第2話紋章
康太と別れた翔太は展望台であった事を振り返っていた。
あの現象はなんだったんだろう。
悩んでも悩んでもその答えは出なかった。
出なくて当然だ非現実的な事なのだから。
だがしかし、自分の中で引っかかることはもう1つだけあった。
それは光る星を見たことだ。
あの時の光は流れ星だと思っていた翔太は納得がいかなかったがそう考えるうちに家に着いてしまった。
ただいま。
おかえり翔太、今日の天体観測は楽しかったかい?
え?なんで遊びに行くって言っただけなのに星を見たって分かるの?
当たり前じゃない。
あんたがちょっとだけ嬉しそうにして帰って来る時は大抵展望台に行った時だからね。
そーだっけ。
あんた展望台でなんかあったの?
ううん。なんでもない。
風呂入って寝るから。
おやすみ。
お、おやすみ。
こんな事は初めてで両親にも打ち明けられない。寧ろ両親に打ち明けたところでこんな事は信じてもらえない。そう分かっていた自分がそこにいた。
翔太はまた同じ夢を見た。
まただ…みんな…みんな殺されて行く
僕はまたなにも出来ない…どうしたらいいんだ…怖い…怖い…怖い…こわ…い…。
恐怖と絶望が日に日に続く翔太の夢。
しかしこの絶望の中で翔太にほんの少しの光が見えた。いや、聞こえたと言った方が正しい。そうあの展望台にいた時と同じ声が頭の中に聞こえてきた。
大丈夫です。安心してください。
貴方は生き延びます。生き延びてたくさんの人を救うのです。
え?だ、誰?
…この声。展望台で聞いた声だ。
ど、どういう事なんだ…僕なんかが生き延びてどうしたらいいんだ?
それに僕がたくさんの人を救うって…。
さぁ勇気を出して戦うのです。
戦うって言ったってどうやって…。
利き腕を出してください。
私の力を貸しましょう。
言われたままに翔太は利き腕を出した。
利き腕を出した時手の甲が光始めた。
うわっ…この光は流れ星の時と同じだ!
貴方に私のほんの一部だけですが力を渡しました。
その光の力で恐怖と絶望からこの世界を救ってください。未来の為に…。
そう言われたと同時に翔太は光に包まれ
気が付けば朝になっていた。
…はっ。
な、なんだったんだ今の夢は…今までと明らかに違う夢だった。
…僕が恐怖と絶望から世界を救う…っか。
そんな事出来っこないよ。
そう言えば右手光ってたな…大丈夫かな。
…な、なんだこれは!
翔太の右手にはなんと獅子座の紋章が刻まれていた。
獅子座…王って意味だ…。
しかも王道十二星座の中の王様じゃないか…
なんでこんなのが僕の手に…そしてあの声の正体はなんだろう…。
翔太ー起きてるー?
ご飯できたから降りてらっしゃい!
っとお母さんの声が聞こえて我に返った。
は、はーい。今行くよ!
おはよう母さん。
そう言いながら食卓の椅子に座る翔太。
おはよう。今日はすんなり起きたのね。
昨日の今日でなんともないの?
うん。ないよ。
箸を持つとき獅子座の紋章を見られた気がした。
ん?どうしたの翔太。
ポカーンとした顔でこっちみて。
え?あぁ…ねぇ母さんこの紋章どう思う?
右手に紋章を見せた、
え?なに?紋章なんてどこにもないじゃない
なにを言ってるの?
え?だ、だってここにあるじゃん!
そう言って指をさしたが母さんはよく分からないって言う顔をした。
あ…ごめん俺の気のせいみたいだ。
そう?ならいいけど疲れてるみたいだけど大丈夫?
うん。大丈夫、ごちそうさまでした。
僕まだちょっと眠いから部屋に行くよ。
あぁそう。
そう言い残して僕は自分の部屋に戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます