第11話男ほど子育てをすべきだ
子育てには、社会的文化背景が如実に表れます。
今、横浜では小学校三年生まで医療費控除となっていますから、ただで病院にかかれる。ちょっとしたことでも、すぐに相談に乗ってもらえるのです。家計にやさしい。大変助かる制度で、ちょこまかと動き回ってははしかだのインフルエンザだのを持ちかえってくる男の子×3な親戚の家は喜んでいます。
いいおとなの影響でわたくしは思うのですが、男性は元来子育てに参加しないのが動物界での常識です。子守をするとすれば、尻尾で子猫をじゃらすとか、社会の規範を教えるとか、教育的な側面でしか接していかないというイメージがあります。
子供は父親の背中を見て育つといいますが、父親は子供に背中ばかりむけていていいのでしょうか? たまの休みに向き合うぐらい、した方がいいのではないでしょうか?
母親だけに子育てを任せると、女性側のレベルで子供の発育が決まる、などという俗説がまかり通ってしまいます。そんなことを言ったら、子供がバカなことをするのを止められない母親は無用かつ無能なのでしょうか?
独りで子供を作るわけではないのだし、産まれてからも責任をとったらいいのではないか? 仕事さえできればいいというものでもないのだし。
まあ、子供と接するのは、平和と安全について考えるよいきっかけにもなります。気づかされることもたくさんある。
母親は、お腹に子を宿したときから、日々気づきの毎日です。安定するまでは無茶はできないし、かかとの高い靴は履けないし、独りで家事を務めるのもしんどい。シャンプーも三日に一度になる。安定してからも、ちょっとした段差や滑りやすい場所など危険はたくさん。買い物にものんびり行けないのに、大災害などあろうものなら母子共に無事でいられる可能性のうすら寒いこと。
男性はそこのところをスルーして父親になるのだから、のんきなものじゃありませんか?
保健体育も家庭科も男女混合で行う学校で育ったなら、親になってできることが増えるのを実感することでしょう。友達に自慢してもいい。妻に尋ねてみてもいい。あなたは立派な父親ですと。だから、父親の権利として子供に関わってよいのです。
育てもしない子供に父親面をするのは最低です。子供は思いっきりシラケます。そんなあなたを相手にしないからといって、妻以外の女性に手をつけるなどもってのほか。社会的害悪であり、子供にとって最大の敵です。子供にはそういう父親は情けない、卑劣でどうしようもないゴミくずに映るし、子供は育てられたように育ちます。親が言行不一致だと、人間不信に育つし、自分でもいい加減なことを言って人をだますことでしょう。
夫婦喧嘩ばかりする親を見て育った子供は結婚を望まないし、外面ばかり取り繕う親の子は陰で悪さをします。わたくしがいい例です。親のせいにできるのは十代までですけれど。
もちろん、全ての親がパーフェクトでなければならないというのではありません。ただ、考えてみて欲しいのです。赤ん坊は生まれたときからパーフェクトです。五体満足でさえなくとも、その心にかけたところなどないのです。愚かになって、恋をして、子を成したことをいけないというのではありません。赤ん坊が完璧なのは当然なのです。
赤ん坊がうじうじ悩みますか? リア充爆発しろとか叫びますか? そんな大人を傍目で見て、大人になりたくないとは思うでしょうね。それも一つのゆがみではありませんか?
親を尊敬できない子供は不幸でしょう。自分のルーツを信じられないから、自分の血を恨み、自分を傷つけます。無意識のうちにでも断種してしまう。そんなものです。
IQの高い、冷淡な母親に育てられるよりも、学はなくともやさしい母親に育てられた子供の知能は高くなる、という説が昔ありました。ならば、仕事ができるけれども子育てをしない父親よりも、妻にやさしくモラルを大切にし、家事労働その他を一緒に教えてくれる父親に育てられた子供の方が幸福度は高いのではないでしょうか?
幸福度、というのは、自己採点です。その心が気力充分か、充実しているか、他からは見えません。だからこそ、心の充実をはかり、幸せな未来を築いていくことが世の中のためであるし、男性が子育てをするのは日本のためだとわたくしは思います。
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