ゲロまみれ宴
焼鳥、卵焼き、焼き魚!
揚げ豆腐、唐揚げ、揚げ芋!
こんな晩餐にはやっぱ酒!
ハイになったら吐いてしまおう!
働く大人の胃に溜まった吐しゃ物を!
ハイになったので脱いでしまおう!
働く大人の胸に張り付いたプレッシャーを!
「この間さぁ~」「つれぇわぁ~」「家に帰りたくねぇ~」
「アイツ首になんねぇかなぁ~」「仕事やめてぇ~」「楽に稼ぎてぇ~」
「金が足りねぇ~」「人手が足りねぇ~」「休みが足りねぇ~」
限りある時間で開かれる宴と腹部。
朝日が昇ったら幕を下ろす。
床に吐いた汚物の事など気にもせず。
鶏もとっくに泣き止んだ次の昼。
宴のことなど夢の様に忘れた大人達は、たまたま歩いていた子どもと目が合う。
子どもは大人達を睨むような目をしていた。
「どうした?」
大人の一人が率直に聞いてみる。
「大人って大変なのね」
子どもはそれだけ言って走り去る。
大人達は困惑をしたものの、昨日の宴と同じく記憶から消してしまった…。
10年後…。
焼鳥、卵焼き、焼き魚!
揚げ豆腐、唐揚げ、揚げ芋!
こんな晩餐にはやっぱ酒!
相も変わらず、ハイになっては吐く大人達。
しかし今日は同じ悩みを吐いていた。
「新入社員がぁ~」「全然入社してくれねぇ~」「会社の高齢化~」
「若いのは社会が怖いだとぉ~」「だらしねぇ~」「甘えすぎぃ~」
「親が厳しくしなぃ~」「俺も息子がぁ~」「最近の若い奴分かんねぇ~」
限りある時間で開かれる宴と腹部。
朝日が昇ったら幕を下ろす。
その様子を『こっそり覗く子』など気づきもせず。
大人達はそれにいつ気づくのか?
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