第8話 一人称多視点について
はい! 無作法者のえーきちです。
前回の『公募について』を公開したのち、少し気になって色々と調べてみました。その結果……
どうやら私の作品は普通ではないらしいのです!!
私は長い事、文学の世界から遠ざかっていました。
書く方だけではなく、読む方も。
本を一番読み漁っていたのは二十歳くらいの頃だったと思います。そして、初めて小説を書こうと思ったのもこの頃。
カクヨムの書き手様に多くいる、学生時代から文芸部で――とかではありません。
要するに、何も学んできていません。そういった指南書も読んでません。そうしなければとさえ、思った事がありません。(馬鹿ですねぇ……若さ故の何とやらですよ)
これは後に、様々な弊害を生む事となります。
私の中に小説を書く上での常識はなく、好きなように書いた結果、タブーとされている表現方法を平気で使っていた訳です。
実は皆様から指摘され調べた事で、最近知ったんですよ。
一人称多視点がタブー視されていると。
私のフォロワー様の中にも、一人称多視点を推奨しない方がいます。
当然です。この世界がそうなのですから。
そして、その理由もなんとなくわかります。(これは、当たり前のように使ってきたが故に、反論したい気持ちがあるのかもしれません)
さて、一人称多視点とは何なのか?
例えば主人公の一人称で書かれた物語の途中で、別のキャラクターの一人称視点に変わる事ですね。
タブーと言われている理由は、『視点をコロコロ変える事で、読者は混乱し、キャラクターの気持ちに入り込めない』または『物語の道筋がわかりづらくなる』という事です。
色々な所で書いてありました。
「基本に沿って書くことをお勧めします」とか「それだったら、単に三人称でやればいいのでは?」など、「トリッキーな手法です」、「構想を見直してみてください」――上げ出したらキリがありません。
もうボロクソです、ボロクソ。
果たして小説を書く上で、これは必ず守らなければいけない決まりなのでしょうか?
「文章になっていない」や「読めない」、「物語が破たんしている」など、明らかに小説として完成されていないなら話は別です。しかし、小説の手法として『あり得ない手法』ではないと思う訳です。
そもそも『あり得ない手法』って何ですか?
私はダニエル・キイス著の『アルジャーノンに花束を』が大好きです。
この作品は一人称ではありますが、その視点やスタイルは主人公の知能の変化により表現を変えていきます。
型にはまった手法を用いていては、完成する事がない作品です。
だから、私は正しいんです――などと言う気は毛頭ありませんが。
私の作品は一人称多視点が多い……いやむしろ、ばかりです。(カクヨムに上げていない三人称の作品はあるのですが)
『ナオちゃんの世界征服』は日記という形を取る多視点。それに近いのが、『そこのけそこのけ九尾が通る ~さよなら犬塚くんとシッポ』で、これは独り言を用いた多視点。
『悪夢祓い倶楽部☆タイマーズ』はキャラクターの語りのみを差し込む多視点。
『望月多衣は餅つきたい』は『ナオちゃん~』や『九尾~』のように切り取り型多視点+次々と視点を変えるリレー式多視点。
『名探偵鈴木2号ジュニアの調査報告書(仮)』なんかはもう、視点変更だけで物語が進んでいきます。
各所で小説作法を書かかれている方が多くいます。
一人称多視点は、ほぼもれなく否定される事でしょう。
体言止めがダメという作法も見た事があります。(私の作品は体言止めも多い)
以前、文章解析に自分の作品をかけてみた事があります。
結果、私の文体は固いそうです。笑ってしましました。
形式だけで判断すると固いんですよ、私の文章は。『鈴木くん~』を読んで、固い作品だなぁと思われた方は頭が沸いているとしか思えません。
小説は形式だけで判断するものではない。作法もタブーだからと言って否定するものではない。
前エピソードで油布さんのコメントが総てです。
通常50の表現力で執筆できる作品も、より複雑な手法を取るなら100の表現力が必要です。それを万人に認めさせるには200の表現力が必要になります。
自分の表現が複雑なものだとわかった今、200の表現力がつくよう努力するだけです。
私の叔母にあたる方がいます。御年70近いかな?
昔から本が好きで、小説やエッセイ、専門書や児童書、漫画、何でも読んできた人です。この年で、アニメまで楽しんで見るような人です。
その叔母に『餅つき~』を読んでもらい、「凄く面白かったよ」と嬉しい言葉をもらえた時は、本当に書いていてよかったと思いました。
一人称多視点が正しいと言いたいのではありません。破綻している一人称多視点だって山のようにあります。
ただ、視点変更を気にしているのは、自分が書き手である人の方が多いんですよ。
読者は面白いか面白くないかだけです。
一人称多視点を推奨しない、または苦手でありながら私の作品を読んで下さった、フォロワーの油布さん、奈月様。
彼や彼女のように、『それでも読んで判断する』の精神を持ってみてはどうでしょう?
一人称多視点を否定、拒絶されている方々に問いたい。
「で、私の作品はつまらなかったですか?」と。
しかし、こういった世の中です。
タブーとされる手法だけで弾かれる可能性も少なくはありません。
それを踏まえ、色々なやり方で面白い話を書いていこうと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます