第2話知りたくなかった
家に帰ったら直ぐに泉に連絡した。5分ほどで既読になりその日は一日中話していた。話すと自分の知らないことだらけだった。
泉はかなりの頻度で携帯をいじってる。だいたい連絡してから2分ほどで返信が来る。それに泉はイギリスのクォーターらしい。母親がハーフだそうで家ではみんな英語ではなすそうだ。流暢すぎて俺にはなんて言ってるか分からなかった。そして、泉は昔不登校だったそうだ。だから人と関わるのが怖いらしい。
そんなことまで話してもらえるなんて、自分はかなり信頼されてるきがする。これなら、まだ脈ある、いける。そんな風に自惚れてた自分がいた。
「 武田ー!聞いて、昨日泉とLINEで話せたんだよ」
話せた嬉しさのあまりつい言ってしまった。山中に聞かれたのが失敗だった。
「松本〜今のはどう言うことかな?詳しく聞かせて欲しいな〜」
その後は質問の嵐だった。でも悪い気はしなかった。なんだか答える度に泉との仲が認めれられてるそんな気になれた。
そして、泉と話せた1週間はあっという間に過ぎていった。そして週末、つまりは今日、いつもの5人で遊ぶことになった。
友達とカラオケに行くことになるなんて!未だに信じられない。本当に楽しみでしかたない。
1日カラオケにいるつもりだったが、フリータイムは取れなくて結局開店時間から入って3時間程で楽しい時間は終わりを告げた。
その後はファミレスで携帯のゲームをして過ごした。途中で俺は席をたった。そういえばあいつらに携帯を渡したままだったな。そう思ったときにはもう遅い。
「好きです」
俺が帰ってきた時、泉とのメッセージ履歴にあった言葉はこのひとことだった。
「おい、ふざけんなよ!お前ら何送ってんだよ。ふざけんなよ〜せっかく仲良くなれたのにこれで嫌われたらどうするんだよ。あーもう本当にお前らバカだろ」
「まだ既読ついてないし今消せば大丈夫だよ」
早く消さないとと、思ってはいたけどこのまま返事が来てしまえばいいのにと思った自分がいた。多分心の奥底にいけるかもという下らない自信があったんだと思う。
そんなことを考えながら俺はLINEを開いた。さっき送ったメッセージに既読の2文字がついていた。
そんなことを思っていたのに、実際になると耐えきれなくなった。すぐに「武田たちがふざけて送ったんだ〜」と謝った。
「大丈夫だよ〜全然気にしてないから、多分そんな事だと思ってた笑まだ塾だからまた後でね」と返ってきた。
心の中でとても安心した。これで嫌われなくてよかったと思った。その上また後でね、と言う言葉がすごく嬉しかった。
嬉しかったけど、とりあえず武田は1発殴っといた。その後も
「いい方向に行ったんだからいいんじゃ〜ん」とずっとぶつくさ言ってたけど、無視しておいた。
とは言え何だかんだ楽しかった。カラオケでアニソンを俺と武田で2人で本気で踊ったのは、かなり面白かった。みんなと別れた後、電車の中で泉から連絡が来た。
何を話そうかとワクワクしながら、開いたトークを見て僕は一度携帯を切った。そこに書かれてたのは今1番知りたくなかった事実だった。
「塾終わったよ〜今日は楽しかった?お昼のやつさ私彼氏いて困っちゃうからやめてほしいな」
泣き出したくなるぐらい、ショックだった。でも電車の中で泣くわけにもいかずに堪えるしかなかった。結局家に帰るまで返信できなかった。
家に帰ってゆっくりと気持ちの整理をしようと思ってた。それなのに、家に着いたら気が緩み、堪えていたはずの涙が溢れてしまった。もう、一度泣いてしまうとなかなかやめられず1時間ほども泣いた。
好きになって、思い続けたのは少しの時間かもしれない。でも俺はもうどうしようもないくらい好きになってた。
また、好きになった人は自分じゃない他の誰かが好きなのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます