第14話
私達クレア班は朝早くから呼び出させれ
学院前に集合していた。
「ふぁぁ、一体何なのかしら極秘任務って」
「でも先生が学院長直轄の任務だったいってたよ」
「……」
コマチちゃんに関しては完全に寝ている。
「お、揃ってる揃ってる」
呑気に先生がやってきた
「先生遅いですよ!ベルもコマチちゃんも半分寝ちゃってるし」
「ごめんごめん、でも今回は前回の任務の評価を買われてのことだし、名誉だよ?」
「それで何をするんです?」
「まぁそれは馬車の中でゆっくり話そうか」
時間ピッタリに王宮の馬車がきた。
「うわ~すっごい~王宮の馬車って初めてみるけど椅子とかふかふかなのね」
ベルは一気に目が覚めたようで馬車の中の見回してる。
私は半分寝てるコマチちゃんに肩を貸す形で乗り込む。
中には豪華な装飾がされていて乗り合い馬車とはすごい違いだ。
これで全員かと思いきやとんでもない人物が乗ってきた。
「が、学院長!?」
私とベルは驚いて変な声がでてしまう
「今回は私も同行します」
学院長が言い放つ。
誰も言い返せないまま馬車の扉が閉まる。
全員が乗り込んだところで御者がムチを打ち馬は馬蹄を鳴らしながら動き始めた。
「今回の極秘任務は姫殿下の護衛をやっていただきます」
学院長自ら任務の説明をする。
「ええ!私達姫殿下にお会いできるんですか?」
「そりゃ護衛だからね」
クレア先生が説明を引き継ぐ形で語る。
「姫殿下か~憧れるなぁ」
ベルは瞳をキラキラさせている。
「どうも王宮内で内紛があるみたいで暗殺者やらに狙われてるらしいのよ、姫殿下は時期王位継承権をお持ちだから」
「そ、それじゃ私達暗殺者と戦わないといけないんですか!?」
「まぁ時と場合によってはね、でも基本は警護だから暗殺者も迂闊には手をだしてはこないとおもうけどね、覚悟はしておきなさい」
「うぅ……」
「まぁ貴方達は実戦経験もあるんだしそう気負わなくてもいいわよ」
「姫殿下ってどんな人なんだろう気になるわよね~ステラ」
ベルは相変わらず呑気に馬車の外を眺めたりキョロキョロしたり落ち着かない。
街を過ぎやがて王都ターブルロンドへと馬車は足を進める。
やがて馬車は王宮内の敷地に入り王宮入り口の前で止まった。
そこには親衛隊長が待ち受けていた。
「長旅のご足労、感謝致しますエリザベッタ学院長殿」
「いえ、皇帝陛下きっての頼みとあればこそ」
「中へご案内します」
衛兵達が並ぶ中私達はおずおずと謁見の間へと足を進めた。
大きく立派な柱が並ぶその先に皇帝陛下と姫殿下はいらっしゃった。
クレア先生が跪いて私達もそれに習う。
「シャルム魔法女学院より我々クレア班、警護の任を仰せつかり参りました」
「うむ、余が皇帝、テオドール・ド・ターブルロンドである、面をあげよ」
「皇帝陛下、お久しゅうございます」
「エリザベッタ、その健在な様子、安心したぞ」
「皆様方、遠路遥々ご苦労でした」
顔を上げるとそこにはそれはもう美しいお姫様が玉座に鎮座していた。
「こ、これから姫殿下様の警護につかせて頂くステラ・ソヴァールです」
「同じく、ベルナデッタ・クライメットです」
「同じく、コマチ・アマミ……です」
「まぁなんて可愛らしい魔導士さんなのかしら」
「私は第1皇女、アルテア・ド・ターブルロンドと申します」
スカートの端を軽く持ち上げお辞儀をする。
姫殿下も今年で齢16、私達とそう変わらない年だ、濃い紫の艶のある髪にショートボブ
豊満な胸に綺麗なネックレスが輝く。
「皆私とそう歳も変わらないようね。話が合いそうでワクワクするわ」
「余はエリザベッタと二人で話がある、アルテア、お前は警護の者たちを部屋で案内してやりなさい」
「そうねではお部屋へ案内しますね、どうぞついていらして」
私達は姫殿下とその衛兵の後をゾロゾロと着いていく。
立派な作りの廊下は流石王宮といったところだ。
「さぁここが私の居室よ、どうそお入りになって」
「わぁ……」
大きなベッドに広々としたテラスどれをとっても一級品だ。
そこから隣の部屋へ繋がるドアがあった。
「貴方達にはそっちで寝泊まりしてもらうわ」
「姫殿下、もしもの事があった時の為に警護を一人交代でつけさせてもらいます」
「それは承知しております、どうぞご自由になさって」
「聞いたとおりだ、ステラ、貴方が最初に付きなさい」
「ふぇ!?私ですか!?」
「そうよ、まず貴方がやりなさい、こういうのに貴方の能力は向いてるんだから」
「ひ、姫殿下よろしくお願い申しあげます!」
「アルテアでいいわ、それよりステラ、外のお話を聞かせて、私、見ての通り籠の鳥だから」
「ではアルテア様、私が盗賊退治をした冒険譚など如何でしょう」
「まぁ、それは面白そうね、楽しみだわ」
私とアルテア殿下と楽しく談笑している中ベルとコマチちゃんは退屈そうだった。
「はー交代制っていってもこうもやることが無いんじゃどうしようもないわね」
「フルーツ、おいし」
コマチちゃんは置いてあるフルーツ一心不乱に食べ続けてる。
