十六の段 尾張のお殿さま
「いやぁ~、山道を
お侍さんご一行を
この普通にしていても上から目線になってしまう話しかたは、まちがいありません。このおじいさん、お殿さまですな!
「ワシは、
やっぱり! 義苗さまたちも、その殿さま
「わが
尾張藩のお侍たちも、義苗さまに頭を下げました。みなさん、熊から逃げ回って転んだり、木にぶつかったりしたせいで、あちこち
「尾張藩士のみなさん。
「ワシもたくさん汗をかいたから入るぞ。ミヤちゃんも
「
「ええ~、そんなぁ~」
ミヤにあっさりと
「じゃあ、そのかわりにワシにも可愛いあだ名をつけてはくれんか? そこのピョンピョン左衛門とやらは、ミヤちゃんがあだ名をつけたんじゃろ? ワシも美少女に可愛いあだ名をつけてもらいたいんじゃ」
「むふぅ~。私、そんなに可愛いですか?
「ぐふふ。美少女にあだ名をつけてもらったぞい! おい、おまえたち。今日からワシはチカじいじゃ。おまえたちもそう呼べよ」
徳川宗睦さま
「ところで、今回の熊
なかなかマジメな話にならないため、
「ああ。
「それで、
南川先生が言うと、チカじいが話に入ってきました。
「何じゃ、松平定信が菰野藩に
「定信さまはとてもマジメな人だと
馬公子さまはフーッとため息をつきました。
そして、義苗さまが江戸をぬけ出して菰野にやって来たのは、ぐーたら生活を送っているご隠居の雄年さまから
どうやら、チカじいに
「なるほど、そういう
「え? 徳川将軍家のご
義苗さまはビックリし、そう言いました。
「そんなにおどろくな、義苗どの。
だが、菰野藩が定信の
「チカじいさま……」
「それに…………菰野にはかわゆい女の子が多いからな! かわいこちゃんたちと
感動しかけていた義苗さまは、チカじいのエロ発言にズコーっ! とこけてしまいました。
「あと、ワシは定信の
チカじいがプンプン怒りながら家来たちにそう言うと、尾張藩士たちも、
「混浴を禁止するなんて、あまりにもひどい!」
「人間のやることじゃない!」
「
と、口々に
ミヤは、そんな尾張藩の人たちを「うわぁ……」とドン引きしながら見つめていました。
義苗さまも何とも言えず、ただ
「そうと決まれば、
「遠慮しておきますです。(キッパリ)」
「しょぼ~ん……」
まだあきらめていなかったのですか、チカじいさま。
さてさて、強力な味方ができた義苗さま。果たして、松平定信さまの陰謀にうちかつことができるのでしょうか。
あっ、そういえば、隠密コンビのことを忘れていたでござる。
山のふもとまで転がり落ちた二人は、同じく転がり落ちてきた親熊におそわれ、大変な目にあっていました。
「はひぃ、はひぃ……。何とか子熊を返して逃げ切ったが、体中ボロボロだ……。おまえのアホな作戦に
「まさか、オレさまたちが親熊におそわれてしまうとは……。
「日本語でしゃべれよ、おまえ……」
傷だらけの二人が、ふらふらになりながら
「ククク。どうやら、また菰野藩のヤツらにやられたようだな」
草むらから
「むむっ⁉
「な、何だと? 定信さまの隠密はオレたちだぞ」
「私は、『疾風の一郎と邪眼の二郎がちゃんと仕事をしているか
「ええー⁉ また監視役⁉」
定信さま、どんだけ
「おまえたちがあまりにもマヌケだから、手を
「ぐ、ぐぬぬぅ~。……うん? おまえ、
邪眼の二郎は、紅蓮の三郎のお尻を
「……これは、
「おまえも菰野藩にやられてるじゃん! めっちゃマヌケじゃん!」
さすがは疾風の一郎。ツッコミを入れる時も疾風のごとき速さでござる。
「はははは。どいつもこいつも、アホな隠密ばかりだぜ」
「むむっ⁉ 何者だ!」
またもや草むらから男が現れ、疾風の一郎と邪眼の二郎、紅蓮の三郎は同時に叫びました。
「
隠密の監視の監視の監視! 登場キャラが増えすぎると物語の語り手である拙者が
「オレさまたち、どんだけ
邪眼の二郎がそうたずねると、閃光の四郎は「……実はマムシにかまれた」と答えました。
「疾風の一郎が土俵の屋根を
ところが、鼻水をたらした子供に『おじさん。相撲をやる場所、
閃光の四郎はバターン! と
お馬鹿さんにもほどがあります。ずっと疾風の一郎を監視していた閃光の四郎は、疾風の一郎が
「あははは。どいつもこいつも
「むむっ⁉ 何者だ!」
「それがしは、定信さまの隠密・
……読者のみなさん、ごめんなさい。実はこのやり取り、まだ続くみたいなので
もう、こいつらまとめて「定信さまの隠密たち」でいいでござる!
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