第83話 2019/10/30(水)スコちゃん、怖いよ!

 猫ってエスパーかもしれない。

 ドアや引き戸や、開け閉めされるものやする人に、気をつけておくれよとわたくしは念じた。

 危険なものには近づかないで、と。


 そうしたら、スコちゃん、行動が変わってきた。

 だけど、まだまだ廊下ダッシュはやめないわ。

 階段の上でわたくしを見下ろしてたりするわ。


 いいんだけれども、朝、ササミを与えてからベッドで二度寝してたら。

 スコちゃん、わたくしの右くるぶしをゴリっと噛んだ。

 しかも二回も。



「痛いよ」



 と、身じろぐとやめてくれるが、こんどは右手首の関節をガブリとやられた。

 なんなんだ。

 しかも毛布の上から噛むんだよ。


 すごいアゴの力だ。

 本気の脅しを感じる。

 私は赤ちゃんじゃないのよ、と。


 しかし、そのぽんぽこりんのまあるいお腹は、やわらかくてとっても危険。

 なのに、気がつくとわたくしの隣で仰向けになって脚を開いて寝てたりするから、おかしくて。

 わたくしがどうかして、スコちゃんの上に倒れこんだりしたら、一発で死んでしまうではないか。


 どうか、そのことも忘れないでおくれ。

 釣り竿型のおもちゃで、ふわふわもこもこの蜂のマスコットを振りながら思ったりする。

 猫じゃらしを適当に振ってると、びょんびょん飛び跳ねてるから、そこも面白い。


 ちょっと怖いけど、スコちゃんは猫又のように、わたくしを観察していて、気がつくと同じポーズをしてたりする。

 高いところには登らなくなったけれど、日増しに運動量が増えていく。

 神様はわたくしの願いを聞き届けて下さっているのだなあ、とじーんとくる。


 スコちゃんがまだ赤ちゃんなのを忘れて、まぐろの刺身を与えてしまったこともあったけれども、今のところ順調に成長してくれている。

 フードは水かお湯でふやかして与え、ササミを一日一回、細かく裂いて与える。

 水は一日、一回以上取り換えてやらないと飲まないし、トイレ回数も減って危険だ。


 部屋の暖房を「自動・プラス3℃」に設定し、窓を開け放って、扇風機を回す。

 ラジオはFM。

 グルーミングはブラシにスプレーして5、6回毛を梳かし、ティッシュにスプレーして顔や脚をぬぐってやる。


 これでピカピカなのよ!

 わたくしの自慢の子よ!

 かわいい、かわいい、スコちゃんよ!


 ただ、爪はまだちっちゃくて、怖くてカットできないから、爪とぎマットで自分で手入れしてもらっている。

 やんちゃでね、ときどき肉食獣の目つきや牙爪を向けてくるから、おそろしい。

 猟奇的。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る