第5話 未来からの予言者

翔太は夢を見た。

今度は康太がどんどん届かない場所に歩いていくのを必死で追いかける夢だ。

走っても走っても追いつけない。


康太…康太…。

はっ!


どれくらい走ったか分からない。

ここが何処なのか分からない。

だだ分かったことは康太を追いかける自分の前にあの未来から来たという女が立っていた。


はぁはぁ…。

な、なんだよお前…どけよ!

康太が逝っちまうだろうが!!


追いつけもしないのになんで追い続けるの?


そんなのやってみないと分からないじゃないか!


はぁ…じゃあこれだけはハッキリさせときます。

康太さんは亡くなりました。

それは貴方がこの目でしっかりと見たはずです。

いいですか。貴方はこの世界の未来を変えるんですよ。


ま、まだそんなこと言ってんのかよ!


気が動転してた翔太は未来人の言葉なんて御構い無し。


信じてもらえないんですか?


は?この状態で信じろって言うのかよ!


そうですか。

では未来のこともう一つお伝えしておきます。

貴方が今いる西の街を出る時にもう一度大きな地震が起きます。

その地震で貴方の家族が亡くなります。


な、なんでそんな事分かるんだよ。


翔太は驚きを通り越して直ぐに冷静になった。


星の導きにおいての運命です。


そんなこと信じられるか!


信じるか信じないかは貴方次第ですよ。


その言葉と同時に未来人は姿を消し翔太は目を覚ました。



はっ…‼︎

はぁはぁ…。


…星の導き…。そんなこと信じてたまるかよ。


翔太は未来人に言われた星の導きを信じたくはなかった。

しかし、翔太の中のザワつきが消えずにいた。


…帰ろう。

じゃあな。康太。


そう言い残し翔太は亡き親友康太に別れを告げ自分の街に急いだ。


翔太は絶望に襲われてしまった。

そう。彼女が予言した事が当たってしまったのだ。

西の街を出た時に地震が起きると言われた事が見事に的中。

その時の翔太は青ざめていて悔しい気持ちでいっぱいだった。


うわっ…マジで地震…。

なんで…嘘だろ…。

クソ…頼むから母さん…彩音生きててくれ…。


その思いだけでいっぱいになりながらも翔太は走り続けた。

1時間半その思いだけで翔太は胸いっぱいの苦しみに耐えて耐えていた。


自分の街を見た時にその絶望は悲しみに変わっていた。

西の街と一緒だった。

西の街の様に自分の街は地震の影響で破壊されていてとんでもなく悲惨なことになっていた。


か…母さん…あ…彩音…。

なんでこんなことに…。


そんな事は考えたくなかった。

とにかく…速く家に帰ろうとして自転車を走らせた。

家に着いた時翔太の目にはもう希望の光なんて微塵もなかった。


あぁあぁあぁ………。

母さん…彩音…あぁ……うわぁぁぁぁ…。

あの時俺が家を飛びださなければ!

あの時母さんの言うことを聞いていれば!


その後悔が渦のように自分の中に舞っていく。

だがその時そんな絶望の中でもたった1つだけ光が…希望の光が導いてくれた事があった。


コロコロ…。っと少し離れたところ家の庭の方から音がした。

はっ!となって翔太は急いで庭に行った。


あ……。


その時涙した。

翔太の目に映ったものはなんと自分の妹の彩音だったのだ。


彩音!彩音!


呼びかけたら直ぐに返事があった。


ん…。お、お兄ちゃん…。

お帰り…。

無事でよかった。


しかし妹の彩音もあまり喋れなかった。

いや、むしろ痛みでそれどころじゃなかった。


おに…いちゃ…ん…お…おか…さ…ん…。


言葉を詰まらせながら喋っていたが気を失ってしまった。


おい。彩音!彩音!


気を失った妹を揺さぶったが起きなかった。


…と、とりあえず病院に連れて行かなきゃ!

彩音を…たった1人の妹を失う訳にはいかない!


翔太は必死に近くの病院に彩音を連れて走って行った。

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