010 お昼はちゃんと食べないとダメ

「あれ? リアちゃん、お昼ご飯ってそれだけなの?」


 ひたすら走り続けただけで午前の訓練が終わり、長めの昼休憩でミレイが見かけたのは小屋の中でパンを囓るチームメイトの姿だった。

 黒っぽいパンはサイズも小さめで、ミレイなら三つ食べても満腹にはならない。まさかそれだけとは思えなかったからつい訊ねたものの、リアから返って来たのは首肯だった。


「朝は少し多めに食べたのでな。それに……もう一つ持って来てはいるが、あまり食欲も湧かぬ。口惜しいが、もう少し体力をつけねばな」

「それにしたってパンだけだと味気ないよ。あっ、あたしのと交換する?」


 そう言いながらミレイが突き出したのは、竹で編まれたランチボックスだ。蓋を開けると中には溢れんばかりの野菜と肉を挟んだパンが入っている。それも二つの大ボリュームだ。


「ほらほらっ、同じパンでもこっちは具がみっちりだから! 野菜と卵と、あと蒸した鶏肉も入ってるんだよ! 美味しそうでしょっ?」

「……ああ、それは認める、が……味や中身より、量が……」

「あっ、大丈夫! もしかしたら足りないかもと思って、もう一箱あるから。だからリアちゃん、遠慮無く食べて!」

「……う、うむ…………では半分だけ……」


 何故か頬を引き攣らせつつ、リアは特製具沢山サンドを取ってくれた。代わりに、もう一つあると言っていたパンの袋をミレイへと渡して、


「では、其方にもこれを。蜂蜜が入っているから、同じパンでもデザート代わりになろう」

「やたっ。あたし甘いの好きなんだよ。砂糖も蜂蜜も高くてあんまり食べられないから、嬉しいなー」

「む、そうなのか。贅沢をしているつもりはなかったのだが……ふむ、やはり貴族を基準にしてはいかんな」

「でも、リアちゃんってお姫さまでしょ? ちょっとくらい贅沢してても誰も文句言わないんじゃない?」

「確かに文句は言われぬだろうが、これでも国の将来を案じているのだ。搾取され続け痩せ細っていく未来は避けねばならん。その為にも、虹星練武祭アーヴェスト・サークルで活躍し発言権を高める必要があるというのに……!」


 ギリ、と歯軋りの音が聞こえてきそうなくらいに悔しげな表情をするリアに、ミレイは慌てて方向転換になりそうな疑問を口にする。


「でもほらっ、お姫さまなんだから騎士エストじゃなくて女王さまを目指せるよ! リアちゃんならきっと、凄く暮らしやすい国に出来そうだし!」

「世辞だとしても嬉しいが、わたしが女王になるのはまず無理だ。現女王に夫も子もいない以上、継承権の通りに事は運ぶであろうし、己は貴族連中に好かれておらぬ。まず支持は得られぬだろうし、目覚ましい功績でもなければ国政にすら携われぬであろうよ」

「ええー……そういうものなの? リアちゃん、こんなに真剣に考えているのに?」

「政争とは下手をすれば剛魔獣ヴィスト退治より厄介だぞ。故にフランベル殿は王位継承権を放棄する代わりに女王代行の役目を得た。権限など殆ど無く、面倒な仕事ばかりの損な役回りを、国の為にと自ら買って出たのだ。己が尊敬する数少ない人物だ」

「へぇー……ベルさんってそういう経緯で女王代行になったんだぁ……」


 庶民の耳にはまず入らない情報にミレイが驚いていると、何故か教えてくれたリアの方もやや驚いた顔をする。


「む……其方、女王代行と知己なのか?」

「あ、うん。お姉ちゃんと仲良かったから、小さい頃から知ってるよ。最近はずっと会ってないけど」

「…………そうか、そうであったな」


 説明は最小限だったが、それでリアは十分に理解してくれたらしい。その声音が明らかにこちらを気遣ったものになっていて、ミレイとしてはそこまで気にしてくれなくてもと思ってしまう。

