第272話 抗議。

 愛猫が、わたくしのお出かけをストレスに思うらしい。

 カバンを持って、PCの前にいると、ワゴンの上からじいぃいっと見つめてくる。

 目を細めて見返すと、今度は長いすに寝そべるけれど、どうにも落ち着かない。


 わたくしの足先を前脚でちゃいちゃいってして、こっちへ来てって訴える。

 で、餌場まで誘導されていくのだった。

 シーバを一粒ずつキャットツリーのそこかしこに置いて、気がそれたすきに、部屋のドアを閉めてきた。

 出かける時、玄関から逃走するのを防ぐため。


 こないだなんて、玄関から道路の向こう側まで逃走してしまった。

 追いかけたら素直に戻ってきてくれたのだけれど、それ以上逃走されたら、どうやってつかまえればいいのか、わからないからね。

 あーん、マイクロチップ、埋め込んだ方がよかったかなあ。


 一体なにが不満で逃げたがるのだろう。

 一人が嫌ならにゃおにゃお鳴くでしょ? 普通の子。

 うちの子は、黙って逃げ出すの! どうしてー?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る