vs"I"(後編)
「この辺りだな……ッ!」
居住区に到着した龍野が、早速顔をしかめる。
「またあのゴリラ野郎か……! クソッ、いったい何人殺せば気が済むんだ!」
毒づく龍野だが、彼の最悪の気分はすぐにヴァイスに打ち消された。
『そこから右に500m程の距離よ!』
『了解! ところで、近くに他のゴリラどもはいるか!?』
『今のところ、姿が見えないわね……!』
『あいよ! だったら、あいつを倒して終わりだな!』
龍野は加速し、一気にゴリラとの距離を詰める。
『見つけたぜ、ヴァイス! これより戦闘に入る!』
『ええ、気を付けてね龍野君!』
ヴァイスの激励を聞き届けた龍野は、すぐさまマシンガンを構える。
今度も龍野に対して背面を向けた状態だ。命中すれば、12.7mmで充分通用する……!
「よし!」
引き金を絞るように引き、弾丸が連射される。
ある程度の反動によるブレはあるものの、龍野は腕力にものを言わせて強引に抑える。
結果、先ほどよりも高い集弾率をもって、ゴリラの装甲を削った。
「よし、後はグレネードで……!」
龍野は地面に降下し、ゴリラの25m程度後方の位置を保ち続ける。
「終わりだ……!」
魔力で信号を送り、ロケットグレネードが発射された。
装甲の薄い背面に命中。数秒の沈黙の後に、ゴリラは爆発した。
「どうだ……!」
『龍野君、後ろから増援が……!』
『何っ!?』
龍野は無意識下で、マシンガンを魔術で異空間に飛ばした。
そして振り向いた先には――
真っ赤に光る腕を構えたゴリラが、龍野を狙っていた。
(クソッ……罠、かよ……!)
そして龍野は、高熱の破片を主成分とした爆風をもろに浴びた……。
*
『龍野君。龍野君、応答しなさい』
広範囲が焦土と化した3番エリアの居住区にて。
龍野は、ヴァイスの呼びかけを聞いていた。
『何だ? しばらくボーッとしちまってたぜ』
『今なら、あの機体は意識を貴方以外に向けているわ。仕留めるチャンスよ。制限も一切解除する、わかるわね?』
『ああ、やってやるぜ!』
龍野は大剣を召喚し、ヴァイスのサポートを得ながら背後を追跡する。
『距離150m。右折して!』
指示に従いつつ、剣を構える。
『見つけたぜ!』
『後は好きなようにしていいわよ。ただし、確実に撃破すること!』
ヴァイスは指示を打ち切り、様子を見守ることにした。
「おい」
龍野は拡声機能をオンにすると、大音声でゴリラを呼び止める。
「さっきはよくも、やってくれたな。おかげで無関係な人間が次々と死んじまったじゃねえか、ああ?」
言葉を止め、ゴリラの様子を確認する。
ゴリラはゆっくりと振り向き、正面を向いた。
龍野は最小限度の魔力で、浮遊を始める。同時に、大剣に魔力を纏わせた。
「覚悟しろ……一対一のタイマン勝負といこうじゃねぇか!」
そう叫ぶと、一直線に加速する。
ゴリラが腕で龍野を掴もうとするが、龍野のスピードが上だ。すれ違いざまに、頭部の装甲を切る。
魔力を纏った剣は、分子レベルで物質を分離する。少々堅牢な程度の装甲など、紙同然だった。
背面から腕部と胴体の関節を狙い、ビームを放つ。
いとも容易く、自慢の腕は分離された。
「まだだ……ッ!」
龍野は二連続でビームを放ち、脚部をも胴体から分離した。
「さあ、これで最後だ。来いよ、ゴリラ野郎……!」
ゴリラは最後の悪あがきとばかりに、腕部を赤熱させる。
そして――
龍野は急加速してゴリラの頭に大剣を突き立て、ビームを放って完全に息の根を止めた。
「これが、俺とお前達の実力の差だ……わかったか、クソ野郎どもが!」
龍野は片腕だけのゴリラを尻目に、次のエリアまで向かうことにした。
『お疲れ様、龍野君。私も後で合流するわね』
ヴァイスも龍野の傍まで飛翔し、合流を完了した。
今回の戦闘における犠牲者
まともな教え教会信者…… 100人(100点)
セレブ…… 135人(675点)
仕事屋…… 173人(1,211点)
他サイボーグ…… 0体(0点)
合計…… 408人(1,986点)
現在の龍野の撃破スコア……6体(6,000点)
マシンガン……73 + 200×5 発
グレネード…… 1 + 3×5 発
作者による追伸
有原です。
どうやら、私の作品のキャラクターが、別の参加者様の作品にゲスト出演したようですね。嬉しい限りでございます。
しかし、思ったのですが……
自分で執筆しておいて何なのですが、今回の犠牲者の数、少なくありませんか? しかも、四体の累積で、スコアは2,000未満ですよ! どうなってんの!(イベントに毒されている)
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