第19話一遍すげえ! おどり念仏観たい!

 おどり念仏を観たい。

 現在、長野県と山形県にのみ、無形文化遺産として実演されているらしい。

 なんだろうな。

 一遍上人のおどり念仏は、平安時代の空也上人のマネらしい。

 原形は『鉢たたき念仏』。

 なんか、お坊さんが鉦や太鼓を鳴らして踊って念仏している姿を想像すると、胸がキュンときて、ワクワクしてしまう。止まらない、ハートビート。(止まってたら死んでるが)

 盆踊りにも関連してるらしいんだよね。

 いや、わたくしはお坊さんが踊ってるところ、というのを観たいのだ。おもしろそうでしょ?

 鎌倉時代がおどり念仏の広まった頃らしいのだが、あれ? 鎌倉時代の有名な人ってだれだっけ? 母に聞いたら、

「そりゃあ、頼朝でしょ、北条政子でしょ」

 とばっちり応えてくれた。なるほどな。

『日本の歴史』五巻をめくってみると、でっかいイベントがあるじゃないのさ。


 そう! 源平合戦。潮流の激しい変化によって決着のついた源氏と平氏の戦い。

 牛若丸の義経が八艘飛びやらかして、それとは関係なしに安徳天皇を追いつめてしまう。まだ幼子であられた。だから、頼朝は義経を追いつめたのだろうか。

 頼朝としてみれば、天皇を抱え込んで神の系譜に加わるのが目的だったって聞いたことがある。だったら、源氏が天皇を追いつめてしまったというのはマイナスだ。お気の毒。

 しかし義経は、ジャンヌダルクみたいな反則技をいくつもつかったそうだから、魔女狩りにあった、仕方なし。も、考えられる。

 舟のこぎ手を殺して、軍艦の推進力を奪うとか。ジャンヌが挨拶抜きに大砲をガンガンぶち込んだのと同じで、戦いのルール違反だった。

 いや、戦争なんだから、ルールがいつまでも守られると思っている方がおかしいけれども。

 武士が力を持った時代だ。ということは戦争が多くあった。ということは悲劇が多かった。貴賤を問わず、老若を問わず、平易に書かれた経文でどんつく踊って回った、一遍の、パフォーマーとしても有能だった、そのおどり念仏を観たい! 

 念仏といえば坊さんだ。坊さんとくれば死者が出たってことだ。死者が出たってことは、苦しい世情だったってことだ。苦しい世情とくれば、仏にもすがりたくなろうというもの。


 全然論理だっていないが、連想ゲームね。

 貴族が争い、武士が雇われ、戦争を拡大し、死者が出る。するとお坊さんが出番だ。

 しかし、死者はか弱き民草である。その死を悼むのも、庶民が多い。ならば、庶民に寄り添った教説をなさねばならぬ、なにごとも……(うぬう)という感じで、仮名まじり経典が表れて、一遍は「南無阿弥陀仏と唱えようと思っただけで成仏できる」と説いた(らしい)。

 一遍は親鸞のお弟子さんだったかなんだかで、彼の「浄土宗」をさらに一歩、考えすすめたらしい。らしいらしいと、そればかりだが、今まで放っておいて肥しと化していた資料をパッと開いたら、パッと『おどり念仏』の文字が目に入った。13C末期だというから、あれ? いつの時代よ? と思ってググった結果だ。エンディングパークというサイトで見つけた。まあ。これでおもしろそう、と思う方は少ないと思う。

 しかしっ! 真守は小学生の頃、修行僧になりたいと思うくらい、お坊さんに憧れておった! 修行がしたかったんである。なのに父は、わたくしが妥協して「尼になりたい」というと、

「それは坊主の嫁になるのと同じだ」

 とのたまった。冗談ではない! 全っぜん違うのである。


 お稚児さんになりたいわけではないのだ(なれないが)。武士になりたい、というのと、御小姓になりたい、というのがちょっと違うように。(御小姓は将来の幹部だが、戦で手柄を立てたいと思うのが人の常ではないのか? 第一に、御小姓はそれなりの地位にある、武家からでないとなれないのだ)地位のある人に従って、ほくほくと道を歩みたいのではない。ただ、修行したかったんである。

 礼儀作法も知りたかった。しかし、畳の縁を踏まない、くらいしかわからない。

 しかも、父が僧侶になる、というのでなおさら混乱した。娘に暴力をふるうのもいとわない男が僧侶に!? おかしいだろ! 悔い改めよ!! ってなもんである。わたくし、父をぶんなぐっても許されると思う。父が性犯罪でとっつかまっても、わたくしは弁護しない。男が嫌いなのも、そのせいだな、きっと。

 TVをみて、子供の虐待死などと書かれていると、その親が捕まったのを見て、

「まあ、父にそっくりな親父だこと」

 と思ってしまうのも人情だ。(人情?)

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