 言葉遣いが偉そうなので生意気そうな印象もあるリアだけど、心根は優しい少女だ。しっかりしているし、年下だけどリーダー格としてチームを引っ張ってくれる。頼りになる存在で、同年代の友人達にはいなかったタイプだ。

 そんな彼女が虹星練武祭アーヴェスト・サークルに挑む理由は、少しだけ分かった。何となく今言った以外の理由もあるんだろうなと感じているが、そこに踏み込むにはまだ関係性が浅いように思える。

 とはいえ予選までそこまで時間もないことだし、玉砕覚悟で突っ込むべきなのだろうかとミレイが悩んでいると、先に口を開いたのはリアの方だった。


「ところで、己よりも向こうの二人を構った方がいいのではないか? 彼奴等は己と違っていつもパンすら食べてないようだぞ?」

「えぇっ!? そんなの絶対ダメだよ、ちょっと行って来るね!」


 午後もハードな運動が控えているかもしれないのに、そんなことを聞いて黙ってはいられない。余計なお世話なのは百も承知で、ミレイはすぐに小屋の逆サイドにいるシーリスとセーラの元へと行く。

 これまでの訓練日は二人共どこか外で食べていたはずだが、今はちょっと風が強くて砂埃が舞っている為か、珍しく小屋にいる。ただし二人の間には微妙な距離があって、会話をしている様子はない。

 そして何より問題なのは、確かにリアの言う通り、二人はろくな昼食を摂っているようには見えなかった。シーリスは乾燥した何かの肉を囓っていて、セーラは柑橘系の果物を食べているだけ。それ以外を用意している様子はない。

 なので二人に近付いていったミレイは、両者がほぼ同時に顔を上げて自分を見た瞬間に大きく口を開け、


「二人共っ、お昼はちゃんと食べないとダメだよ! そんなのじゃもたないんだから!」


 突然の発言に、シーリスは鬱陶しそうに眉間に皺を寄せ、セーラは戸惑っているのかパチパチと目を瞬かせる。

 この反応の薄さにミレイはめげず、自分の特製パンを大胆に中央から二つに千切り、それぞれ二人に突き出した。


「ほらっ、これ食べて! ちょっとでもお腹に入れれば動けるかもしれないけど、体は強くならないんだよっ。だから食べるの!」

「いや、俺は、」

「……わたし、あんまり、」

「大丈夫っ、これ美味しいから食べられるよ! うちで採った野菜と卵を使っているし、お肉も今朝知り合いのところで絞めたばかりのやつだから新鮮だよ!」

「……うちで、というのはどういう意味だ、です?」

「あっ、あたしの家って農場やってるの。あんまりおっきくはないから、町にはそんなに卸せてないんだけど」


 とはいえ、味と栄養には自信がある。手間を掛けて育てているし、ミレイも手伝っているので余計に美味しく感じられた。


「レグ兄だって昔は野菜嫌いだったけど、うちの野菜なら文句を言いつつ食べてくれるようになったんだよ。だから、ね?」

「……仕方ないから貰っておいてやる、です」

「…………ありがとう」

「うん、食べて食べて」


 差し出したパンは無事に受け取って貰え、ミレイは笑顔で頷く。

 リアもそうだがこの二人も数ヶ月前、虹星練武祭アーヴェスト・サークルを目指す騎士エスト候補生が集められた際に初めて出会った。だからこうしてチームを組んでいても、知らないことはたくさんある。

