第7話 マナ。
抗うことさえも許されないこの場所で、今日もまた眩い夜は暗い街を包み、あたしが生きていく理由をひとつずつ暴いていく。
マニュアル化された疑似恋愛を売りつける度に、あたしはいつも心を殺すんだ。
そして、蛍光ピンクのペンで塗り潰された指名ランキングのグラフは、ただ淡々とリアルを映す。
いつもいつも不安で、身体を売ることにときどき恐怖感を覚えて、暗闇を手探りで歩いている本名のあたしは、ワンルームのマンションのエントランスに置き去りにしてきた。
誰でもよかったくせに、あたしのこの身体は、あの人に壊されたくて涙が出るよ。
朝がこの街を鮮明に包んだら、あたしの口から吐き出した数え切れない嘘が露わになってしまうことが、今はとても怖いんだ。
明けない夜を望んでいる。
もう、ずっと前から、ずっと。
あたしの名前を呼んでくれた、最初で最後のあの人。
今、なにをしているんだろう。
今、どこにいるんだろう。
今、誰と時間を分け合っているんだろう。
会いたいと思った瞬間、あたしは誰よりも、弱くなる。
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