第35話 誰に読んで欲しいのか?

 あっという間に一か月が過ぎ去ります。

 ついこの間年が明けたばかりなのに、もう一年の三分の一が終わろうとしています。

 皆さま、いかがお過ごしでしょうか? えーきちです。

 三月の頭くらいに、「もう流石にコロナも問題ないでしょ。ゴールデンウイークだって一年我慢したんだし遊びに行ってもいいよね」なんて、田舎へ帰って山登りをする計画を立てておりましたが、流石に移動できる感じではなくなりました。

 コロナにかかっていないからと言って、田舎側は他県から人は来て欲しくないでしょうしね。ただ、宿とか観光業界はどうなんでしょう?

 判断に苦しむところだと思います。

 来て欲しくなない。けど、来てもらわないと死活問題だ。

 やれやれ、こんな状況はいつまでつづくのでしょうか?



 *    *    *


 さてさて、今回はそこそこ重要な話みたいです。

 自分で「みたいです」と言っているあたり、どこまで重要なのかハッキリとしていないと言うのもありますが。

 まず基本的に、私は児童向け文庫、または児童文学の公募に出しています。

 誰に向けて書いているのか。これは明白です。

 児童向け文庫、児童向け文学にレギュレーションがあり、読者の対象年齢は小学校高学年から中学一年生くらいと、とても幅が狭いです。

 自作を誰に読んで欲しいのかと問われれば、その年代の子供を対象に物語を考える訳です。

 ちなみにカクヨムの朝読賞はレギュレーションの幅が広く、小学生から高校生と書かれていたりもしますが、実のところ対象は中学生くらいだとか。

 それをレギュレーションから読み取れと言われてもどだい無理な話だと思います。

 なぜ、こんな話になったのかと言うと、対象年齢がずれると編集部が求めている作品からはずれかねないからですね。

 ここが合致しないと公募の選考は落とされます。

 面白いとか面白くないとかではありません。

 ここにひとつの罠があって、選考に落ちたから面白くなかった、ではないと言う事です。

 ただ、一次選考や二次選考だと落ちた理由がわからない事が多いですね。

 面白くなかったのか、はたまた何か違反をしていたのか、それともレギュレーションからずれていたのか、そもそも編集部が求めているものと違ったのか、まったくわかりません。

 公募勢としては、ここが一番苦しいところでもあります。

 最も難解なのが一次選考も通らなかった時です。

 最初から編集部で選考する場合は先に上げた要因が考えられます。

 二次選考は編集部選考になる事が多いので、選択幅は少し狭まります。

 二次選考以降は、他に面白い話があった。もしくは、レーベルカラーが合致していない。そんな理由になると思います。

 前回の『目的地はどこなのか?』で書いたように、公募は相対評価ですからね。

 面白くなかったのではなく、もっと面白い作品があった、と考えるのも自然でしょう。

 なので、一般公募で一次でも選考通過されたことのある作家様は、それなりの力があると思ってもよいのではないかと思います。

 読者選考はイレギュラーなので除外します。

 とんでもなく作品フォロー人数や評価の数が多い作品以外は、宣伝効果や上手くお付き合いをすればどうにかなるかもしれないので。

 一次選考通過したことがないからと言って、物語がつまらなかったと嘆く必要もありません。選考基準が先に上げた理由である以上、通過しないことも多々ありますからね。


 ここで重要になってくるのは、誰に向けて書いてあるのか。自作を誰に読んで欲しいのか。

 これが明白だと、自分が出すべき小説賞が見つかるのではないでしょうか?

 この辺が、ライトノベルや一般文芸だと曖昧になってきます。

 編集部が曖昧なのではなくて、作家様自身が曖昧に。

 例えば恋愛ものを書きました。読者は誰に向けていますか?

 OLですか? 学生ですか? 主婦ですか?

 万人向けと書かれている作品は、実は万人向けではありません。

 色々な層の読者がだけです。もちろん楽しめるかもしれませんけど、その程度だと思います。仮に万人向けとして通用するのなら、それはきっとベストセラーですね。

 恋愛であり、ファンタジーであり、ミステリであり、自分はどんな読者をそうていして書いているのか。この辺を明確に書いた方がいい作品が書けるそうです。

 あくまで何人かの編集様がTwitterでつぶやいていただけですが。

 しかし、ひとりの編集様ではない事は言っておきます。

 自分が好きで書いて認められるのならそれはそれでいいのでしょうけれども、出版は売れてなんぼですから。

 面白いも、需要がなければ永遠に選考は通過しません。

 百人中一人の需要なのか、十人中一人の需要なのか、面白い話の中からより売れるものが選ばれます。

 なので、誰に向けて書いているのかも、実は需要が多い読者に向けて書いた方がより選考通過の可能性が出てくる訳ですね。

 誰に読んで欲しいのか。ここにひとつの戦略が眠っている訳です。


 ここは児童向けを例にしてみます。

 年齢は小学校高学年から中学校一年生くらい。

 この狭いレギュレーションの中にも誰に向けて書くのか、が入ってきます。

 出版社が何を求めているのか、ですね。

 例えばつばさ文庫。こちらは男の子向けは少ないです。公募の話ですけどね。女の子向けが多いように思えます。ならば、男の子向けは通らないのか?

 通りはするでしょうけど、受賞した例は少ないです。

 イラストを見てもわかりますよね?

 次に青い鳥文庫。こちらは男の子向けも女の子向けも満遍なくあります。ギャグもありなので、面白おかしい話で応募するのもいいでしょう。

 みらい文庫は女の子向けもありますが、出版社自体が男の子向けを意識しています。男の子向けは売れないという現状を打破したい。そんな考えの出版社なので、男の子向けエンターテイメントはみらい文庫に出してみてはどうでしょう?

 こんな感じで、誰に読んで欲しいのかによって、児童向けでもこういった選び方があるんですね。

 もちろんどこに出すのも自由ですし、つばさ文庫だからと言って男の子向けを出してはダメと言う事でもありません。

 ただ、作者側が、明白にしていた方がいいのではないかなと思います。

 これが理由で一次選考を落とされることもあるので。本当です。



 *    *    *


 さぁ、やってきました新規筆致企画!

 今年一発目は『初夏色ブルーノート』です。


自主企画用「筆致は物語を超えるか」【初夏色ブルーノート】ゆあん様

https://kakuyomu.jp/works/16816452219770678223


 今回で七回目。皆勤賞です!

 ずっと子供向けばかりを書いていたので、「小説ってどうやって書いたっけ?」みたいな感じになっていました。

 年明けに書いた『男友達が隙あらば私をエロい目で見てくるんですけど』も情景描写は少なかったですしね。

 短いプロットは本当に頭を悩ませます。

 ゆあん様のページで確認してもらうとわかるのですが、あらすじ五行ですからね。

 その五行から物語を作ってどんな展開にするのか考え筆致を決めて……

 ああああああっ!ってなるんですよ、毎回。

 そして、第一回から休まず参加していると、やっぱりそれなりのプレッシャーもあって。

 それでも書きました!

 お時間があれば読んでみてください!

 

『初夏色ブルーノート』えーきち

https://kakuyomu.jp/works/16816452219973829828


 それではまた来月!

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