第24話

 風の魔法で速度を落とし、ウィチアたちはゆっくりと最下層に到着する。

 澄み切った風が地下であることを忘却させ、周囲の壁一面の青白く輝く文字が、空間を照らす。

 この空間がいったい、どれだけ広いのか、分からない。

 凹凸のない平坦で、大きな岩が浮遊する、幻想の世界がそこにはあった。


「……これは!」


 ウィチアは青白く発光する文字を見つめる。

 なんとか、ギリギリ視認できるほどの大きさだが、その文字はウィチアが散々に調べた文字だった。


「君が見せてくれた封印の術式ってやつかい?」


 ミルトに一度可視化して見せたアンロックの封印術。

 文字こそ異なるが、使われている言語は同じものだ。


「それだけじゃねえ。そこら中に……術や魔導器に使われてる術式が書かれている」

「ということは……どういうことだい?」

「全ての魔法も、全ての魔導器もここで管理されているってことだ……!」


 三人はウィチアの言葉にそんなまさか信じられないと口にするが、術に使われている文字を調べたウィチアには分かる。

 全てがここで管理されているのだ。

 人が使う魔法も、人に与えられた魔導器も、全て。


「魔導器はダンジョンで作られているものなのよ? ダンジョンがあって、初めて稼働するって考えても自然じゃないの?」

「そうだが……魔法も管理されているなんて、聞いてないぞ!」


 ウィチアが考えている中、目の前に黒い雲が立ちこめる。

 それは一カ所に集まり、やがて人の形へと姿を変えていく。

 ウィチア以外の全員が、黒い雲を警戒し、臨戦態勢をとる。


「たどり着けなくとも良かったのに。あたくしの前に現れるなんて、さすがあの人の娘ね」


 黒い雲はやがて、霧散していき一人の女性が姿を現す。

 黒いとんがり帽子に、ドレスと折衷した妖艶なデザインのローブ。

 大きな魔導石を先端につけた、王族が使っているような長い錫杖。

 とてもではないが、百年を生きた老婆とは思えぬ美女。

 ウィチアは彼女の姿を見て、涙を零す。


「ママ……!」

「ここまでたどり着けたのね、ウィチア。あたくしの妨害を乗り越え、あの男と同じ方法で来るとは」


 初めて、彼女に出会えた。

 産まれた時から亡くなったと聞かされていた、尊敬する存在に。

 ウィチアは溢れるばかりの喜びから涙を零す中……ブルーナは、ウィチアの気持ちを知ってか知らずかグロウディアに向かって走って行く。


「グロウディア・ソーサレス! 覚悟!」


 ブルーナは右手に黒く、小さな塊を手に持って走る。

 グロウディアが使ったとされる魔法、マイクロブラックホール。

 だが、ブルーナの右手首は、容易くグロウディアに握られる。


「マイクロブラックホール。あたくしが作った魔法……の模造品ですわね」

「貴様の使う魔法とは遠いだろうが。我の妹を殺した魔法で息の根を止める」

「その魔法は、あたくしが与えたものじゃないですわね。無理矢理組み合わせて完成させた模造品(コピー)」

「そうだ……そうや! 我の妹が、殺された時に使った魔法や!」

「たしかに、本質をついていてよ。星の核、光を飲み込む重力場。けれど、それはあたくしの魔法。あたくしの許可された魔法以外は使ってはダメよ」


 グロウディアはブルーナを風の魔法で身体を浮かすと、容易く吹き飛ばす。

 ブルーナの作り出したマイクロブラックホールは……グロウディアの手の上で浮かんでいた。


「理論もよく知らないで魔法を真似て。もし、この星を飲み込むほど成長してしまったらどうする気だったのかしら。自然消滅するほどの半径しか持ってなかったのが幸いでしたわ」


