幕間 ロテアの森にて

「どうだった?」

「すみません。失敗しました。」


ロテアの森の奥。そこで二人のフードを被った男が話をしていた。


「そうか。」


フードを被った男のうちの一人が言った。そして、もう一人が、


「ダンさん。どうやら、邪竜デスラの器は彼女で間違いないようです。」

「やはりか。あの一族から生まれてくる者の殆どが邪竜の器として必要なものが揃っているからな。今度こそ手に入れるぞナイヤ。」

「はい!」


ダンと呼ばれた男は口の端を吊り上げ怪しげな笑いをする。


「ところでダンさん。あのサイキュロプスはどうしますか?」


ナイヤと呼ばれた男がダンに質問する。ダンは当たり前のような顔をして質問に答える。


「ほおっておけ。魔物が死んだ後は数時間もすれば死体ごと消滅する。」

「わかりました。それにしても、まだ器だっていう確証が持てなかった相手に対してサイキュロプス召喚して調べるなんて容赦ないですね。」


どうやら、ロテアの森にサイキュロプスが出現した原因は彼らのようだ。それも、何らかの方法で誘い出したのでなく、召喚魔法によってだ。


「あと、器の隣にいた創造スキルを持つ彼女。器を手に入れるとなればかなり厄介な相手ですよ。」


ナイヤの言う彼女とは、おそらくシロウのことだろう。見た目が完全に女性なので間違えたのだろう。


「ふん、創造スキルと器の組み合わせとは運命を感じるな。」


ダンは余裕そうな表情で呟く。たとえ、創造スキルを持っていようと使い手によっては最弱スキルにまで降格してしまう。もし、将来最強になりうるかもしれない使い手だとしても早いうちに仕留めれば問題は無い。そうダンは考える。


「ナイヤ。その創造スキルで創造した物は何だ?」

「はい、あの戦闘で創造した物は剣のみです。」


剣のみ、という言葉を聞いた途端にダンは驚く。


(な!?剣のみだと?ということは、その創造スキルを持っている女は剣属性持ちという可能性が出てくる。そうなれば厄介だ。あらゆる剣を操れる剣属性を持っているのなら使い手によるが戦闘で勝てる可能性は低い。早めに仕留めるべきか。)


剣属性に焦りを感じるダン。しかしすぐに、元の表情に戻る。


「剣属性がなんだ。策を練ればいくらでも対抗できる。」

「え?剣属性持ち何ですか?創造スキル持ちの彼女。」


ナイヤが途中で質問を挟んできたが、ダンはそれを無視して森のさらに奥に向かって歩き始めた。


「今度こそ、我ら邪龍神教が邪竜デスラを蘇らせるのだ!ハッハッハ!!」


ダンは笑いながら。ナイヤはそれに呆れたような表情でダンのあとについて行く。


そして、その場からダンとナイヤ—二人の邪龍神教の信徒が姿を消した。

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