第4話 親友の死

部屋を飛び出して直ぐに母さんの安否を確認をした。


母さん大丈夫!?


え、えぇ…大丈夫よ。

上に物がないリビングにいて良かったわ。

そんな事より彩音は?


母さんが言い放った瞬間ドタドタと妹の彩音が階段から降りてくる音がしてお母さんと泣きまくってた。


そ、そんな事よりテレビ付けてテレビ。

震源とか色々調べなきゃいけないから。


あぁ…うん。


言われるがままにテレビをつけた。

付けたら緊急ニュースになっていてそこにはおぞましい光景が広がっていた。


こ、ここは何処なの?

翔太この街って何処?


自分の母ですら既に認識出来ないほど街は壊滅していた。


に、西の街だよ…。


え……。西の街ってあんたの友達いなかった?


その言葉を聞いた瞬間

頭の中に康太の事が過った。


やばい。

そう思い直ぐさま家の受話器を手に取って康太の家の電話に掛けた。

プルルルル…プルルルル…プルルルル……

やはり一向に繋がらない。


胸の奥が凄いザワザワする。


クソっ…。

母さんごめん。ちょっと行ってくる。


だ、ダメよ。外は危険なんだから!

危ないわよ!


そ、そんなの分かってるよ!

でも、康太が心配なんだよ!


そう言い残し翔太は家を飛び出して行った。


家を飛び出した翔太は直ぐに自転車に乗り西の街を目指して走っていった。

胸に抱くざわつきを抱えて翔太は自転車を走らせた。


翔太の家から康太の住んでいる西の街まで約1時間半はかかる。

近道だった橋は先日の地震で陥没していて通れない。


くっそ…こんな時に陥没すんなよ

このオンボロ橋!


そう吐き捨てて翔太は展望台に行った時の道を使った。


待っててくれよ…康太。

無事でいて…いや怪我しててもいいから頼むから生きててくれ…!


翔太の願いは神に届くかどうかは不明だが

精一杯願った。


1時間走り続けて、ようやく遠くの方で西の街が見えてきた。

それが見えた時、翔太は青ざめた。


な…ま、街が…。

高いビルがたくさん並んですごかったあの街が…。

こ、康太…頼む生きててくれ。


30分経ってやっと街に入った時

翔太は絶望に打ちひしがれていた。

そこにあったはずの康太の家が既に原型を留めていなかった。


う…嘘だろ…。

こ、康太!こうたぁぁ!


大声で叫んでも返事がない。


ちくしょう。諦めてたまるか!

康太!康太!康太!


翔太は何度も何度も呼び続けた。

喉が枯れる程に返事もしない相手に対してずっとずっと…呼び続けた。


もうどれくらい康太の名前を叫び続けたろう

30分…いや1時間は経過していた。

それでもなお諦めない翔太に更なる追い討ちかけるように余震が起きた。


うわっ…


その声と共に翔太は転びそして立てなくなった。

今の余震でなんと康太の家が完全に崩壊瓦礫のクズとした形になってしまった。


こ、康太の家が…

う…うわぁぁぁぁ……


枯れていた声がとてつもなく悲しい、そして悲痛の叫びとなって西の街を包んだ。


そう。翔太はとても大切な友達…親友を失ってしまったのだ。

夢に出た友達が地震という化け物に襲われ死んでしまったのだ。


康太ぁぁぁ……



とても強烈な悲しみが翔太の体を覆ってゆく…。


いったいどれくらい泣いたのだろう。

翔太は元康太の家の前でそのまま泣き潰れるように眠ってしまった。

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