「こら暗殺者は一人とは限らないんだから気を抜かない、城内にも間者が紛れ込んでる可能性だってあるのよ」
先生が二人を戒める
「まぁ!それでは実際にドラゴンが?なんて恐ろしい」
「お楽しみいただけましたでしょうかアルテア様」
「ええ、外は不思議な事だらけなのね、私は命を狙われてるというのにこの平穏な日常を満喫している、不思議なものね」
「その、誰に狙われてるかお心あたりはありませんか?」
「いろんな人よ、特に私に王位を継がせたくない者たちや、実の兄妹からも」
「ご兄妹がおいでで?」
「ええ兄と妹が、兄は病に伏せっていて王位継承権が私に、それを妬む妹に命を狙われるなんて滑稽よね」
窓の外を眺めながら憂鬱そうにお答えになられた。
「姫様の御身は命に変えてもお守りします」
私は跪いて誓いの言葉を述べる。
その日晩餐が終わると姫殿下の居室へと戻ってきた。
「姫様今日はもうお休みになられてください」
「そうね、そうするわ」
そうして夜が更けて来た頃何者かがテラスから入ってきた。
「覚悟ッ」
その影は姫様のベッドに短剣を突き立てる。
その瞬間姫様の身体はドロっと溶けるように形を崩していった。
「くそっ」
影はその場から離れようとするがなぜか身動きがとれない。
それもそのはずベッドの下に潜んでいた私のスライムマリオネットが影を捕捉したからだ。
そして瞬時に灯りがつけられる。
本物の姫様は私のローブを被りソファで眠っていたのだ
「さぁ観念なさい!貴方は誰に雇われたの?」
「ぐぬぬ」
ガリッと何かを噛む音が聞こえた。
「ぐふぅ」
刺客はあわを吹いて倒れた
「服毒!?しまった!」
毒が一瞬で回ったのか刺客はスライムに支えられるまま息絶えた。
「これほどの覚悟とは、よほどの忠誠心ね」
「おそらく妹の放った刺客と見ていいと思います」
「妹君に命を狙われてると……?」
「はい、私が消えれば病状の兄ではなく妹へ王位継承権が渡りますので」
それで姫様はお命を狙われてるのか
今夜も私がスライム分身で変わり身になっていなかったら危なかった。
これからどんどん暗殺はエスカレートしていくだろう。
私達が姫様を守らないと。
それからは姫様に私達3人で警護することとなった。
「今日は4人でお茶会ね」
そういって姫様はメイドにお茶会の用意をさせる。
「私同世代の子と接する機会が無いからとても楽しみだわ」
「そんな私達なんて姫様にはもったいのうございます」
ベルがガチガチの口調で喋る。
「そうだわ、あなた達私のお友達になってくださらない」
「そ、そんな姫様のお友達だなんて」
私は慌てて言いよどむ。
「嫌かしら?」
「いえ是非に」
「有難き幸せ……です」
ベルもコマチちゃんも少し固まりながらも喜んでいる。
私自身も元気よく答える。
「はい!喜んで」
お姫様と友達になれるなんて思ってもみなかった。
◇◇◇
王宮の一室、皇帝と魔法学院の学院長がなにやら話をしている。
皇帝は窓の外を眺めながら語る。
「まだ色よい返事はもらえぬか、今はいつ隣国と戦争になってもおかしくない張り詰めた状況じゃ」
「しかし‥‥‥我が学院の生徒は兵ではありません」
「戦火が街に飛んでからでは遅いのだ。隣国のグリタニアは大勢の魔導士を抱えてると聞く。それを牽制するためにも軍備を整える必要があるのだ、わかってくれ」
「それはわかっております。ですが我が学院の生徒を徴兵するのは私の思う所ではございません」
皇帝はガラス棚へ向かうとそこからグラスとウイスキーを取り出し注ぎ始めた。
「やらなければやられる、徴兵せずとも戦火が広がればゆくゆくは生徒達も戦うことになろう、なればこそ今から軍備を整えるのが得策だと余は思うのだ」
グラスのウイスキーをあおり言葉を続ける。
「今や我が王宮にも派閥ができ内紛がおきている、それを収めるための軍備増強をいうのもある、共通の敵ができれば内紛などやっておる暇もあるまい」
「戦争を回避し和睦へと持ち込むにもこちらにそれ相応の軍備がなければできぬのだ、余とて無駄な血はながしとうない」
「……」
学院長はだまって聞き入っている。
「余もそろそろ跡継ぎを考えねばならなくなった、息子は病に伏せ、娘二人のどちらかを選ばねばならん状態じゃ、アルテアは優しい子じゃ此度の戦争も反対しておった、妹のプリシラは野心家で戦争を好む
余はアルテアに王位継承させようと思うが、どうじゃな?」
「そのご判断は賢明かと」
「見た目だけでいいのだ、我が国に兵無しと悟られてはこの国は一瞬のうちに戦火に焼かれるだろう。だから頼む何とか余の頼む聞いてもらえぬか」
「そこまでお考えとあらば私も考えさせていただきます」
ぐいっとグラスを飲み干すと皇帝はにこやかに笑った。
「そうかそうか、期待しておるぞ」
「では私はこれにて……」
そういうと学院長は扉を開けて出たあと唇をかみしめた。
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