じつはね
ある男の話をしよう。
男はとある部に所属していた。
どこの学校にもあるような、ありきたりの部活だ。
しかし人数だけは多く、男はそこで知り合った何人かと親しくなった。
ある日、クリスマスも間近の日、学生らしく部でパーティーを開くことになり催し物の一環としてプレゼント交換を行う事となった。
男は当日に人気書籍を二冊ほど買い、それをプレゼントとする事に。
しがない学生の身分なのでお金をかけた物は用意できないが、男としては部員の為にそれなりに気を効かせたつもりのプレゼントだ。
交換は完全にランダムなので誰に届いても大丈夫な様に、仮に皆がいらない物をプレゼントとして用意しても大丈夫な様に。
突然だがここで、ある女の話をしよう。
女は男と同じ部の先輩だった。
学校のみならず、どこの組織にも必ず一人はいるクソ女だ。
女は同級生と同性とは愛想よく、特に同性の後輩とよくしゃべる女であった。
しかし後輩の異性に対する態度は悪く、特に押しの弱い男に対する態度は口も悪くなり横暴その物である。
男も内気な方なので、よくクソ女の被害にあっていた。
男にとって厄介なだけのこの女は、ごく普通にパーティーに参加し何食わぬ顔で交流を楽しむ。
男は当然に厄介な女には関わろうとせず、自分は自分でパーティーを楽しむ。
そうして過ごす内に、迎えるプレゼント交換。
しかし奇妙な因果か?運命の悪戯か?皮肉は起きた。
・・・男は引き当てたのだ、その女のプレゼントを。
中身はシルバニアファミリーの小道具。
・・・いらない。
男は別に不要な物が送られる覚悟が無かった訳では無い。むしろ自分が損する事も承知の上だ。
しかし、あの女のプレゼントとなると些か不快さを覚えずにはいられなかった。
女曰く
「あーそれ、クレーンゲームかなんかで手に入れたぁ家にあったいらない奴でー。どうせ女子に渡ると思ってたわ~~」
だそうだ。
・・・まぁいい。
男はそれより自分のプレゼントが誰に渡ったのか?行方が気になっていた。
せっかくの厳選した物だ、せめて喜ぶ顔ぐらいは拝みたいと考えつつ時を待つ。
そして
・・・女は引き当てたのだ、その男のプレゼントを。
中身は人気書籍が二冊。
・・・歓喜を声にし、はしゃぐクソ女の姿がそこにあった。
・・・そして良くできた話を笑う、無様な男がそこにいた。
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