 グロウディアは宙に浮いた黒い塊を握り潰すと、ブルーナの魔法は消えてしまう。

 ブルーナの魔法でもグロウディアには適わない。

 それでも、復讐に燃える騎士は立ち上がった。


「あいにく。あんたを倒すためやったら、星くらい潰したるわ……!」

「まあ、怖い。あたくしとの力の差を前に諦めないなんて、見上げた根性ですわ」


 口元を手で隠しながら上品に笑うグロウディア。

 余裕たっぷりの彼女を前に、ブルーナは……震えていた。

 彼女は一度は諦め、逃げ出した相手なのだ。

 だが、この二戦目は違う。


「お前んとこの娘に、諦めたら終わりだって言われたんや……! あんたを前にして、逃げ出したら、我の気持ちも、生きた証しも全部終わりや……! 妹が生きた証しも!」


 ブルーナは再び魔法を唱えては、軽く受け流され、その度に傷ついていく。

 それでも彼女は立ち上がりながら、戦いを続ける。


「ウィチア! 彼女を止めないと! 壊れちゃうわ!」

「止められっかよ……あいつの目的は、ママを倒すこと。あいつは……もう一人の私なんだ」

「どっちも死んでいいって言うの!?」


 ブルーナが氷の槍で貫こうとしている中、グロウディアは余裕たっぷりに手を叩いた。

 何かを思い出したかのように。

 氷の槍はグロウディアにまで届かず、結界によって阻まれる。


「あなた、随分と垢抜けたから分からなかったけれど、十年前に生贄にした女の子のお姉さんね。百年も生きると、子供の成長が早く感じていけませんわ」

「よぉーく覚えとったな! 我は、そん時、情けなく逃げ出した姉や!」

「ええ。せっかく、生贄にしようと思ったのに、一目散に逃げるんですもの。妹さんが会いたがってますわよ」


 妹のところにまで送ってやるぞ、とでも言っているように聞こえたが、ウィチアにはそれ以上におぞましい言葉に聞こえた。

 何か、恐ろしいことを言っているような。

 グロウディアはローブの腹の部分を破く。


「なっ……! 化け物め……!」


 破れた先に広がるのは肌色ではない。

 血液のような紅。

 それも、ガラスの容器に血液で満たしたような光景にブルーナは顔が引きつる。


「化け物? ああ、あたくしの美しさが理解されないなんて。今の子供たちのセンスは分からないわ。ほら、挨拶してあげなさい、ミストル」


 グロウディアの腹で広がる血の海を泳ぐ一人の人間。

 それが、ウィチアが絵画で見た、ブルーナの妹だという少女そっくり……いや、そのものだった。


「ミストル……! 貴様、ミストルを……!」


 グロウディアの腹部で広がる光景は、人間のそれとは思えなかった。

 紅い海の中で大勢の少女たちが苦悶の表情で泳ぎ、出口のない閉じられた世界を彷徨っている。

 彼女たちは、グロウディア・ソーサレスが百年を生きるために生贄にされた者。

 つまり、グロウディア・ソーサレスが犯した罪の数と、魂たちの牢獄だった。


「あら? まだ逃げないのかしら?」

「そんなん見せつけられて余計に逃げられへんわ! ミストルの魂は、腹の中に囚われとる言うことやろ!」

「どう解釈されても結構ですわ」


 ブルーナとグロウディアの死闘は続く。

 だが、その戦いは一方的なもので、力の差は歴然だった。


「ここにいる全員が、あたくしの永遠の美貌と命の糧となる」


 その言葉を聞いた途端、ミルトは逃げ出した。

 魔法をロクに扱えない彼では天井にポッカリと空いた穴まで手が届かないだろうが、一目散に走る。


「大した金になりそうになかったんでね。僕は先に帰らせてもらうよ」


 ミルトは距離を取ると天井に向けて魔導器を向ける。

 鉤のついた縄が装着された魔導器。

 いや、それは魔導器ではなくミルトがよく使っている筒の武器に鉤をつけたものだった。


「おい、いきなり逃げる気かよ!」

「ウィチア! わたしたちもブルーナを連れて逃げるわよ!」

「どうして!?」

「どうしても何もないでしょ!? 分からないの、生贄の対象にされているっていうのが!? 親子の感動的対面って空気じゃないでしょ!?」

「それは……」

「とにかく、最下層に到着したのは間違いないわ! もう充分ね、引きましょう!」


 風の魔法で浮き上がるセレスだったが、グロウディアが錫杖で地面を叩くと、彼女に纏っていた風が急に止まった。

 異変はそれだけではなく、我先に逃げ出そうとしていたミルトは筒に取り付けられたハンマーを倒しているが反応はなく、数々の魔法で戦っていたブルーナも魔法が使えなくなっていた。