 訓練日以外は会わない……どころか、連絡先も知らない。二人がどこに住んでいるのかさえ曖昧だ。

 折角なので色々訊きたいと思ったミレイだが、その前に干し肉を食べ終えたシーリスの方から質問が飛んできた。


「……そういえばお前、英雄殿と仲が良いみたいだな、です。歳は違うはずだが、昔からの知り合いなのか、です?」

「うん、そうだよ。あたしがちっちゃい頃からの……まあその時はレグ兄も小さかったけど、お兄ちゃんみたいな感じだったよ。よくご飯食べに来たし、遊んでもくれたし」

「なら訊くが、昔から俺達にやらせているような訓練をしていたのか、です?」

「んー、どうだろ。レグ兄、ずっと一人で訓練してたみたいだから。お姉ちゃんが訓練相手になってた時もあったけど、創撃武装リヴストラも出せない時期から木の棒を武器代わりにして試合っぽいのをしてたみたいだし」


 どちらかといえばミレイはその手の遊びが好きじゃなかったので、騎士エストを目指す二人のごっこ遊びの延長にも見える訓練には同行しなかった。危ないからと親にも行くのを止められていたし、二人が帰って来ていつもレグだけ傷だらけになっていたのを見て、騎士エストになるのは大変なんだなとも思っていた。


「そういえばあたし、普通は騎士エスト候補生がどういう訓練するのか知らないかも。シーちゃんの家ってたくさん騎士エストになってるんでしょ? 普通はどんな訓練するの?」

「……創撃武装リヴストラが出せるようになるまでは基礎体力作りと、武器を使っていくつかの型をひたすら続けるだけだ、です。創撃武装リヴストラが使えるようになれば、そこに錬技スキルを練る訓練が加わる、です」

「へー……じゃ、シーちゃんもずっとそんな訓練してきたんだ。凄いなぁ……」


 家の農作業を子供の頃から手伝っていたのでミレイも体力だけは自信があるけれど、ただ走るだけでもシーリスは洗練された動作で全然違う。リアも綺麗な動作をするが、疲れるまでの早さと、疲れてからもフォームがあまり乱れない点で大きな差がある。

 ただ走り回るだけならミレイの方が長く持つだろうが、一定の速度で錬晄氣レアオーラを保ちつつ……となると、差は歴然だ。

 感心しきりのミレイだったが、何故かシーリスは疎ましげな目で見返してきて、


「……言っておくが、俺が虹星練武祭アーヴェスト・サークルに出るのは騎士エストになる為じゃないぞ、です」

「えっ、そうなの?」

「そもそも騎士エストになるだけなら虹星練武祭アーヴェスト・サークルに出る必要は無い、です。入団条件の二十歳以上から三十歳未満で創撃武装リヴストラが出せること、副職を持たないこと、未婚であることの三つをクリアしていれば基本的には男女別なく誰でもなれるからな、です。それなりに厳しい試験は用意されているはずだが、です」

「あ、そういえばそうだね。騎士エストになる人は虹星練武祭アーヴェスト・サークルに出る人が多いって聞いていたから、てっきり……」

「この国では騎士エストと名乗れるのは騎士エスト団に入団した者のみだからな、です。虹星練武祭アーヴェスト・サークルに出た者は入団試験を免除されるから殆どが入団するはずだが、です」

「じゃ、レグ兄は正式には騎士エストじゃないの?」

「……覇星騎士エストは名誉だけでなく、各国公認で騎士エストと認められます。だからウェザー教導員コーチ騎士エストを名乗っても問題ありません」


 丁寧な解説をしてくれたのはセーラだ。小さな口で大きなパンを食べるのに苦戦しているみたいだが、それでもちゃんと食べてくれている。

 そのことにちょっとだけ安心しつつ、ミレイは新たに浮かんだ疑問をそのまま口にした。


「じゃ、どうしてシーちゃんは虹星練武祭アーヴェスト・サークルに出たいの?」

「俺の強さを証明する為だ、です」


 シンプルな回答だが、そう答えたシーリスの目は鋭い光を帯びていた。揺るぎない意志と、そこに懸ける思いの深さを窺わせる。


「この国の代表として虹星練武祭アーヴェスト・サークルに出られるだけの強さ――そして他国の騎士エストにも劣らないことを証明する為に出るんだ、です」

「……じゃ、虹星練武祭アーヴェスト・サークルに出るだけじゃダメなの?」

「当然だろ、です。覇星騎士エストの存在は遠いが、一勝もせずに帰国するんじゃ目的の半分も果たせないからな、です」


 意気込みの割にトップを目指すのは厳しいと言っているのは、実際に覇星騎士エストに選ばれたレグと相対した経験からだろう。四人がかりで手も足も出ないどころか動かすことすら出来ずレベルの違いを痛感して、現実的な目標を掲げているのだと思う。

