2話
2-1
今年も夏がやって来た。太陽は燦々と輝き空は青く、真っ白な雲が時折ゆるりと流れて行く。汗が額から噴いて、こめかみを伝い頬を流れ顎から落ちた。
北海道の夏は涼しいんだろ、と云う内地もんを、僕は一人残らず殴ってやりたい。北海道の真夏日は二十五度でしょう、なんて云った友人を、実際殴りかけた事がある。ふざけるな、真夏日は何処へ行っても真夏日だ!
暑さに項垂れる僕の直ぐ側を、中学生くらいの女の子達が楽しげに通り過ぎて行く平日の昼間。溜息が漏れる。長期休暇に浮かれていた頃が懐かしい。
大学時代、夏の長期休暇は二ヶ月近くあった。人によっては、僕もそうだが、短期で行われる集中講義が幾つかあるものの、それを除いても一ヶ月以上の休みになる。冬期休暇は二週間程度だったが、春期休暇も同じく二ヶ月近くあり、大学生と云うのはイコール金で休みを買う様なものだった。
空を見上げ、思い出す。
あれは、そう、大学に入った年の夏の事だ。
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