第一章 異世界生活の始まり

現状把握


 目が覚めるとそこは、大自然に囲まれた森の中だった。


(もう少し開けた所に送ってくれてもいいのに……)


 まだ名も知らない森の中に俺を送った女神に文句を言おうとするが、罰が当たるかもしれないのであえて考えるだけにした。


「とりあえず、まずは状況把握からだな」


 サラッ


「ん?何だこれ?」


 俺の頭から突然何か黒い糸のようなものが垂れてきている。頭から振り払おうとしてもなかなか振り払えない。とりあえず引っ張って見ると急に刺激が来た。


「痛っ!」


 刺激の正体は痛覚から来ているもの……つまり、だった。

 痛みがあるということは、どうやらこの黒い糸は俺の体の一部であるらしい。

 でも頭から黒い糸が垂れてるって、まるで髪の毛のような……


「ん?長い髪の毛……いや、まさかな……?」


一応、息子と胸を確認をした。


(…よし、俺の息子は健在。胸もぺったんこ、と)


とりあえず、この胸が究極の貧乳でない限りこの体が女の体である可能性はほぼ無くなった。

 しかし、まだ確かな確証が得られない。

 よし、ならまずは自分の姿がどうなっているかの確認だな。


「そうと決まればまず、鏡……はある筈ないから川か湖を探さなきゃな」


 ここが何処かは全く理解できていないが、行動しないことには何も始まらない。

 とりあえず前に向かって歩くことにした。


 歩き始めてから約15分後に川を見つけた。やっとこれで水分補給と自分の姿の確認が出来る。

 そして俺は、川に映った自分の姿を確認した。


「……………はっ!」


 しまった、あまりにも驚きすぎて意識が一瞬飛んでしまった。何に驚いたかって?そりゃあ……


「自分の見た目が完全に女子なんだからな」


 自分でも驚きだよ。まさか自分の見た目が男の娘になるなんて誰が予想できただろうか。

 あの女神様、性別は変えないでとは言ったが見た目を男の娘にしてもいいとは言っていないぞ……?

 いや、逆に男の娘にしないでとも言っていないな。


「はぁ、起きてしまった事にいくら文句を言っても無駄か」


 でも、最初の目的は果たせた。次は……ステータスの確認だな。


「見方は確か、ステータス画面をイメージする……だっけ?」


百聞は一見にしかずだ。理解より、まず実行だ、

 ステータス画面をイメージだ、イメージ……。

 イメージし始めてから間もなくステータス画面が出てきた。

 どれどれ、今の俺のステータスは……


シロウ サクラギ

HP正常 MP50/50

Lv1 次のLvまで後100exp


装備 皮の鎧 皮の小手 皮のブーツ

装備武器 なし


力 10

耐久 9

俊敏 11

幸運 1


スキル

・創造Lv1 ・不運 ・高速思考Lv1


称号

異世界からの旅人 男の娘


 ……まず一言だけ言わせてくれ、俺の幸運値低すぎじゃないですか!?

 他のステータスは全部大体10行くか行かないかくらいなのに幸運だけ1って。

 不運スキルがかなり影響してるのか?それとも、元々最初は皆低いだけなのか?出来れば後者の方であって欲しい。

 そう願う俺であった。


 とりあえずはスキルの詳細確認だな。見方はステータス画面を出す方法と同じでいいのか?


「お、出たか。やっぱり方法はステータス表示のときと同じだったか」


 えっと、どれどれ……。


・創造 Lv1 消費MP 10~25

 その名の通り、イメージ次第ではどんな物でも創造することが可能。

 しかし、創造出来る物は自分の持っている属性の物のみ。それ以外の物を創造しようとすれば自分の魔力が暴走してしまい、死に至る。

 より強いものを創造しようとすれば消費MPも増える。レベルアップで消費MPの最大量が増える。


 基本的には女神様が説明してくれた通りだな。

 でも、魔力が暴走して死ぬところは聞いていないぞ!

 何だよ魔力の暴走って。ドラ〇エでは魔法の威力が上がるのにこの世界では魔力の暴走で死ぬのかよ!

 さて、次のスキルは……


・不運

 自分の幸運値が激減する完全にデメリットしかないスキル。(レベルアップで上昇する数値も激減。)


 わー、説明が短くて素敵〜(棒)。

 ていうか、俺のステータスの幸運値が低いのってやっぱりこのスキルのせいか!

 しかも、Lvアップでも全然上がらないって嘘だろ?!

えっと、最後のスキルは……


・高速思考 Lv1 消費MP 1秒につきMP5

 頭の回転を速くすることで、周りがゆっくりの見える。

 しかし、決して早く動くことが出来る訳では無いので自分が動く速さもゆっくりになる。レベルアップで魔力を消費するまでの時間が延びる。


 なるほど、要するにスローモーションだな。

 でも、1秒で魔力5消費か……。今の俺で使える時間はぴったし10秒と。今の段階ではあまり実用性は高くはないな。


「よし、ある程度のスキルの確認は終わったな。じゃあ、そろそろ頑張って町か村を探すか。」


そうして俺は、まず森を抜けるために歩き始めた。

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