 ただ、ミレイから見てシーリスの態度はレグに反抗的で、敗北を認めてはいても屈服してはいないみたいだった。リアも同じく乗り越えることを諦めてなさそうだが、シーリスの場合は少し敵視している感が強い。

 これが思い過ごしならいいけれど、当たっているのなら自分が間に入って仲良くなる切っ掛けを作らなきゃ……とミレイが思った矢先、シーリスが鋭い視線を飛ばしてくる。


「……これは有り難く貰っておくが、同じチームでも馴れ合うつもりはない、です。予選を勝ち抜くだけの力がないなら邪魔なだけだしな、です」

「あ……シーちゃ……」


 言うだけ言ってシーリスはその場を離れ小屋の外へと行ってしまう。止めようとしたミレイだが、背中から明らかな拒絶を感じてしまい、強くは呼び止められず去って行くのを眺めるしかなかった。

 そう簡単には仲間として認めて貰えなそうだが、ミレイは挫けていない。リアとも仲良くなるまで色々あったけど、根気よく接し続けて、今では友人として認めて貰えている。

 シーリスと仲良くなる手段は、たぶん簡単だ。予選で勝てるだけの強さを身に付ければいい。……尤も、その『強くなる』というのがとても大変なのだけれど。

 そしてこの場にはもう一人、まだ仲良くなれていないチームメイトが残っている。

 チームを組むことになって初めて挨拶を交わしたその少女とは、これまで事務的なもの以外の会話をしていない。ミレイとしてはガンガンいきたかったが、セーラは距離を置きたいタイプらしく休憩の時もぽつんと一人でいて、そっとしておいて欲しいオーラを出しているので強引にいくと避けられそうな気がしていた。

