分岐A すこしふおんなせかい
A-1 視線
めというのは不思議なもので、光が差し込んでいる間は世界を見つめ、自分をみることで暗闇に包まれる。
事実、暗闇を見ているのだから、めを開き、鏡にでも自分の似姿を映さないとぼくというものの現象って捉えることなんか出来ない。
そう考えると、ぼくという確立された自己っていうものは真っ暗で、
ぼくは世界というひんやりとした檻の中でどことなくふわふわと、漂い移ろい続けている気さえするのだ。
絶えず世界はぼくを胡乱に見つめていて、ぼくもその中で誰かを、世界を見つめていたり。
そう、夢というものはある種の逃避なのかもしれない。
ぼくは、彼を見送った帰りの電車に揺られ考えた。
冷房の効き過ぎた車内は、かえってぞくりとからだを震わせ、
いまだ昼下がりのせいか、椅子はほとんど親連れの子で埋められている。
ふと、視線を向けた先には、葬儀で見かけた男子生徒と女生徒が並んで座っていた。
死というのは人の感情を増幅させるもので。
誰しもの前にはつねに死という現実が絶えず横たわっているわけだけど、日常のなかでは夢想のうちのものなのだろう。
彼の死の理由を、彼らならば知っているかもしれない。
ぼくも単純なもので、
彼の棺に、偽善でできた悲しみをすっかり擦り付けてきたかのように、笑っている彼らを見て。
視線を元に戻す。
目の前で座っていた年配の女性が降り、ぼくは椅子に身を預けた。
冷房はいつしか心地よくなっていて、静かにめを閉じてみる。
夢をみた。
疎らくらいのほし空があった。
ひどく懐かしい、夢を見た。
めをつむった先の暗闇に、ゆめ、を見れるということはなんてすばらしいのだろう。
このめが光満ち溢れる世界にさらされればさらされるほど、暗闇のさきには何も見えなくなっていく。
先にあるのはそれこそ絵本にあるような。
死は案外そこに一番近いのかもしれない。
夢のなかでも、ぼくは誰かに見つめられている気がした。
あとがき
日付が変わってしまい、慌てて投稿しました。
最後わかりにくくてすいません。近いうちにリライトするかと思います。
..........プリキュアになりたひ
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