第17話鳴りやまぬ応援ソング

 壮大な愛の歌、とかではなく。

 幼い頃に歌っていた、横浜市歌だったりする。

 リラックスしているとだ。心が歌いだす。止まらない。

 元来がAパート、Bパート、Aパートのサンドイッチ法で、ほとんど全パートがサビみたいな曲なのでエンドレスで流れる。

 心がいちいち共鳴するもんだから、声帯も無意識に震える。止まらない。止まらない……。


 リラックスしているときなのだから、いい気なもんだと思われそうだが、すみません。イライラしております。いつまでたっても、終らないのだ。

『わーがぁひのもとは、しーまぐぅによー♪』(Aパート)から、

『さーればー、みなーとのー、数おーおかーれどー♪』(Bパート)へ入ってすぐまた、

『いーまぁは、ももふね、もーもちっぶっねー♪』(Aパート)へ還るのだが、

『かーざるたっかっらも、いりくるみーなとー♪』と締めた後すぐにまた、Bパートがくる。

 本来はこない。終わるはずだ。なのに、また

『さーればー♪』と歌いたくなってしまい、心は素直に歌いだす。エンドレス。


 どこまで横浜が好きなのか。

 頭がおかしくなりそうなので、無理やりアニソンをぶち込んでみたりする。ラストは『アイドル戦士ミラクルちゅーんず!』の「キャッチミー」を流す。ちゃんとキャラクターの声が再生されるが、しばらくして止んだ。チャンスだ! と思ってこれを書く。

 一応反省はしているのだ。

 困った困ったといいながら、結局全曲歌えてしまう横浜市歌なのに、『ミラクルちゅーんず!』はサビしか憶えてない。アップテンポなのでろれつが回らず、ろくろく練習してないからだ。


 練習といえば、最近(昨日だが)高いところでカラスの若いのが、うがいをするような声でカラスらしい鳴き方を練習してる姿を見た。

「アー、グア、ゲア、ゴロ、ニャアゴロ、グル、ガア」

 という様子で、たまにちゃんと「かあ、があ」と鳴けるのだが、腹から発声できてない。それを二日続けて聴いた。今日は複数いたもよう。

 おかしいんだ。

 本来ならテリトリー争いになりそうな距離感で「グアラ、ガア」「ガラガラ」と鳴きあっている。きょうだいかもしれない。ならば巣立ちに向けて訓練中なのだろう。かわゆい。

 兎神 入鹿さんのカクヨム作品では、よく銀製の腕時計を巣に運んで騒動を起こしたりするカラスだけれども。わたくしはわりと好きである。

 近所でゴミを荒らされたりした人はむかむかするのであろうけれども、日本には「烏の濡れ羽色」という色の表現があり、実際に近くで見ると、近所の丸々太ったカラスの羽は黒々としていて、なおかつ緑の光沢があり、美しい。「みどりなす黒髪」とはああいったものをいうのだろう、と中学生の時思ったのを憶えている。

 嫌われ者だが、胸をはって生きている。いじらしい生き物だ。

 そしてユネスコ無形文化遺産に登録された「やまあげ祭」は、那須烏山市でおこなわれる。

 とりやま先生の「鳥」ではなく、「烏」と書いて、からす、とおよみくださいませ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る