第1話 発端

 始まりはなんだったのだろう。

 今ではそれさえも誰も知らない。

 最初は希望を持っていたのだろうか。それとも初めから憎しみが発端だったのだろうか。

 私はそれさえも知らない。

 母は死んでいった家族の為に戦えと言う。

 仲間は自由の為と戦って死んでいく。

 私は誰も死なない世界の為と仲間を死地へと送る。

 一体何が正しくて、何が間違ってるのだろうか。



 この戦争には終わりがない。

 お互いがお互いを殺し合い、憎しみだけが原動力となってしまった。

 私の部下にはそんな理由で戦ってほしくはない。

 私のように親を悲しませるような人間にはなってほしくはない。

 誰も死んでほしくはない。けれど、あの怪物どもがどれ程強く、残虐なのかを私は知っている。

 知っていて尚、私は彼らを戦場へと送らなければならない。

 あぁ、一体誰がこんな戦争を始めたのだろう。



 隕石が落ちたこの地には命の奪い合いが行われていた。

 それが自然の摂理なら我々は干渉しない。けれど、それは殺し合いだった。

 我々は命を救わなければならない。例えそれが望まれていなくても。我々は必ず命を救う。

 我々は決して目の前の命を見捨てはしない。それが例え人でなくても。

 そして、我々は知っている。これからあらゆる命の灯火が消えることを、

 一体始まりはどこからなのだろうか。

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