モンティホール数学者

「さぁーーー始まりました!このクイズ番組の優勝者に与えられるチャーーーンスターーーイムッ!!

優勝者はこれから↓にあるA!B!C!三つの箱を選んでもらいまぁーす!」


 A  B  C

 □ □ □


「↑にご丁寧に描かれたこの箱!実は一つだけ!中に!プレゼントが入ってるのですッ!

今回このチャンスに挑戦する優勝者はこちらの数学者さんだぁーッ!」


やかましい司会に指名された数学者は、ゆったりとした動きでカメラの前に現れる。

堂々とした面持ちだ。


「さぁさぁ!さっそく選んじゃってください!数学者さん!!」

「Bよ」

「さすが優勝者!迷わずBを選びましたが…?

何とここで数学者さんにヒントがございます!

オープン、ボークスッ!!」


やかましい司会はスタッフにボックスを開かせる。

開いた箱はAだ。


 A  B  C

 ■ □ □


「↑の黒塗りにされた四角が開いた箱ですよー?そして、中身は空!

数学者さんはこの時点で答えを変える権利がありますがどうしますか?」


「普通の人はこの場合、確率は1/2になったと思うでしょうね…。

そして答えを変えた方が確率が高いとも考えないでしょう。

…私の最後の答えは、Cよ」

「それで良いですね?では正解発表ッッッ!









あっ









んー?










あぁ~~~
















大・正・かーーーーーーーーーーい!!!







そんな事があったのが昨日の出来事。

そして数学者が朝の仕事に勤しんでる時の事。


「昨夜のクイズ番組で批判が相次ぎました…」


報道を聞き数学者は驚愕する。

自分の計算が間違いだと主張する電話が何百件も来ており、そこに同業者も声を上げているのだという。


その日、報道の件で学会に呼ばれた数学者。

早急な対応として謝罪会見を開こうと言われた。

当然、数学者はお断りした。

ならば見せしめとして追放すると言われ、数学者は


「間違いを認められない人の集い何て、こちらから切ってやる!」


と怒鳴ってしまい、そのまま学会から姿を消すのだった。







それから数年が経った、ある日の事。

元数学者が新しい仕事に就き勤しんでいる時の事。


「数学界の麒麟児がクイズ番組の三択問題における確率の謝りを証明しました」


報道を聞き数学者は困惑する。

自分の計算と全く同じ式が発表されており、そこに同業者を含めた世間が賛同している。


その日、数年ぶりに学会を訪れた元数学者。

なぜ今になってあの数式を通した!と問う。


学会側の答えは




無かった。




理由何て無かった。




最後に「負け犬の遠吠えだ。帰ってくれ」と言われ


元数学者は忘れ去れるのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る