「魔法を取り上げたのか!?」

「ご明察。さすがあたくしの娘ね。ただ、取り上げたって言い方は良くないですわ。返してもらった。そういうことです」

「返して、だと……!?」


 世界に溢れる魔法と魔導器がダンジョンの最下層で管理されているならば、それを使う人間の魔法ですら管理されている。

 その言葉がどれほど恐ろしい意味を含んでいるか、ウィチアは考えたくもなかった。


「この世界はあたくしが管理している。魔法も、魔導器も、あたくしが支配したビジネスですわ」


 ああ、そういえば夫婦だったな、とウィチアは遠い目で尊敬する母親を見つめた。

 また、ビジネスか。


「バカな!? 我の魔法も、ダンジョンを冒険する奴らにも魔法を与えとった言うことか!? 到達させるんも承知で!?」

「到達させるものではありませんわ。ギリギリ到達させないようにする。ダンジョン内で魔法を使わせて、あたくしの生贄となる」

「魔法を与えといて、ダンジョンで使わせて……吸収して、力にしていた……ダンジョンに入るものは全員生贄やと?」

「画期的なビジネスですわ。あたくしがダンジョンを作り、魔法を与えて、シャドーと魔導器を与える。冒険者たちはあたくしに魔法を献上し、力を得る。そして、新しい力を得たら、新しい魔導器を与える。無限のビジネス」

「我も……我の力も、全部利用されてたやなんて」


 全ての魔法はグロウディア・ソーサレスによる無限の環によって成り立つと言うのであれば。

 人類に与えられた魔法は全て、グロウディア・ソーサレスに力を与えるための装置。

 冒険者たちがグロウディアに力を与え、グロウディアが冒険者たちに力を与える。


「どうしてわたしたちの魔法を奪うの!? どうして生きている人間の生贄が必要なの!?」


 今までは戦う素振りを見せなかったセレスも、今では拳を握りしめ、臨戦態勢に入っている。

 だが、すでにセレスの魔法は全て取り上げられ、戦うこともできない。

 戦うと決めるまでが遅すぎたのだ。


「ダンジョンから得られる魔力は力の源。でも、たまには美味しい食事がしたいもの。それと一緒」

「一緒って……我の妹はお前の気まぐれで生贄にされたって言うんか!?」

「そうよ。だって、美貌を保つ秘訣は、感性を磨くことにもあると思うもの」


 ビジネスと美。

 偉大なる魔女と尊敬していた母親は、まぎれもない犯罪者だった。

 その凶悪な本性を前にブルーナやセレスは竦んでいる。


「ちょうど、来賓も来たことだし。豪華な食事を堪能させていただきますわ」


 錫杖で地面を叩かれ、先端につけられた魔導石は、紫紺色に輝く。

 ただただ呆然とその光景を見ていたウィチアは、何もせずに見ていた。


「ほら、消えなさいな」


 錫杖から放たれた光がウィチアたちに迫ってくる。

 轟音を伴い、熱風が肌をじりじりと焼き、光は迫るにつれて激しさを増していく。

 ただ、光を見つめ続ける中、突然何かが覆い被さった。


「……全く、あんたって子は」


 聞き慣れたセレスの声にハッと気づき、彼女は……ウィチアの目の前で顔を合わせていた。


「世間に認められたくて、世界に認められたくて。女の子なのに危なっかしい真似ばかりして、刹那的にしか生きようとしなくて。どうして死に急ぐような真似しかできないのかしら」

