ご飯をください

孤児院で子ども達にご飯を与える一人のシスターがいた。

子ども達は全員で4人、一人一人に平等にご飯を分配する。

不平等の無きように、一人一人に公平にご飯を分配する。


ある日、子どもの一人が風邪を引いた。

栄養を蓄えて欲しいので、その子にだけ少しだけ多く盛る。

周りのご飯から少しづつ削り、その分の体力を回復してもらう。


次の日、その子どもは元気になった。

しかし周囲の子ども達は昨日削った分、今日は多くして欲しいとねだる。

シスターは悩んだ末に明日の分から少しだけ食事を減らし、その分を分け与えた。


次の日、子ども達は量が少ないと文句を言い始めた。

シスターは悩んだ末に自分の分からたくさん食事を減らし、その分を分け与えた。




ある日、また子供の一人が風邪を引いた。

周りのご飯から少し削る。

次の日、その子どもは元気になった。

しかし周囲の子ども達は削られた分をねだるので、明日の分から減らす。

次の日、子ども達は少ないと文句を言うので、シスターから分け与える。


ある日、またまた子どもが風邪を引き、周りのご飯を削る。

次の日、その子が元気になれば、子ども達はその分ねだり明日の分から減らす。

次の日、子ども達が少ないと文句を言うので、シスターから分け与える。


またある日…、次の日…、次の日…・




そうした繰り返しの日々の中で子どもが問う。

「何故最初からシスターの分を削らない?」

シスターは険しい顔をし

「そんな事は出来ない」と一言だけ返す。




理解ができなかった子ども達。


どうせ繰り返されるのなら

今度はシスターから取ってしまおう

そうしよう


みんなで決めた答えだった。


ある日、子どもが風邪を引く。

子ども達はシスターからご飯を奪い、その分を与える。


その影響か




今度はシスターが風邪を引いた。

それに気づいた子ども達は




をシスターに与えた。




シスターの病は重く、中々治らない。

それでも子ども達はいつもと同じ量を与える。


孤児院はシスターが働かないので少しづつ汚れていく。

それでも子ども達はいつもと同じ量を与える。


庭の雑草は伸び放題。

それでも子ども達はいつもと同じ量を与える。


窓ガラスも割れ放題。

それでも子ども達はいつもと同じ量を与える。




結局シスターは他界し


ボロボロの孤児院と


空のまんまの食糧庫と


空の腹を抱え、さまよう子ども達だけが残された。

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