Maiden of Bud

第1話 決心の一撃

この世界は窮屈だ。

自由なんてものは存在しない。

誰かが書いたあらすじに沿って話しが進んで行くだけの日常。

私にはいらない。

欲しいものは自由だけ。

望んでも叶えてはくれない。

だって、それが世界なんだから。

とある学校の屋上で私は呟く。

下を覗くと青春の宝石箱がキラキラと輝いている。今日は晴天。こんな天気じゃ眩しくてまともに見れないよ。

柵を握りしめて、上へと上がる。

そこに見えたのはただの山々。

しかたないよねこんな田舎じゃ。

風が佇む異様な世界に深呼吸する。

決意を決めたように喉仏が唸る。

今から私は宝石を手に入れるんだ。

全身をこんな世界に委ねる。

耳に響く疾風の狂騒。

嫌だとは思わない。

後悔だって無い。

あるとするならば、プリンを食べ忘れた事だ。

そういえば、駅の近くにスイーツ店が出来たんだっけ お母さんが絶品ってイッテターーーーーーーーーーーーー。

突然、停電したかのようにシャットダウンする。

まるで、スーツ姿に合わせる時計のように針が止まる。

時間が止まる。

世界が止まる。

私が止まる。

自由が始まる。