外つ歌 大禍日
その日、いくつもの世界の真上に、時空兵器によって転送された650mm実体弾が現れて破裂しました。
ある世界ではそれは海をも消しさる大嵐として表現され、ある世界では常勝の王子の計算を狂わせた突然の大爆発として記憶に残ることになりました。
いくつもの世界は均衡を崩し、たくさんの人の運命が変わってしまいました。
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自分が大切にしていた思い出を、幼なじみは、瞬はこれっぽっちも大事にしていなかった。
別れて、涙目で走る帰り道。
涙に煙る栄子の薄い瞳に映ったのは、転送された実体弾の破片でした。
破片はどぶ川に落ちて、時空の歪みは世界が自己修復しましたが、代わりにほぼ同重量の栄子を再転送して世界の質量収支を整えてしまいました。
弾の破片の代わりに、栄子は消えたのです。
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--兄上は援軍を送ってくださる。もう少し我慢しろ。
王子リベリスに、右翼が消滅したとの報が届いたのは、この直後のことでした。
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右手をほんのり輝かせた娘は、強くなる風に空を見上げました。風はどんどん強くなっていきます。
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そして……。
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