第1話 夢と不思議な声

中に入ると康太は目を輝かせる様に驚いた。

そこには色んな星座の形をした標本などが置いてあったからだ。


うわっ!すげぇー!

こんなもの作った人すげぇ!

翔太これ作った人誰なんだ??


そこの下に書いてない?

東ってそれ俺の父さんが作ったんだよ。


よくみるとそこには翔太の父親が作ったものだと分かる設計者人物の名前が書いてあった


え?お前の父さんって運送会社とかそっちらはへんの仕事してたんだろ?

どうやってこんな物作ったんだよ。


昔のここの職員さん、つまり今の坂本さんと同じ仕事をしていたんだ。

でも、辞めちゃったんだ。その理由は一度も口にしてなかったけど。

だけどここの展望台が好きで坂本さんがいる時にちょくちょく顔を出したりしてたんだ。

まぁ今は仕事が忙しくてなかなか一緒には来れないけど。

父さんはストレスとか辛い事、なんか大事なことがあった時は基本的に帰りにここに寄ってからうちに帰ることが多いんだ。


ふーん。そんな事があったんだ。

なんか悪かったな。


いや、気にする事ないよ。


そう言ってた時の翔太の顔がなんとなく寂しそうだった事を康太はちょっと悲しく思えた。


そんな事より早く望遠鏡の所まで行こうぜ?

康太は何か好きな星座はないのか?


え?俺?

んー。俺はさそり座が好きかな


急に言われた康太がはっと頭に浮かんだ星座

自分の誕生月のさそり座を口にした。


なるほどさそり座ね。

夏の大三角形と同じくらい代表的な星座だな

あの星座は天の川に沿って輝いてるんだよ。


マジか。そりゃすげーな。つか翔太よくそんな事覚えてるよな。


そう?昔からここに通ってるしよく勉強したからね!


そう言って翔太はちょっと偉そうに言ってみたがすぐに康太に鼻を折られた。


それくらい勉強できれば良いのに。


う、うるさいなぁ。


そう笑いながら2人で星をみて楽しんでいた。


ところで翔太はどんな星座が好きなんだ?

俺だけに聞いてお前は答えないってのはダメだぞ笑


っとちょいと笑いながら康太はそう言った。


俺はどの星座が好きって選べないよ。

どの星座も綺麗で美しくて希望を持たせてくれるこのなんとも言えない気持ちが好きなんだ。だから俺はどの星が好き?って言われても全部の星が好きだって言いたくなる。


なんとなく翔太の偉大さが、そして貪欲さが出てるとこの時康太は思った。


すごいなぁそこまで星座が好きなら将来なにになるつもりなんだ?


将来?そんな事はなにも考えてない。

ただ星座の研究はしてみたいなって思う。


望遠鏡を覗きながら翔太は康太の質問に答えてた。

なるほど、翔太は星座の事になるとこんなに真剣になれるんだ。

と康太は感心していた。


翔太の事凄いなって思うよ。


いきなり康太からそう言われて思わず翔太は望遠鏡から目を離し康太を見た。


え?なんで?


だって、俺お前みたいにそんなに真剣に1つの事を好きになることがあんまり無いからさ。

あったところで俺はあんまり長続きしないし結構中途半端にしちゃうんだよねー。


そう言いながら笑っていたが翔太の目線は本気だった。


そんな事はないよ。康太はそんな中途半端な事はあんまりしないだろ。

俺はこの星座でしか真面目になれないし康太みたいに勉強も運動も両方出来るわけじゃないしね。


そっか。


うん。だから大丈夫だって!

俺よりもまともなこと出来る筈だからさ!


そうだな!

翔太に慰められるってのもなかなか変な話だ


は?なんだそれ。


ははっ。

喉乾いたけど、翔太なんか持ってきたか?


あぁ。ちょっとだけね。

あ、そいや外に自販あるからなんか買ってきたら?


そうか?

ならちょっと買ってくるわ!


そう言い残し康太は翔太と別れた。


少しの間だか1人の時間を取れた翔太は少し嬉しい気持ちも有ったがやはり少し寂しい気持ちもあった。


あ、流れ星だ。

願い事・・・ないな。

まぁ2ヶ月振りくらいに流れ星見れたからいいか・・・ん?あれ?なんか近付いてくる?


そう思ってると光る星が望遠鏡を通して光を放った。


うわっ ま、眩しいなんだこの光は。


光が眩しく、目を開けるのが辛かった翔太は手で目を覆い隠していたがその場から動けなかった。

すると次の瞬間その光が展望台を包んだ!


うわっ!


そのまま翔太は気絶してしまった。


うぅ。こ、ここは・・・何処だ?

あれ?あそこにあるのって地球?


翔太が目にしたものは地球の外。


すげぇ…地球が見える。

でもなんでだ?僕はさっきまで展望台にいた筈なのに…。どうして、こんな所に僕は一体…。

はっ⁉︎


そう驚く間も無く地球は黒く染まっていった


な、なんだこれ…どうゆうことだ。


これは貴方の近い将来の地球です。


声が聞こえて、周りを見渡したが人もいなければ、声の主もいない。


だ、誰だ。


貴方の頭の中を通して話をかけています。

そしてもう直ぐ貴方に試練が訪れるでしょう


し、試練ってなんだよ。

なんか知ってるのか?


いいえ。ただ貴方の大切な方々が殺される夢見ていた筈ですよね。


な、なんでその事を知っているんだ。


頭の中に語りかけている誰とは誰か分からない翔太。だがしかし夢の事を言わなかったのにも関わらずそれを当てられた事で多少なりとも相手の事を知って起きたかった。


さぁ。なんででしょうね。


ただ貴方には…


プツン…


翔太!翔太!


誰かが翔太を叩き起こした。


うわっ…え?どうしたんだよ康太。


どうしたんだよじゃねぇよ。

戻ってきたらお前が倒れていたんだ。

何があったんだ?


え?特になにもないよ。

ただ光が見えて…。


光?なんだそりゃ。

なにそんな変なこと言ってんだ?


いや…ごめん何でもない。

あれ?俺どれくらい気を失ってた?


んーっと40分くらいかな。


もう夕暮れに近いし帰ろうか。康太


ん、あぁ…


それじゃあ行こっか。


帰り際に管理人の坂本さんに話をかけてから

2人は展望台を後にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る