新歌集より 出現するシープホーン

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 ミサキが猫のメドレーとマオを抱いて震えながら庭を覗き込むと、知らない黒髪の青年が腕から獣を続々出現させる黒い池男と戦っていました。


 我が目を疑うような光景。


 どこをどう見ても腕から獣を出す方が強そうに見えるのに、何故か知らない黒髪の青年の方が押しているように見えました。


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--なんだこいつ、なんだこいつ!

 ケンジは叫びながら次々と腕から獣を出しました。瞬は、ぱちんこの弾を飛ばして全弾を獣の片目に当てて、沈黙させます。


 不意に小学生の頃から変わってないなと瞬は自分を笑い、ついでケンジを見て、焦りすぎだなという感想を持ちました。お得意の奇襲すらできていない。

 瞬は冷静に一歩一歩歩いてケンジに近づきました。


 ケンジが、笑いました。


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 メドレーがミサキの手に噛みついて、ミサキは驚いて声を上げました。次の瞬間、黒髪の青年は身を躱して、黒い池から現れた第二の人物の方を振り返りました。


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--遅いぜ相棒!

 喜色満面でケンジは言うと、瞬を挟み込むようにして立ち上がって体勢を整えました。


--こっちはこっちで工場を作っていた。なんだ、その男は。

 そう言った男は小太りの金髪の男でした。薄い瞳の人物で、ケンジと同じ、黒い革ジャンを着ていました。


--敵だ。

 ケンジの言葉に、小太りの金髪は呆れたように首を振りました。

--そんなことは見れば分かる。 どこの敵だ。エースか。青か、それとも帝國か。共和国は滅亡しているしな……

 小太りの金髪はひどく冷静な顔で瞬を見ると、少しの笑みを浮かべました。

--まあ、戦えば分かるか。


 瞬が放ったぱちんこの弾を見た目に似合わぬ素早さで避けて、小太りの金髪は出てこい、シープホーンとその名を呼びました。

 黒い池の自ら四本の腕を組んだ羊角の金色の巨人が生えてきました。その大きさは軽く二階建ての家よりも大きく、無数の呪紋を模様のように全身に刻んでいました。

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