さんさん

第1話

雨がしとしという音が聞こえる



代わりに、私は静かに眠れた








キラキラと




キラキラと星が瞬いてる



空にも、海にも



でも、星の空と星の海がどこで分かれてるのかわからないから、

ほんとはどっちも星空なのかもしれない



視界の限り、宝箱の中身をすっかり出し散らしたような星空が続く





遠すぎて、夢みたいな星々





だけど、放っておけないくらい、すごく光ってる






目を横に向けると、そこは砂浜だった



星空の夜の砂浜





私はそこに体育座りしていた




まるで罰を受けてるみたい、と、くすっと笑った





脚を前に投げ出して、手をついた




砂はさらさらしてて、すくってもこぼれてしまう



でもそれがゆるせなくて、私は無理やり砂をつかんでポケットにいれた




結局、また体育座りした





目を前に戻すと、右前にたき火があった



火はついていた






ふと、右肩に手を置かれたのに気付く




そっちを見ると、懐かしい友人の笑顔があった



それに、突然なった見下ろす視界で見ると、私は、森から岩場から出てきた古い友たちに囲まれていた





私は、みんなが楽しそうに、歌って踊って騒いでるのを見ていた








じわり





涙が




どうしても、涙が溢れるのは抑えられなかった




涙で、みんなの光がにじんで、きれいだった






すると、友人の手が涙を拭ってくれた




彼か彼女か、わからないけど、あいつは、最後なんだから楽しんでくれよとか、そんなことを言ったように思う






だから、私も笑った




やっぱり涙は止まらなかったけど、しょうがないんだ、これは嬉し泣きなんだと言いわけして、みんなとたわむれた





みんなの光みたいな笑顔は、夢みたいにとてもきれいだったのを、憶えてる




そのあとの記憶はない










目を覚ますと、寒い、すーっとした匂いと、苔むした匂いがした





それと、一滴だけ涙が流れていた






外に出てみると、霧が出ていた





霧の森




白いもやと苔





そんな世界の中、ぼーっと立っていると



霧の中から光る珠が落ちてきた





拾い上げて見てみると、透明の奥がきれいに光る、不思議な石だった






そんなことはあり得ない。





だからこれは、夢の続きなんだと思った






儚げな光には、珠の透明な部分に邪魔されて、手が届かない





水滴が、珠に落ちた

雨の名残だったんだと思う






夢みたいにきれいな珠を、今度こそはやさしく包んで、ポケットにいれた






だんだん霧が晴れてきて、その向こうに、なんとかまだ目視出来る太陽がある




太陽は霧に、光を貫き通していた





だから私は、最後に



目を拭って



一点の曇りもない、晴れやかな笑顔をみせてあげた

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さんさん @sannzikutougou

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