「セレス?」

「生きて……しっかりと生きて、名声を得なさい。……でないと承知しないんだから」


 彼女はゆっくりと倒れていく。

 そんな中でも、ウィチアはただただ見ていることしかできなかった。

 周りにいるブルーナも、ミルトも倒れてしまい、横たわっている。


「あら、全員生きているなんて、しぶといですわね」

「ママ……!」

「ウィチア。あなたの魔法ならこれくらい防げると思って試したつもりだったのに。どうして防がなかったのかしら?」

「……アンロックしか使えないから」

「それは本気で言っていることなのかしら? アンロックなんて、便利魔法の一つでしかないものを」

「ママは教えてくれなかった。私に魔法を、何一つ。教えてくれずに消えちゃったから」

「さっきから何を言っていることやら。魔女(ソーサレス)の血族であれば、魔法なんて自力で習得できますわ」

「でも……! 私は……!」

「感じるでしょう、ウィチア。このダンジョンが魔女の血族に力を与え、ドレイン、ドリーム、タイム。それらの魔法がさらに強くなっていく感覚を」

「知らない。そんな魔法は知らない! 私にはアンロックしか」

「……あなたの言うことは本当のようね。いったい、なんの用でここまで来たのかしら? あたくしに会うため? 単純にここまで来たかったから? それともあたくしに彼氏を紹介しに来たとか?」


 ミルトを指さすグロウディアだったが、暴力を振るってきた男を彼氏扱いされるのは不快だった。


「違う……私が会いに来たのは、私は世界に認められる魔女になるためだ!」


 グロウディアは錫杖を構えた。


「ああ。あたくしを倒して、世界を救った魔女になりたい……そういうことでしたの?」

「違う! 私は、ダンジョンの最下層に到達して、私は強いってことを、偉大なる魔女であることを証明したかった!」

「裏技を使ってここまで来たのに、すごいことなんてありませんわ。次は壁に穴を掘って来られないようにしておきますわ。まさか、あんな道があるなんて。あの人も同じことをしたのかしら?」


 母の言うとおりだった。

 ダンジョンの最下層は実力を伴ってたどり着ける場所であり、実力もなしにたどり着けたからなんの証明になるというのだ。

 だが、それだけではない。


「最下層に来れば、私は力を得られるかもしれない! アンロック以外の魔法を教えて……教えてよ……」

「……ウィチア。悪いけれども、魔女の血族が持つ魔法は、産まれた時に与えられたものしか手に持つことを許されません。あたくしが与えた魔法とは違うのですわ」

「じゃあ……登録の魔導器で私の魔力がゼロだったのは……私自身の魔力を持っていて、ママの魔力を持っていなかったから?」

「残念だけど、そのとおりですわ」


 グロウディアは残念そうに、ただただウィチアの両肩に手を乗せた。


「ああ、なんてこと。魔女の血族で唯一人、世界を掌握した魔女の娘がアンロックしか使えなかったなんて! かわいそうに、辛かったでしょ?」

「……うん。誰にも認めてくれなくて、誰もが力のない魔女だって、みんなが犯罪者の娘だって、蔑んで」

「もう魔女だと苦しまなくていいの。あたくしが手に入れた世界の半分をあなたに挙げるわ。人間共を支配しましょう、ウィチア」


 グロウディアはウィチアを抱きしめると、ウィチアはそのまま身を任せた。

 母の温もり、母との出会い。

 そして、偉大なる魔女の口から告げられる真実の数々と、ウィチアが求めた世界。

 全てが、ウィチアが求めるままに近寄ってくる。


「その前に聞かせて。世界を支配したとか、世界を救うってどういうこと?」

「話さないといけませんわね。ウィチア、これからあたくしたちがやるビジネスを」


 グロウディアはウィチアを解放すると、ゆっくりとウィチアの左手を掴む。

 長年果たされなかった親子で手を繋ぎ合う。

 ウィチアが求めた、母の温もりが手から伝わってくる。


「百年前、当時のルルラシア王国は止まらない物価の上昇に国民たちは苦しんでいたの。魔導器はなくても国民たちの生活水準が目に止まらない速度で上がっていましたわ。聡明なあなたなら、国民が増えるということはどういうことか分かりますわよね?」

