邪竜デスラの器 1
俺達は、無事にレジェスの町に戻って来た。そして、すぐに昇格試験の達成報告をした。その際に、ロテアの森の奥にいるはずのサイキュロプスが出現したことをギルドに報告した。
ギルドの役員達は急いで調査部隊を編成し、ロテアの森に向かった。
胸には大穴。目も潰されたとなると、さすがにサイキュロプスも生きてはいないだろう。だが、これで俺達も晴れてEランクという訳だ。
「今日は疲れたし、軽く夜ご飯を済ませて宿で寝るか。」
「…そうですね。」
どうしたんだ?町に戻ってきてからリアラの元気がない。俺と同じく疲れているのか、それとはまた別の理由か。
俺達は、前のようなレストランではなく売っているサンドイッチらしきものを買ってそれを食べた。
その後、昨日と同じ宿に向かった。
「すみません。」
「おお、お客さん。いつもうちに来てくれてありがとね。」
「いつも、て言いますけど昨日と今日だけですよ?」
「まぁ、そういう細かいところは気にしちゃダメだよ。」
いや、確かにそうだが…。そして、宿の人は「昨日と同じ部屋を使いな」と言って鍵を渡してきた。その鍵を受け取り昨日と同じ部屋に向かった。
リアラと別の部屋に入ってしばらくベッドでくつろいでいた時、
「シロウさん、少しいいですか?」
リアラが部屋のドアを開けて俺はに入室していいかを聞いてきた。
「あぁ、別にいいぞ。」
「それでは、おじゃまします。」
おじゃましますって、ここは俺の家じゃないぞ?俺が借りてる部屋ではあるが。
「ここに来た理由は、やっぱり—」
「はい。わかってはいるとは思いますが私の魔法についてです。」
やっぱりか。確かに、リアラ自身からこのことについては説明すると言っていたな。あのサイキュロプスの胸には大穴を開けるほどの威力を持つ正体不明の魔法についてはやはり気になる。
リアラは誰も聞いていないかを確認してから、
「それでは、あの魔法についてお話します。」
と言って、リアラは自分が持つ魔法についての説明を始めた。誰かが聞いていないことを確認するくらいだからあまり聞かれたくない話なのだろう。
「あの魔法は、
龍属性?なんだか最近聞いたことのあるような属性だな。……あれ?ちょっと待てよ。リアラは龍属性を持っている。そして、生まれつき多く魔力を持っている。更には銀髪。この特徴…ま、まさか…!
「まさか…!みたいな顔してますね。そのまさかですよ。」
リアラは覚悟を決めたのか、顔を上げて俺の目を見て言った。
「邪龍神教が探している邪竜デスラの器とは、この私です。」
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