第166話 2020/01/16/木 取材。

 実地に勝る資料はありません。

 これを取材と思って、今日のできごとを書いてみたいと思います。


 わたくしはスコちゃんという子猫を飼っているのですが、同居人には受けがあまりよろしくありません。

 それというのも、猫は高いところには何でも乗っかりたがります。


 食事のテーブル、食器を洗う流し、まな板と包丁が並べてあるコンロ脇。

 そのうえ母は、幼いころから動物に触れたことがない。


 祖母はテーブルや流しに乗っかるスコちゃんを、「こっ! こっ!」「おんり! おんり!」「り! せんか!」「ぴんとこしょ!(下へ降りなさいという意味らしい)」と叱りつけてる姿しか見たことがなかった。

 それなのに、スコちゃんは、この祖母に一番好き好きアピールをしている。



 今日はそれがなぜだがわかった気がする。



 わたくしが、4時ごろになって空腹になり、こっそり昼食を食べていたら……。

 祖母が、こたつでぬくぬくしながら、スコちゃんにかまっているのを耳にしてしまった!


「かわいかねえ、かわいかねえ」

 って、陰でこっそり、かわいがっていたのだ!


 もう、祖母ったら! ぬけがけだー!

 しかし、そんな祖母がスコちゃんは好きなのだなあ、とがっくり来ました。


 餌を与えているわたくしよりも、たまに「かわいかねえ」っと言ってくれる祖母の方がいいとは……。

 憎い……。






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