狂戦士と化した魔物 2


「ギギャッ!」


あれから何度か攻撃をしているが一向にダメージが通っていない。

リアラの魔法で傷を付けられるかを試したところ剣で切るよりもダメージが入らなかった。

後から知ったことだが、ゴブリンメイジはゴブリンよりも魔法耐性がかなり高いらしい。

とりあえず、俺はリアラとエレナと合流する。すると、リアラが、


「シロさん、エレナさん。私に少し作戦があります」


と言ってきた。リアラが考えた作戦だ、かなり期待はできる。


「まず——」

「ギギャァァ!」


リアラが説明し始める瞬間にゴブリンメイジの邪魔が入る。それを回避したため、俺達がいる場所はバラバラになってしまった。


「くそっ、これじゃあ作戦の内容が(聞こえますかシロウさん)うわっ!?」


急にリアラの声が聞こえた。しかし、今リアラがいる場所は俺からかなり遠い。ということは……


(念話か?)

(はい、その通りです)


全魔法のスキルで全ての魔法が使えるからまさかとは思ったが本当に念話が使えるとは。

って、念話は魔法に含まれていたのか。ずっと、スキルなんじゃないかと思っていた。


(消費魔力が多いので簡単に説明します。シロウさんが創造したであろう、その……刀でしたっけ?それと同等のものを創造してエレナさんに渡して下さい)

(ん?……あぁ、そういうことか!了解した)


要するに、俺の刀と同等のものを創造して、その剣をエレナに渡し、起動スキルで滅多切り。俺の予想が合っていればこんな感じの作戦だろう。


(エレナさんには既に伝えていますのでよろしくお願いします)

(よし、任された!)


そして俺は、リアラに言われた通りこの刀と同等のものを創造し始める。いや、どうせならこれ以上のものを創造してやろう。


「創造!」


消費魔力は今の最大を超えた80。鋭さを七割、残り三割を重さ以外の部分に使う。エレナの起動スキルの特徴である速さの障害にならないように軽い短剣をイメージしながら創造する。

魔力が暴走しかけているが多少の無理は大丈夫らしい。


「ハァ……ハァ……よし、創造完了……!」


魔力が暴走しかけているせいで体が痛い。

—それがどうした。たかが体が痛いだけで戦えないなんて道理はない。ここでで俺が倒れたらリアラの作戦が台無しだ。何としてでもこの短剣をエレナに渡す!


「ギ?」


ゴブリンメイジが俺に気付いた。そして、俺が創造した短剣を見るなり走ってこちらに向かってきた。

魔物的本能か、この短剣に危機感を感じたのかもしれない。


「ここは一か八か」


そして俺もこちらに走ってきているゴブリンメイジに向かって走る。

そして、ゴブリンメイジの攻撃範囲に入った瞬間にゴブリンメイジは持っている斧を振り上げた。

俺は、ゴブリンメイジが斧を振り上げた瞬間に高速思考を発動する。


「「シロ(ウ)さん!!」」


二人の呼び声と同時にゴブリンメイジは斧を振り下ろす。それを俺は横に回避した後、瞬時にゴブリンメイジの斧に乗って斧の持ち手を通ってゴブリンメイジの肩に乗って飛ぶ。


「エレナ!受け取れぇぇ!!」


そして、上からエレナに向かって短剣を投げる。


「痛っ……!」


空中にいた俺は重力によって地面に落ちる。

そして、俺が投げた短剣をエレナは短剣の柄をドンピシャで掴む。


「受け取った!強化スキルで目を強化しておいて正解だったよ」


そして、短剣を受け取ったエレナの目が赤く光り出す。


「起動!」


その瞬間にエレナの姿が消える。

そして、しばらくして姿を現した。その瞬間、ゴブリンメイジの体はブロック状にバラバラに切り刻まれていた。


「いっちょ上がりってね!」


そして、そんな決めゼリフ的なことを言った後にエレナは疲労で倒れた。

そして、切り刻まれたゴブリンメイジは……


「と、溶けた……?」


切り刻まれたゴブリンメイジの死体は突然溶けだした。そして溶けて残ったものはゴブリンメイジの魔臓のみだった。


「……とりあえず、魔臓とエレナを回収してギルドに戻ろう」

「そうですね」


そして、エレナとゴブリンメイジの魔臓を回収してギルドに向かうためにガルメに向かった。

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