最終決戦(その3)
「裏切る? 何のことだい、トーマス?」
頭部を吹き飛ばされたジークフリートだが、すぐさま再生して立っていた。
「とぼけるな! お前の裏切りさえ無ければ、
「いやいや、だから裏切ってなんかないってトーマス。そもそも俺はね……」
一度言葉を切り、それから二の句を告げるジークフリート。
「最初っから『カンパニー』の人間なんだよ」
そして拳銃をトーマスに向け、引き金を三度引く。
「ッ……!」
心臓に二発、そして脳に一発撃ち込まれたトーマスは、糸が切られた操り人形のように崩れ落ちた。
「それじゃ、手早くここをぶち壊して脱出しようかー♪」
もう偽りの協力関係を演じなくて済んだジークフリートは、上機嫌に施設の破壊を宣言した。
「同感だ」
「ああ。だが、少しだけ待ってくれ」
ハーゲンはゼクローザスに乗ったまま、運転席の金森に呼びかけた。
「先に脱出していてくれ。そうだ、龍野達から幼女とゾンビ娘を預かるのも頼む。彼女達の足じゃ、逃げきれない可能性が高いからな」
「ゾ・ン・子!」
ゾン子が抗議するが、ハーゲンは無視した。頬を膨らませながら、ゾン子が4WDに乗り込む。ちょうど定員(5人乗り)だった。
「わかったわ、ハーゲン。ほら、貴女。こっちにいらっしゃい」
ネーゼが峰華を呼び、膝の上に乗せた。定員オーバーかと思われたが、膝の上に乗せることで解決した。
「そっちの皆さんはいいのか?」
「ええ。この装置を破壊しなくては」
「ああ。それに、民間人優先だ」
「従者は、主を先に逃がすものでございます」
ヴァイス、パイロットとサブパイロット、それにハナノは、「自力で脱出する」という意思表示をした。
「ラナは?」
「車の上で十分です」
ラナは脱出するが、車の座席には座らないようだった。
「俺も自分で脱出するぜー♪」
ジークフリートも、「手助けは無用」の意思を示した。
「わかった! それじゃ、行ってくれ!」
「はい!」
金森に依頼したハーゲン。直後、大きなエンジン音を上げて4WDが脱出を開始した。
「あなた方も、脱出を!」
「はっ! 俺達も行くぞ……!」
脱出を見届けたパイロットとサブパイロットは、ヴァイスに促されて避難を開始した。
「行ったな。準備してくれ……!」
ジークフリートが開始宣言をすると、龍野はマシンガンを用意した。ハーゲンも光剣をゼクローザスに装備させ、そして構えさせる。
「龍野君、最後のモニターを行うわ……!」
ヴァイスが、装置破壊の顛末を見届ける。
「ああ、遠慮なくやるぜ……!」
照準を定めた龍野は、引き金に指をかけた。
ジークフリートも拳銃を構え――
「号令だ!」
一発目の弾丸を放った。
続いて龍野もマシンガンとロケットグレネードを放ち始める。
装置が徐々に壊れ、いよいよ限界を迎えた。
「弾切れだ!」
マシンガンとロケットグレネードの弾薬がゼロになり、大剣を召喚した龍野。ゼクローザスの光剣と同じ長さまで、ビームの刀身を形成する。
「それじゃあ、二人の戦士サマ!」
「この悪夢に、終止符を!」
龍野とハーゲンは、Xの字状に剣を振り下ろし――
『パラダイス・エンジン・システム』を、
「終わったな!」
「よし、それじゃあ脱出するぞ……!」
もう一方の出口から脱出するハーゲン。
「ちょっと失礼するぜ、パイロットさん達……!」
龍野はパイロットとサブパイロットに『
「私も行くわよ!」
ヴァイスはハナノを背負うようにして、施設からの脱出を目指した。
十分後。
二つのグループは、両方の発電所の間にある公園で合流した。
「ネーゼ様、ご無事で!」
「ハーゲン! それに、皆様も!」
死傷者無しの完全勝利だった。
「峰華!」
「りゅうや……!」
一度分かれた者達が、再び合流する。
「オルガノ……!」
「ん、ラナ、か……」
最早、全ては決着した。
「さて、それじゃあ俺は、そろそろ……あれ、オーロラが消えてねえぞ。いったい……ぐッ!?」
決着した――はずだった。
トーマスが、ジークフリートの背中をナイフで刺していなければ。
「なっ……トー、マス……」
何度殺しても
持ち前の再生力を発揮出来ず、地面に倒れ伏した。
「てめえ!」
龍野が鎧騎士と化し、大剣を召喚。即座にビームを放つ。
だが――飛んできたサイボーグに、
「……」
トーマスは一言も発さない。
だが、龍野やハーゲン達にはわかっていた。
「逃げろ! 早く!」
今のトーマスの近くにいては危険だと。
やがて、無数のサイボーグの残骸が集まり――
全長500mの、巨大な人型が完成した。
現在の龍野の撃破スコア……259体(259,000点)
※サイボーグとの戦闘が無いため、変動無し
マシンガン…… 0 + 0×0 発
グレネード…… 0 + 0×0 発
作者による追伸
有原です。
今回は、トーマスが最後の敵でございます。
え、どうやって蘇生したのかって?
フフ、それは……
「死を間近に控えた者同士の、最後の足搔き」
とでも書いておきましょう。
いよいよ、決着をつけるべき時でございます!
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