じつはね~その3~

白紙は全てを受け入れる。


夢、希望、冒険、友情、恋愛、日常…

悪夢、絶望、悲劇、殺傷、鬱、恐怖…

全てが許される、何よりも残酷で優しい世界だ。

故に綺麗である必要は無い。

むしろ汚物であるべきだろう。




情熱もいらない。

憧れもいらない。

体験もいらない。

如何に醜悪であろうとも構わない。

きっかけに大層な過去話はいらない。




ある男は根に持ちやすい性格をしており、些細なことで感傷に浸った。

いつしか心にあるのは悪意のみ。

それは抑圧せども溢れかえる後悔の泉。

それは怒りと不安を繰り返す虚しさの川。

それは傍から見れば嘲笑される恥の嵐。




…ある男にとってこんなポエムの様な事を書くのは、駅前で裸踊りをしているのと同じだ。

痛さを押し出した者同士のお陰で若干中和されている所がわずかな救いである。


しかし、そんな痛々しさの中で、男は有象無象を通して、一つ物を覚えた。




殺意を白紙に突き立ててみろ




インクは『殺意』でペンは『剣』で白紙は『誰かの現身うつしみ』で。

殺意が生んだ剣で誰かの現身を傷つけて楽しんで。

殺意の創造は思いの外悪くない。

出来栄えにもよるが、心が洗われる。


男は問う。


「どうだろう?貴方もやってみては?」







「まぁそれでどうなるかは、保証しませんが」

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