第9話救出
「どうしよう。助けたほうがいいのかな。でも人間怖いし。」
しばらくの間ぐずぐずしていたが、ブーブは決然とした様子で
隠れていたこたつの中から這い出してきて
ミノムシ状態で身動きが取れない兄弟のもとに歩み寄り、
ブーブは縄をかみ切り始めた。兄貴は気絶していた。
「なんでここにイノシシがいるのだろう。」
と弟は驚いたが、口にさるぐつわをかまされているので
言葉にならない奇声を発してうめくだけであった。
「さあ、終わった。もう大丈夫ですよ。」
とブーブが言うと、弟が
「ありがとよ。」と言ってブーブのごわごわした毛をなでてやった。
「とんでもない。カップ麺を少しつまみ食いしてしまいすみません。」
とブーブが言うと、
「いいってことよ。」と弟は手を振ってみせた。
「あれ?この少年はなんで動物である僕の言葉が分かるのだろう。」
とブーブは不思議に思ったが、面倒くさいことは後回しにした。
「知らない男にいきなり駐車場で拉致られて、このありさまさ。」
「ふうん。人間は動物にだけ危害を加えるのだと思ってたけど、
同じ人間もひどい目にあわせるんだね。」
とブーブはため息をついた。
「おい、兄貴。目を覚ませ!」と弟は兄を揺り起こした。
「あれ?どうなってるんだ?
いきなり後ろから誰かに殴られたのは覚えてるけど。」
と兄は少しぼんやりしていた。
「ここのイノシシ君が助けてくれるまで縛られて転がされてたんだよ。
この状況から脱出するにはどうすればいいか作戦を立てようぜ」
と弟がせかした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます