第333話 2021年元日。

 謹賀新年!

 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


 今年も元日の夜明け前に、神社に初詣に行きました。

 地元の神社では、いつもの行列がなくて、長い階段の上からまばらにですが人が降りてくるところを見ました。

 すってってってーと昇っていきますと、いつものテントがなくて、お獅子もいない。

 当然、御朱印も甘酒もふるまわれません。

 おみくじを三回引きました。

 吉、吉、大吉っとな。

 おみくじ代は350円持っていき、一回100円だったので、ラストチャンスで運をつかんだというところでしょうか。

 生まれた場所にある神社では、いつもはあるものがなく、ないものがあった。

 それはね? 手水が使えない代わりに、長机が参道の横ちょにあってアルコール消毒を促されました。

 そして、富士山に見立てたあんこ山の昇り道に(とても狭い)小さな灯りがともされていていつも怖くて仕方がない場所で足がすくまずに済みました。

 神社の方が思いやってくださってうれしい発見でした。

 すごく感謝いたします。

 今年はアキレス腱を痛めていたので、足がもつれたりしたら大惨事になってたところでした。

 本当に助かりました。

 そして、ひいきにしている神社では……なんとおやしろがかんぬきかかっていたのです。

 灯りだけともっていて、いつものけんちん汁やお酒、甘酒を囲んでのにぎやかな通りもしんとしてだれもいなかった。

 しかたなく、鐘を一回鳴らしておやしろのまえにどじゃっと浄財を置いて、お祈りをしてきました。

 世界平和とか、コロナ撲滅とか、そんな大きいことは申しません。

 ただ、新年のご挨拶と、御加護をください、とだけ。

 独りで歩く初詣はちょっとした旅です。

 行って帰ってくるだけで、汗を吹きました。

 暗い闇の中、寒気が背中を押してきて、ひたすら足元だけ見て歩いてきました。

 縁起のいい歩き方なんてもう、つらくて。

 いつも通る大きなお家の門の前で、ダルメシアンの影にびくっとしたり。

(よく見るとコンビニの光でつやっと表面が光るので、実は作りものだとわかるのだけれど、本当毎回ビビるのでやめてほしいなと思うのですが)

 かろうじて火を焚いているところもあったのですが、昨年に続き提灯のあかあかとして華やかな光はともっていませんでした。

 大きい神社ほど開けていて、小さい神社は閉じていましたね。

 地元の神社では、おやしろの集まりもまばらで、とまどう人々の声がしていました。

 いつもなら、ここで二体のお獅子が見られるんだ、とか言ってましたね。

 銀杏の大木の前や灯りのある広場でスマホをパシャパシャしてるグループが三組くらい見受けられました。

「おみくじ大吉ー」っていう少女のよく通る声が聞こえてきたので、諦めずに三回もおみくじを引きました。

 うん、今年は「あきらめるな」っていう啓示かな。

 あきらめません。

 休んでも、ちゃんと戻ってきますから。






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