折れた釈迦
体を殴り付ける雨粒。
侍はそれをただ耐え走る。
侍、偶然にも寺を発見。
これ幸いと断りもなく飛び入る。
寺の中、首の折れた釈迦の像を発見。
これは一体?と首を傾げた。
そこへ現れた一人の住職、侍に答える。
「あれは誰かの悪戯でああなった」
そしてうつむいたしがない住職、侍に語り聞かせる。
ついこの間の様な昔話を…。
昔々。
『お釈迦様の首が折れた』と寺中大騒ぎになった。
毎日の様に崇め、磨いて大事にしてきたお釈迦様。
お釈迦様の首を丁寧に直すも
何度も、何度も、何度も首は折れ、誰かが声を上げる。
「誰の仕業だ!!!」
丁寧に直した釈迦の首。
それが折れるのは誰かの悪行のせいである。
至急に住職達で議論を重ねたが、三日三晩巡っても犯人は分からなかった。
その間、釈迦の首は折れ続けた。
「えぇい!いい加減にしろーーーっ!!!」
気づけば誰かが拳を振り上げる。
「この罰当たり共めが!!!」
気づけば誰かが棍棒を振り回す。
「私は犯人ではないと言っているでしょうに!!!」
気づけば誰かが鉈を振りかざす。
気づけば
誰かが
誰かが
誰かが
を
振り
気づけば誰もいなくなった。
当時の住職はただ一人、隠れてやり過ごし、震えて朝を迎えた。
床に転がる釈迦の顔はいつもただ微笑むだけだった。
「これがそのお釈迦様の首を直さない理由さ」
住職は遠くを見る。
しかし
侍は釈迦を見る。
「ちょっとこの像を触らせてくれねーか?」
それを許可したしがない住職、侍を眺める。
「直そうとしても無駄だぞ?どうすると言うんだ?」
そして答えた一人の侍、住職に答える。
「あーこれは内側から腐食しているだけだわ!幸いにも俺はこういう修理が得意なんだ!こーすれば…ほら治った!!」
それを見て、驚いて、腰を抜かした住職。
人前で暴れる様に発狂した。
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