第65話 わたくしはふっきれたヘンタ*

 人間のサドは嫌いだが猫なら、ほとんど許容します。

 歴代の猫たちは、最初の頃はまさに猫をかぶっていました。

 馴れてくると、わたくし好みにみごとに勘違いしてくれて、飼い主より自分が主導権を持っていると思っちゃう。


 まあ、わたくしが彼らよりも目線の下にポジショニングするので、勢い猫はわたくしを見下ろすことになり、それが「自分のほうがえらい」という考えにつながります。

 猫をしつけたいならばこれはダメダメです。

 しかし、わたくしはこれでいい。



 遊んでかまってやるのもいいけれど、お腹を見せてのどをゴロゴロならしている猫に、わたくしは背中を踏まれたい!

 猛烈にじれじれしながら、早く立派な勘違い猫に育ってくれることを祈ります。

 全体重をかけて、わたくしのみぞおちを圧迫して、朝起こしてくれるくらいがいい。



 今日は髪を下ろしていたら、スコちゃんがじゃれてくれて、わき腹がくすぐったかったこと。

 髪を伸ばしていてよかった。


 わたくしの髪の毛は、けっして伸びちゃったわけではないのです。

 くせっけではねやすいのを、わざわざパーマをゆるくかけて、形にしています。

 時折、むしょうに邪魔に思うのですが、我慢して伸ばしています。


 これは、短くすると、寝癖を直すために朝シャンプーしなくてはならないからで、ショートヘアが似合わないわけではありません。

 むしろ似合います。

 ハードジェルを使ってセットするのが、めんどいだけ。


 男受けを狙っているのでもありません。

 髪を伸ばせるのは、オンナの特権だからです。

 働いてたら、とっくに切ってると思いますよ。



 話を戻しましょう。

 猫の繊細さにつき合っていると、もどかしくなるので、もっと豪放磊落になってもらいたいと切に願います。

 理由はですね、その方がわたくし自身の気が楽だからです。


 わたくし、猫には、そのへんに転がってる物体として扱われたい。

 エサをくれくれとせがまれたい。

 わがまま言ってほしい。


 わたくし自身がわがままだから、周囲とあわない部分があって、人間関係にいろいろあるので、猫に自己投影して「もっと自由にしていいんだよ」と思ってしまう。

 手始めにわたくしをいいようにしてほしい。

 うれしいから。


 これは人間だったらNGです。

 でも、飼い猫はわたくしの分身みたいなものですから。

 わたくしの好みに、ぜひとも育っていただきたい。


 オスネコは完全にわたくしを自分の支配下だと思ってましたが、メスネコは女王様ですね。

 ますます期待値大きいです。

 早く、わたくしを踏んでくださいまし。


 わたくしだけの、猫になってほしいのです。(独占欲)

 今のところ、スコちゃんは母の足音にだけ、神経質に姿勢を正しますが、わたくしが外から部屋の戸を開けると、完全にくつろいでますから、将来有望です。

 早くわたくしを振り回してくれないものか。


 赤ちゃんは気を遣うから、早く大人になって、貫禄つけてほしいな。

 そして、わたくしにだけわかる、コミュニケーションをしてほしい。

 それまでは、健康的に猫じゃらしを振って、運動と気晴らしをさせてあげるから。


 そう、わたくしは猫に関してだけ、むちゃくちゃ変態が入っているのです。

 もう、ふっきれた。

 勝手放題の猫が好きよ。





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