スキルと属性決め
「異世界へ行かない、という選択肢は——」
「勿論ありません。行かないと言うよりも行ってもらわないとこちらが困ります」
「ですよね~」
いや、決して異世界に行きたくないというわけではないんだよ?ただ、気になっただけだからね?
「ではまず、このくじを3本だけ引いてください」
「ん?何故唐突にくじ引きなんてするんですか?」
「転移する際に持って行くスキルを決めるためです。番号によってスキルが違います」
持って行くスキルは自由に決めれないのか。最近不運続きだが大丈夫だろうか……。
そう思いながら俺は、3本くじを引いた。
「くじの先に書かれている番号は何ですか?」
「えっと、21番と64番と100番です」
「わかりました。少しだけ待ってもらえますか?」
そう言って、女神様の手にとても分厚い本が現れペラペラ、とページをめくって行った。
「えっと、21番が高速思考で、64番が不運、100番が創造ですね」
ん?何か今おかしなスキルがあったような…?気のせいか。うん、きっとそうだ!そうに違いない!
「お、100番の創造を引くなんてラッキーですね!このスキルかなり汎用性高いんですよ!でも、64番の不運を引いちゃいましたか~」
やっぱり気のせいじゃなかった!不運って何だよ!絶対ハズレスキルだこれ!
「では、次に属性ですね」
「属性?」
「はい。異世界では最低でも1人1つは持っています。一般的には1つ。最大で3つですね。では、まずこのくじを1本だけ引いてください。それがあなたの持てる属性の数です」
「わかりました」
くじ引きなんて確率だ。最悪1を引いてもおかしくない。
(でも、できれば3を引きたいな)
そんな事を考えながら、俺はくじを引く。
「……よし、2を引きました!」
「2ですか、なかなかいいですね!異世界では、属性の2つ持ちは珍しい方なんですよ」
へぇ、そうなのか。属性3つ持ちはほとんどいない、ということか。3つじゃないのは残念だが1を引かなかっただけましだな。
「では、最後に属性です。このくじを引いてください」
「わかりました」
「あ、ここで重要なことが一つあります」
「はい、何ですか?」
くじを引きかけた俺に女神様が声を掛ける。
何だ?ま、まさか実は属性は自由に選ぶことが出来るとか?
「創造のスキルは属性によって創造出来るものが、かなり影響されます。持っている属性の物のみ創造が可能です。ですので、最悪属性によっては、創造すること自体が困難になります。創造スキルと相性がいいのは、全ての属性が使える全属性です」
「え?!」
待って、それだとこの属性選び超重要じゃん!全属性引かないと創造って名前がただの飾りになってしまうじゃないか!さっき汎用性が高いですよなんて言っていたけど、あれって属性が全属性だということを前提に言っていたのか?
「では、引いてください」
ここでハズレ属性を引いてしまったら、ハッキリ言って異世界で生きれる自信が無い。俺の一生分の運を使ってでも当ててやる!あ、でも俺死んでたわ。それでも頼む!
——全属性よ、来てくれ!
「いくぞ……!」
そして、俺は運命のくじを引いた。
その結果は……。
「……無属性と剣属性」
くそっ!全属性を引くことが出来なかった。でも、見た感じハズレ属性という訳でも無さそうだ。
「無属性は、火属性や水属性などとは違い、何も弱点属性もなく何も有効属性が無い属性です。剣属性は、あらゆる剣を操ることが出来る属性です。全属性は引けませんでしたか。残念でしたね……」
全属性は引けなかったが、戦闘には向いてるであろう剣属性がある。
無属性と剣属性だから、創造スキルで創造できるのは無属性の剣のみか。
「それでは、転移に移る前に重要事項を説明させてもらいます」
「あ、はい。わかりました」
「まず、スキルについてです。スキルは魔力を消費して発動させます。そして、スキルはレベルがあるものと無いものがあります。レベルがあるものは、レベルが上がる度に消費魔力が減ったり性能が上がったりし、レベルの無いものは性能や消費魔力の変化がないのが特徴です。スキルのレベルは自分のレベルアップと同じように経験値によってレベルアップします。次に、ステータスについてです」
「ステータスについては、俺の世界のRPGゲームのような感じですか?」
「はい、その捉え方であっています。では、経験値についての説明は省いてもよろしいですか?」
「はい。そうしてください」
スキルを使うための魔力をどうやって俺が手に入れるかについてはd——
「あ、その点は心配しないで下さい。私が貴方に合う体を作って、その体に憑依させるので」
え?その体に憑依するなら元の俺の体はどうなるんだ?
いや、待て。そういえば俺は死んだんだったな。そして、今の俺は魂の状態だ。なら、今さら体の心配をしたって意味が無いか。
「わかりました。でも……」
「何でしょうか?」
「誤って性別を変えないでくださいよ?」
「ふふ、わかってますって」
本当に大丈夫なのだろうか……。
とりあえず、性別が変わっていないことを祈らなければ。
「では、ステータスの見方についての説明が終わり次第異世界への転移へと移らしてもらいます」
「わかりました」
「ステータスの見方は簡単で、ステータス画面をイメージすると出てきます。以上で重要事項の説明は終了です」
ついに行くのか、異世界に……!
異世界定番のエルフやドワーフはいるのだろうか?
「では、準備が整いました。この扉を開けて先に進むと異世界に行けます」
「わかりました。女神様いろいろありがとうございました」
「いえ、こちらこそ久しぶりに楽しませてもらってありがとね」
「今度は間違えて、人を死なせないように気を付けてくださいよ?」
「ぜ、善処します……」
扉を開けて進めば、俺の異世界生活が始まるのか。
母さん、父さん。そっちでは大して何も頑張れなかったけど……。
「今度は、異世界で頑張ってみるよ」
そして、俺は異世界への扉を開けた。
こうして
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