第9話 訓練終了と明日の予定
「アレイさん、イオさん、時間ですよ。お疲れ様でした」
ロニが地下室に入ってきたことで、色々あった――所々記憶がないが――二十日間の訓練が終わったことを知った。
くっ、訓練中のエフィエイラへのキスは叶わなかったか。
「これで終わったんですね」
「イオさんにしてみれば二百日ですし、大変でしたね。外のことを色々忘れているでしょうから、分からないことがあったら訊いて下さいね。さあ、外ではエフィさんがご馳走を作って待ってますよ。行きましょう」
「ご馳走……前に食べた身体が熱くなったり、逆に冷たくなったりするやつかな?」
「……今回のは普通の食事です。前にエフィさんが食事に混ぜたっていうのは忘れてください」
「ああ、流石にあの後エフィに説教をしたから、安心しろ」
「それなら良かったです」
あれはやばかった。四日目にそれを口にした後、気付けば十二日だった。もちろん、外の日数で。
ロニの悲痛な呼びかけによって意識を取り戻した時は、延々と剣の素振りをしていたし、俺の周囲で十本の石剣が実剣に合わせて振り回されていた。身体つきが何故か良くなっていたのは、食事のせいなのか、意識のない間に何かがあったのか――。
「まあ、何にせよ、皆さんのお陰で少しは強くなれました。ありがとうございます。塔でどれ位通用するか楽しみです」
□
食事はとても美味しかった。エフィエイラにも食事の礼と合わせて訓練の礼をした。
その後、食後の腹休めをしているとアレイ達が明日の予定を伝えにきた。
「明日は一の塔に行く。調査とイオの実戦経験を得るのが目的だが、行ける所まで上に行きたい。慣れないことも多いと思うが付いてきてくれ」
「今のイオなら余裕」
「必要な物資はもう揃えてあります。だから今日はしっかり身体を……心を休めて下さいね」
早速俺の塔デビューか。腕がなるぜ。
あ、防具のサイズ調整しておかないと。えーと、グリタはどこだっけ?
「皆さん、グリタ見ませんでした?」
「グリっちならここ」
エフィエイラがローブを広げて、左太ももを指差した。
なるほど、絹のように白いすらっとした太ももに、白い箱がある。グリタだ。お前、俺の時は肩乗りだっただろ。ぶっ壊すぞすけべ野郎。
「グリタ、こっちに来て鎧を出してくれ」
「……ちっ」
こいつ、舌打ちしやがった。
凄く嫌そうにエフィエイラの太ももから離れて俺に近づいてきた。
「ぺっ」
吐き捨てるように出された鎧が足元に転がった。イラッとしたが、ここは我慢だ。アレイに教わりながら鎧を調整する。
その間にグリタが肩に上ってきて、また耳に噛み付いた。瞬間的に闘気で防御する。うん、痛くない。
グリタが歯が立たない事に気付き、悔しそうにしている。これで少し溜飲が下がった。
「イオっちとグリっちは仲良しさん」
仲良しではないと思う。ただ、こういう関係も悪くないかな。
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