発電所突入(ハーゲン視点)

「ここだな」

 発電所入口に突入したハーゲン達4人は、1体のR型に遭遇した。

 上空を緩やかに旋回し、地上に降りた。そして手にしたUZI(サブマシンガンの一種)の弾倉を抜き取り、スライドを引いて敵意が無いことを示す。


「あなた方との共闘を希望します」


 そして、ハーゲン達に話しかけた。

「私には、オルガノ・ハナダ救出の使命があります。ですが、この中には『パラダイス・エンジン・システム』があり、当然敵の防御も厚いはずです。加えて原因不明のサイボーグ達のエラー、及びそれによる寝返り。その数は百体を下りません。加えて連携もある為、私単独での突破は困難と判断しました。私のことはラナとお呼びください。どうか、ご助力を」

(共闘?)

 突然の言葉に、ハーゲンが疑問を浮かべる。しかし、ネーゼが解決した。

『悪意は感知できないわ。共闘してもいいわよ、ハーゲン』

『大丈夫……でしょうか?』

『問題ないと判断するわ。ハナダ氏に対する目的も、同じと見られるから』

 ネーゼは所有する霊力で、敵味方の識別が可能だ。しかも、精度は100%。

 ハーゲンが共闘を否定する理由は、どこにも無かった。

「分かった、ラナ。一緒に戦おう」

 ハーゲンの言葉を受け取ったラナは落ちた弾薬を回収し、弾倉に装填。そしてフル装填の弾倉を更に銃に装填し、コッキングレバーを引いた。

 ゼクローザスが手のひらを差し出し、ラナを肩に乗せた。


 正面のゲートより、発電所に突入するハーゲン達。

 光剣を抜き、正眼に構える。

「ラナ、振り落とされるなよ!」

「はい!」

 押し寄せる中型(A型やB型)の群れを、次々となぎ倒す。ラナやリオネ達も、各々おのおの手にした銃で援護射撃をした。

『ハーゲン、2時の方向にG型!』

『はい!』

 ネーゼからの指示を聞いたハーゲンは、ゼクローザスを低高度跳躍させた。一瞬遅れて、先程までゼクローザスがいた位置をガトリング砲弾の嵐が通り抜ける。

「しゃらくせぇ! ラナ、車の上に行けっ!」

 ラナを巻き込まないように退避させると、素早く接近する。弾丸を撃ち尽くしたG型は、冷却の為に行動が出来なかった。

「おらっ!」

 首を切断し、一撃で沈黙させた。

 すると、周囲の地面がズシンズシンと揺れ始める。

『ハーゲン! D型です!』

『わかっています!』

 以前苦戦したD型だ。だが、二度は遅れを取らない。

「来いよ、Tレックス!」

 一騎打ちだ。

 D型は咆哮を上げた後に、ゼクローザスに突進する。だがそんなものを受けてやるほど、ハーゲンは律儀ではない。右方向に軽く跳躍すると、D型は背を向ける格好になった。

「隙あり!」

 そのまま胴体を袈裟けさ斬りに両断。落ちた頭部も、念入りにコアを両断した。

「今です、行きましょう!」

 ハーゲンは他の3人と1体が乗っている4WD車を呼び、エレベーターへ向かって行った。


「着いたか。通れそうな高さだな」

 エレベーターが最後まで降り、移動を続けたハーゲン達。


 そこには、無数の所員の亡骸なきがらがあった。


「こりゃ、一仕事あるぜ……!」

 ハーゲンが厄介そうに吐き捨てた直後、サイボーグの一群がいた。数は千体を下らない。

「言ったそばから出やがった……!」

 光剣を装備し、ゼクローザスは突撃した。

「邪魔だ、俺達は仲間のために行くしかねえんだよ!」

 だが、斬れども斬れどもサイボーグの数は減らない。

「クソッ、きりがねえ……! 持久戦だぜ……ッ!」

 ハーゲン達一行は、破壊しながらの進撃を敢行した。


 三十分後。

「はあっ、はあっ……。ようやく殲滅せんめつしたぜ……!」

 移動しながら千体以上のサイボーグ達を破壊した一行は、を確認した。

「龍野達……もう突入してんのか!?」

 はやるハーゲン。しかしそれを抑えるかのように、ラナが呼びかける。

「ハーゲン様、よろしいでしょうか?」

「何だ?」

「ハナダを救うには、必ず破壊すべき機械が存在します」

「何だ?」

「『スネアー』と呼ばれる機械です」

 スネアー。先程の龍野達との打ち合わせで確認した機械、そのシルエットを、ハーゲンは脳裏に浮かべた。

「あれか」

「ええ。あの機械を破壊しなければ、ハナダ救出は絶対に成功しません」

「逆に言えば、それさえ破壊すればハナダ氏を助け出せるわけか」

「ええ」

 力強く頷くラナ。

 その様子を見て取ったハーゲンは、声高らかに最終決戦の開戦宣言をした。

「みんな、準備はいいな!」

 ゼクローザスから呼びかけるハーゲン。

「ええ!」

「もちろんよ!」

「いつでもどうぞ!」

「はい……!」

 その声に、ネーゼ、リオネ、金森、ラナの3人と1体が……いや、4人が答えた。

「行くぞ!」

 こうして、ハーゲン達も中に飛び込んだ。


 そこでは、既に龍野達が戦っていた。



作者による追伸


 有原です。

 ハーゲン達一行も突入の最終フェーズまで進みました。

 次回、最終決戦でございます。なお視点は、龍野達に戻します。

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