、そんな時、地元のやくざと正雄の中学時代の後輩が飲んでいる所え正雄がやくざに喧嘩を売り、めちゃくちゃ殴り倒した、その夜、家に帰り風呂に入つていた正雄に窓の外から包丁が、胸に刺さる、傷はそれほど深くはなかったが、入院する羽目に、刺したのは後輩君、親しくさせてもらっているやくざの方をけなされ、殴られて我慢が出来なかったとの事、正雄は日頃から、地元のやくざに対し田舎やくざと貶していた、自分が都会で見てきたやくざとは余りにも違うのである、殴られた組員の親分を仲裁に示談の話が、正雄は受けない、組員が殴られ示談も可笑しい、刺した後輩の家族の頼みで金額交渉、正雄は被害者の立場、一切引かない、組長、顔が立たない後輩君は初犯で組とも関係ないとの事で減刑された、町では噂で正雄とは誰も付き合わない、そんな時、正雄から正人に電話、昔の様に付き合いをしてくれないか、正人は今までの正雄に対し苦言を言った、正雄は正人には素直だ、何を言われても口答え一つせず頭を下げ聞いている。元の様に仲良く成った二人は、二日に一度は家族で食事会をする様に、二人とも規模は違えど経営者、業種も違う二人だが、経営に関してお互い学ぶとこある、一人親方の正人のアドバイスを正雄は良く取り入れ、他社とは違うカラーで土建業を引っぱっている。正雄と付き合うと言うことは、正人にも敵が増える、しかし、人の面倒見の良い二人、徐々に慕ってくる友達も増え正雄の家には何時も誰かが酒を下げ、遊びに来る、しかし、類は友を呼ぶというが、一癖ある奴ばかり、正雄を兄貴と呼び慕う、正雄も小さな親切、大きなお世話タイプで面倒見がよい、以前、組長をしていた地元の後輩が刑務所に入っていた時には色々差し入れや出てきてからの面倒を見ていた。情に弱い二人、今は昔のような関係ではなく、仕事の話が主で、仕事上で、切磋琢磨している。趣味で正雄はバイク、正人は釣り、正雄はバイクにお金をかけ色々改造、買い替えなど、羽振りが良い、よく遊び良く働く生活に、しかし、自分の趣味に正人を誘うことはしない、正人も正雄を釣りに誘うことはしない、お互い自分に従わせ様とはせず、相手を尊重する間柄に、そんな大人へ、成り落ち付いた30代を送る

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