第443話 めいっぱい病気の祖母

 2022/03/01(火)

 今日は母が祖母を病院に連れて行った。

 院長先生は12月に検査した心電図を見て「心臓がちょっと」と言っていたが、結果は専門の検査医師に聞いてくれということだった。

 血液検査でこの数値がまずい、とか、院長先生の「心臓が」という意味が初めてわかるしくみになっていた。

 はっきりいって、一日で三か所も医科をめぐるのは97歳の祖母にはきつい。

 そしていただいたのが、むくみに効く保湿クリームと、皮膚炎の軟膏と貧血の薬。

 12月の時点で「血液さらさらの薬」をいただいていたのだが、それはつまり、心臓が悪くなっていて、血栓ができやすくなっていたからで、院長先生は「心臓が」どう悪いのかの説明を省いてお薬を処方されたので。

 副作用として、けがをしたり、どこかに打って内出血などしようもんなら出血が著しいということもあり……そして祖母は12月、楽しみにしていたバスツアーの当日に、靴を履きなおそうとして門壁に後頭部を打って出血した。

 それなので、今回は「血液さらさらの薬」はやめておきましょうということになったらしい。

 診察の時に服の下を見たら、わき腹や肩(?)のあたりに赤い内出血が見られたからだった。

 祖母、それって、わたくしたちがだっこして立ちあがらせようとしたときの「痛い!」って言ってたやつ? 心配になって聞いたら、母はそうではないという。

 もう、なにがあってもおかしくないんだと。

 わたくしだって覚悟してたつもりだけれど、そんなにいっぱい言われると頭がパンクしそうです。

 足のむくみは、ひざ下に巻いた包帯が歩くごとによれていって、紐を巻いたみたいになってしまうので、包帯をとり去ってみると紐で圧迫したみたいにそこだけへこんでいるのです。

 母が保湿クリームを塗るときに、指でクリームをとって足にべちゃっとなすりつけるので、それはやめたほうがいいと思った。

 手のひらに適量とってなじませるように温めてから、患部をなでるように塗りつけるの! とアドバイス。

 できれば、塗る前に手をお湯で温めるのがベスト。


 食事の席で「おばあちゃん、横浜へ来る前から6キロ増えてた。一年に1キロ増えてた計算になる」って母が言うから、わたくしは、年寄りが痩せるなんていいことない、年寄りが少食になったってこの国は豊かにはならないわ、しっかり食べなきゃ! と言って、お昼に食べた残りのパンをおススメ。

 全粒粉のロールパンで、穀物を噛みしめた時の甘さと香ばしい香りが癒しの一品。

 気に入ってくれたようでうれしい。


 それから、今日、祖母は初めて病院で車いすを使い、トイレへ行ったらしいのだけれど、病院のトイレって、L字型の手すりがあって、祖母はそれにつかまったら、一人で立ちあがって便器に座れたそうなのです。

 母は、これは家に手すりを増やすべき、と勘案している。

 お風呂はもとからL字の手すりがあり、これで祖母は安心して入浴している。

 思うに、この家をリフォームした前の持ち主さんが、介護用につけたのだと思う。

 今まで階段にだけ手すりをつけてきたけれど、これからは家中に必要になる、とわたくしは看た。

 そうするとね、ベッドから起き上がるときから、部屋のドアまでと廊下に出てからとトイレの前まで、いたるところにつけねばならない。

 しかし、そんなことが果たして可能なのか?

 不可能ではあるまい。

 しかし、現実的に考えて、祖母はベッドから立ち上がりさえできれば、トイレへはゆける。

 ならば、ベッド用の立ち上がり手すりを設置するのが先決だ。

 わたくしはアマゾンで立ちあがり棒を検索した。

 いっぱい出てくる。

 母に印刷して見せようと思ったが、インクや紙がいくらあっても足りない勢いだ。

 母に決めてもらおうと思っていたが、もうこれはわたくしが借金してでも祖母にプレゼントするしかない、と思い定めた。

 母は、いっぱい買っても置き場に困る、というがそんなのはリサイクルに出せばいいよ。

 なにがいい塩梅か、試して見なければわからないじゃないか。

 かたっぱしから買おう、と言ったら、母が「おばあちゃんはお金はあるの」と言う。

 でも、介護アイテムは介護する人が用意するもんでしょ? と疑問に思っていると、「お金の出どころはおばあちゃんでいい」と世知辛い。

 ええ? おばあちゃん孝行させてよ。

 わたくし稼ぐから。


 と言って、今日はこれからどんな立ちあがり棒(手すり)がいいだろうね、とアマゾンを一緒に見る約束をしている。

 とりあえず、夜なのでそれが終わったら、学校の宿題をやって寝ます。

 今日はエクセルのオートフィルを応用して、2023年のカレンダーを11月分まで作ってきたのよ。

 時間切れで12月分が未着手。

 だから、早いところ決着をつけたい。






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