新歌集より ヨシュアの帰還
新歌集より ヨシュアの帰還
シープホーンは四つの腕を広げて歯並びの良すぎる口を開くと、二つの腕で魔法陣を、もう二つの腕で剣を抜き、死の呪文を詠唱しはじめました。
瞬はこれに対して即座に撤退を選択、ミサキ家の窓を脚で蹴破ると、部屋の隅で震えるミサキと猫たちを抱えて逃げ出しました。
次の瞬間、ミサキの家がばらばらになりました。シープホーンの剣がミサキの家を切り刻んだのでした。
シープホーンは続いて死の呪文を完成させると、周囲一四kmの人々を窒息死させようとしました。
しかし。
空から打ち下ろされるように放たれた聖なる光の槍が呪文を打ち消しました。
--神聖系対抗呪文。
三mほどの槍の柄が揺れては光に戻っていくのを、小太りの金髪は半笑いで見上げました。
竜が掴むスカイツリーの頭頂部に掴って飛ぶヨシュアが、手を離してシープホーンの前に着地しました。
--真理を守るべし。教会、孤児と寡婦、祈りをささげ、かつ働く人々、なびに妖精のすべてを守護すべし。
十字を切って神の言葉を言祝ぐと、ヨシュアの手の中で一際大きな聖なる光の槍が手の中に現れました。
--この手に槍が現れた続けることが、神の許し。
--御心はここに。ヨシュア、参る。
ヨシュアは光の槍を投げてシープホーンが腕を伸ばして張った結界を中和、貫通させてシープホーンの胴体に大穴を開けました。
膝をつくシープホーンを前にして、ヨシュアは心に響いてくる竜の声に顔をしかめました。
--その自動兵器は学習して強くなる同じ手は通じぬ、徹底して壊して帰還させるな。
--竜の指示など受けぬ。だが。
ヨシュアは十字を切りました。
--悪魔を滅ぼさずして騎士とは言えぬ!
ヨシュアは腕を振ると無数の光の槍を出現させました。その全てを一度で投げ尽くし、シープホーンが燃えて灰になるまで乱舞させました。
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