 だが、そういう意味では今は絶好のチャンスだ。パンも受け取って貰えたし、これを機に少しは仲良くしたい。

 まだ十四歳の小さな少女に対し、ミレイは彼女の前にしゃがみ込んで、


「セーちゃん、体は大丈夫? 午後も出来そう?」

「……はい、大丈夫です。まだ、やれます」

「そっか、それならいいんだけど……でも無理はダメだよ? レグ兄、自分にも他人にも限界を要求するタイプだから」

「…………それは……何となく、分かります」


 聡い子みたいだから、その辺りは察していたらしい。ただ、まだまだ成長途中な上に小柄なセーラに無理は禁物なので、チームの中では最年長のミレイとしては気に掛かる。


「あんまり運動は得意じゃないみたいだけど、セーちゃんはどうして騎士エスト候補生になったの? リアちゃんやシーちゃんみたいに好戦的でもないし」

「……魔力量が凄い、らしくて……子供の頃から錬晄氣レアオーラは使えていましたし……」

「えっ、そうなの? 自然と出来るものじゃないって聞いてたけど」

「……わたしの両親、創撃武装リヴストラ剛魔獣ヴィストの研究者でしたから」

「へえぇー……じゃ、小さい頃から訓練はしていたの?」

「……少しだけ」


 謙遜なのか事実なのかは分かりづらいが、どちらにしてもセーラが秀でた才能の持ち主なのは疑いようがない。創撃武装リヴストラだって、他に見たことがない形をしている。


「じゃ、あの大砲っぽい創撃武装リヴストラはパパやママの研究の成果なの?」

「……その一つです。本当はもっと創り出したい形があるけれど、未熟なのであれが精一杯でした」

「そうなんだぁ……あれでも十分凄いけど、完成したらもっと凄いんだね。そしたら虹星練武祭アーヴェスト・サークルでも大活躍出来るよっ」

「……そう、ですね。虹星練武祭アーヴェスト・サークルで活躍すれば、研究費用を出して貰えるはずだから……頑張らないといけません」

「研究費用? あれ、でも、創撃武装リヴストラとかの研究をしているのは……」

「……今はわたしです。両親は……二年前、亡くなりましたから」

「ぇ……」


 セーラのことをもっと知りたいと会話を繋げていたミレイは、全く予想していなかった言葉に言葉を失う。

 だが、セーラは澄んだ瞳に何の感情も映さないまま、淡々と続けた。


「……今はお祖父さんと二人で生活するだけで、精一杯ですから。研究を続けるには、有用性を再認識して貰う必要があります」

「…………それ、は……虹星練武祭アーヴェスト・サークルに出れば、叶うの?」

「……恐らく、ですが。創撃武装リヴストラの新たな可能性を示せば……もしかしたら、他の国からスカウトが来るかもしれませんし。そうなれば乗るだけです」


 虹星練武祭アーヴェスト・サークルは国の威信を懸けて競うものだと言われているのに、セーラはそんなことに全く興味なさげだった。高く買ってくれるのならばどこでもいいという姿勢で、ミレイからすれば凄いなと思うけれど、愛国心に溢れる人が聞いたら激怒しかねない。近くにリアがいない時に訊いて良かったと心の底から思う。

 どう反応すればいいか困ってしまうミレイだが、セーラは気にする風なく手の中のパンへと視線を落として、


「……わたしの目的は研究を再開出来る環境を作ることで、虹星練武祭アーヴェスト・サークルの出場はその為の手段です。皆さんと違って、強くなりたい理由としては不純かもしれません」

「…………そんなことない。全然そんなことないよ、うん」


 確かに、真っ当に立派な騎士エストを目指し、その過程として虹星練武祭アーヴェスト・サークルに出ることを栄誉と考える人達からすれば、非難の対象になるのかもしれない。

 だが、奇しくもこのチームにはその真っ当な流れが動機の人間はいないらしかった。

 リアは国の為に、己の立場を上げる通過点として。

 シーリスは自分の強さを証明する為。

 そしてセーラだけでなく、ミレイ自身も――


「……あたしも、人のことをとやかく言えるような動機じゃないしね。でも……」

「…………?」

虹星練武祭アーヴェスト・サークルに出たいって気持ちは本当だよ。それは皆、同じだもん。だから皆で頑張って強くなろっ!」


 最後は笑顔でそう言うと、ミレイはぐっと親指を立ててやる気をアピールする。それぞれの最終目的はどうあれ、その為の目標は同じだ。まずは虹星練武祭アーヴェスト・サークルに出る為の予選を勝ち抜くこと、そこは変わらない。

 突き出された手をじっと見つめていたセーラは、ややあってからこくりと小さく頷いて、持っていたパンを再び囓る。

 その様子を見てミレイも頷くと、自分の分の昼食を取りに荷物を置いた場所へと向かう。

 強くなる為にもまずは食べて、それからゆっくり休んで、午後の訓練もしっかりこなさなければ。体力的にはまだ余裕はあるが、走りながら錬晄氣レアオーラの繰氣を続けたせいで頭が疲れているのか少しぼんやりするので、ちょっとだけ寝て頭をリセットしておきたい。


「パパパッと食べて、それからお昼寝だね。午後も頑張るんだから……!」


 気合いを入れて呟いたミレイは、すぐに荷物の中から念の為に用意しておいたパンを取り出してかぶりつく。

 そして他の子達よりも圧倒的に早く食べ終えると、そのまま荷物を枕にして横になり……

 少しだけでも頭を休ませられれば、と思っての試みは、数分と経たずに本気の睡眠へと移行して、訓練開始直前にリアから叩き起こされるまで眠り続けた。

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