第18話五芒星だか六芒星だか
利き手でない方の手相は、過去の状態を表すという。
そちらの手相に、五芒星(☆)だか六芒星が「うっすらと」みえる。
なんだこれ。一円玉くらいの大きさ。で、利き手にはぼんやりと、でっかい六芒星が見え始めている。
なんだこれ!?
予言者の本をちらっと読んだところでは、預言者もしくは予言を行う者の逸話に、子供のころから手のひらに五芒星だか六芒星だかが表れていた、というのである。
ほう。
そのうちわたくしは大予言者になったりするのか?
おもしろいな。
予言者か。よしよし。おもしろいから、なにか予言してみせようか。だって、今の世の中、あんまりおもしろいことがないからなー。というよりか、実は世の中のメディアに触れていればおのずとわかる五年~二十年後がわたくしには看えない。
正直、イスラミックステートのテロのとき以来、わたくしの前途は真っ暗闇で、先がないとしか思えなかった。近々死ぬのかもしれないな、とすら思った。あいにく生きているが。
無人機で犯罪を犯した人の話をニュースできいて以来、軍どころかテロに使用されるだろうとものすごく危惧した。無人機で遊ぶ施設などで、五歳児がコントロールをおぼえたとして、十五年後には(もっと使い勝手がよくなっていると思うが)成人してテロ集団のリーダー格になっているかもしれない。あれから何年たったのか。自爆テロが再びあるとしたら、十五年の歳月をかけて人材を育てているはずなので。ドローンで毒ガス撒くとか怖い。
クリエイターには関係のない世界になっているだろうけれども。小説書くときに背景が悲惨だと内容に制限がかけられてしまう。
たとえば、テロを扱った心ドキワクしてしまう話を書いていた場合。実際に公開前にテロが起きたら、被害者その他の心象や社会的影響を考えて発表が差し止められる恐れがある。実際にそういう話をきいてきた。ご愁傷様である。いや、他人事でなく。
わたくしも書く内容には、結構気を遣っている。
のんびりした雰囲気がいいか、とりとめないおしゃべり風がいいか、とか。正直それがつらいこともある。いちいちメンタル面で打撃を受け(しかもオーバーキル)トラウマをもっているので、わたくしの情緒は不安定であることが多い。一人になると、突然の悲しみにおそわれて伏せったり、わけもわからず泣いていたし、正直自分で分析不能なんである。
そういうのは好きじゃない? ところがトラウマを持つ人は好むと好まざるとに関わらず、心を痛めつけられているのだ。継続的に。だから薬を処方されているのだが。原因は医者にもわかっていないはずである。なぜならば、カウンセリングや、セラピーでは治せない傷だからである。かなり幼いときに発症してるし、無事に(?)成人できたのが不思議だ。神にもすがりたくもなろう。しかしわたくしは不信心者で、年に一回くらいしかお参りをしない。
だから、手のひらの印がふしぎでならない。まあ。おもしろそうではあるけれども。
不思議なものは楽しい。わけのわからないものは、わからなくていい。ずっとそう思ってきたけれど、いつか知らなくてはならないのかもしれないとは思う。まあ、いまわの際かもしれないが。そうだったら、ちょっとおもしろいな。死ぬ直前にわたくしは何を見、なにを知り、なにを思い、なにを言い残すのか。なにもせず、なにも起こらない、それもいいと思う。
この世の悪について知る、それは嫌だしホラーだ。この世の楽しみについて知る、それは死ぬ身にとってはちょっと悔しい。この世の真理について知る、それは楽しいことだろう。わたくしはそりゃあ偏屈な年寄りになっているだろうけれども、それを知ったならば悔いなく死ねるだろう。誰にとっても、この世が幸せであればいいとは思うが……幸せの定義が金儲けだったり、権力を握ることだったりすると、大変なことを潜り抜けねばならない。
科学の進歩は戦争の被害規模を大きくした。これからも……ああ、嫌なことを言った。すまない。
では、相棒。君に送る言葉を考え続けよう。想いをしたためて、手紙としてこれを贈ろう。
ビー・グッド。すばらしき日々を、おくり給え。世界が君にやさしくありますように。ささいな傷痕が、病根にならないように。すぐ薬をつけ給え。元気で。
田舎者はいつでも退屈している。だから、聞いたことのない話をすれば、面白がってくれるかもしれない。君の周りにあるものを、大切に。ただ、自由であれ。その魂が羽ばたくのを、見守っていたい。別れの来るその日まで。残酷なさよならを、わたくしもまた、言わずに去るだろう。死に際したとき、人間も動物もなにごとも言わないからね。でも、まあ。こういうときは、なにかもっといい言い方があるのかもしれない。
どうしてそんなことを言いだすのかって? 君が大好きだからだよ。ねえねはでっかい山に、おっきな海になるんだよ。誕生日おめでとう。2018年8月1日。
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