いわゆる『異世界転生モノ』に対して真っ向から向き合った、とても真摯で優しい物語です。
とにかく丁寧かつ鮮やかな筆致が見事で、開始数行でもうのめり込んでしまいました。
早々に読者の意識をコントロールする手法は、さすがプロ! という感じで勉強になりますね。
肝心の内容ですが、もう本当にタイトルどおりひたすらじれったくて切ない。
でもそこに悲壮感はなく、お互いを尊重し合っている様子がひしひしと伝わってきて、むしろ胸の奥が温かくなります。
中盤からは涙を誘うシリアスなシーンもあり、緩急自在に心を揺さぶってきますが、すべては約束されたかのようなハッピィエンドへの布石であり、圧倒的な読後の幸福感とともに、この作品を読んで良かったという満足感も得られることでしょう。
じれったい恋愛モノがお好きな方はもちろん、異世界転生モノがお好きな方にも自信を持ってオススメできる作品です!