2018年7月20日 おじさんと尾道
全部、ゲッテルデメルングのせいだ。
ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、
Fate Grand Order 第2部 第2章が一昨日配信開始だったんですね。
そうすると意識はゲッテルデメルングに行ってしまい、この有様でございます。
ちなみに、現時点でクリア出来ていません。
配信がこの日になることを見越してアナスタシアをクリアしていたので、
つい頑張ってしまったんですね。まだクリアしてないけど。
さて、閑話休題。尾道といえば何を思いつくでしょうか。
尾道ラーメンという月並みな方もいるでしょうし、
坂道のカフェが云々という底の浅い方もいらっしゃるでしょう。
尾道という街は、山と海と坂そして対岸の島と
様々な視覚的・地形的要素の集まった街です。
家が曲がりくねった坂の下に海が広がる光景などピクチャレスクで、
いずれ住んでみてもいいかななどと思ってしまいます。
こんな場所は物語の舞台としてうってつけで、
小津安二郎の《東京物語》に始まり、大林宣彦の尾道三部作など、
数多くの作品がここで展開されていきました。
なぜ今尾道なのかというと、最近の作品で気になっていたものが、
ついに完結を迎えたのです。
それは、鎌谷悠希さんの《しまなみ誰そ彼》というコミックです。
内容については詳しく触れませんが、良い作品なので、読んでみてください。
特に私が注目したのは登場人物の心理描写を視覚的に表現しているという点です。
ほとんどのコミックや映像作品では心の動きを
登場人物の表情や行動、モノローグで表現しています。
しかし、この作品では、その心の状態を視覚化したような、
非現実的で幻想的な映像として表現されているのです。
現実で行われる会話シーンに差し込まれる夢の世界のような描写は目を見張るもので、言葉とは別の形で登場人物の心の動きが伝わってきます。
もう一つ、
三川みりさんの『持っとけ屋敷と僕の読書日記』という作品を挙げましょう。
これは、完全にジャケ買いした本なのですが(主人公がかわいい)、
主人公の有季くんがおじいさんに押し付けられた新潮文庫の本を読むと
その作品と同じような出来事が実際に起こっていくという、
宮藤官九郎脚本のタイガー&ドラゴンを落語から
新潮文庫に置き換えたような作品です。
(もちろんこの作品は新潮文庫で発売中なわけで、新潮文庫の鑑のような作品ですね)
そこで出てくる尾道の描写は決して綺麗なだけではなく、
坂にある家のトイレはほぼ汲み取り式だなどという話や、
都会では起こらないような田舎特有の事情など、
そんなにピクチャレスクではない尾道が描かれています。
というのも、主人公自体は健全なのですが、
起こる出来事はあまり健全とは言い難いものも出てくるので、
浄化されていない尾道でも読んでいいよという方にはいいかもしれません。
続きがあるとしたら、もっとライトな話にして欲しいなと思ったり。
他にも、森見登美彦氏の『夜行』など、
尾道を舞台にした作品はいまに至るまで作られ続けています。
京都を舞台をしたはんなり売りの作品がよく売れていますが、
尾道も捨てたもんじゃないよというお話でした。
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