「国民が増えて、生活水準が上がれば、資源の枯渇が激しくなる」

「そうですわ。物価は上昇していく中で欲望は強くなっていきましたの。隣の家で欲しいものがあれば、自分たちも欲しくなるように、心の貧乏に国民たちは支配されてましたの」

「だから、ママは魔導器を与えたの?」

「それでは慈善事業になりますの。あたくしが注目したのは、国家がビジネスに屈していたことでしたわ。彼らは国民たちの生活水準を下げることはできませんでした。枯渇していく資源よりも、国民たちの支持。世界が滅ぼうと刹那的な利益ばかりを重視し、次から次へと食物や便利な物品を求め続けましたわ」

「それが、ビジネスによる支配。世界を掌握したビジネスって話?」

「あたくしは魔法を循環させる魔法、ダンジョンを作りましたの。彼らは今までの生活を大きく、そして、あらゆることを可能にする魔導器を無限に求めましたわ。そう、世界は無限の豊かさの前に支配されたのです」

「それで……世界中の人々に魔法と魔導器を与えて、ママが魔力をもらう無限の環を作って、世界のビジネスを支配したんだね」

「人間は愚かですもの。幸福を求めようとものを求めますわ。でも、ものでは幸福は満たされない」

「願望を叶えてこそ、幸福は満たされる?」


 ウィチアの質問に、グロウディアは怪訝な顔で答えた。


「違いますわ。全てを手に入れてこそ、人間は幸福になるのです。選ばれた人間だけが幸福を手にし、全ての物品も金も、美貌までをも満足行くまで手に入れる。あたくしをご覧なさい」

「ママは世界も、命も、若さですら全部手に入れたもんね」

「願いなんて下らない。それで無限の欲求が満たせませんわ。愚かなことを言わないでちょうだい」


 グロウディアは、倒れたセレスたちを一瞥すると、何かに気づいたかのように彼女たちに近づいた。


「あなたが悪い影響を受けたのは、この子たちが原因ね」

「別にそいつらから、夢を受け取ったわけじゃないよ」

「夢? そんなものになんの価値があるというの? ああ、ウィチア。幸福の人生を手に入れる欲求を夢と言っているのね。大丈夫、あなたに幸福な人生をあたくしが分け与えてあげる」


 錫杖を大きく掲げるグロウディアにウィチアただ、彼女の袖を掴んだ。


「ママ、待って欲しいの」

「あら? どうかしたのかしら? 殺して欲しくないの?」

「そいつらは必要になるから、殺されると困るんだ」

「必要? ああ、あなたも彼女たちの血が必要になったのね。いいわ、ドレインで一生、一緒に生きていけるようにしてあげる」


 母親が腹に浮かび上がった吸血した人間たちの住み処。

 彼女たちがグロウディアに力を与えているのならば、ウィチアもセレスたちの力を吸収することで、力を得られるのだろう。

 だが、そんな力はウィチアの望んだものではない。

 本当に欲しいものは……。


「違う。とっても大事なことに必要だから。私は目的のためなら手段を選ばないから」


 ウィチアは、杖を取り出すと、グロウディアに向けた。


「ママが築き上げた世界を。支配された世界を、私が全部手に入れる夢。世界を半分なんて足りないよ」

「…………」

「だからね――支配したビジネスを、この偉大なる魔女、ウィチア・バルファムートが、グロウディア・ソーサレスから世界を奪い、手に入れる! この世界を支配するのは、このウィチア・バルファムート様だ!」


 杖に込める力が自然と強くなる。

 それがウィチアの願い。

 世界に、人に認められること。

 そのためならば、母親とだって、戦える。

 世界を救うだとかそんなバカげたものには興味がない。

 ただただ、認められるための手段を選ばないだけだ。


「……そういうこと。世界の半分じゃあ満足できないというのね?」

「私の願いをバカにする奴は、ママでも許さない! 私は、金も、ビジネスも、若さも、必要もねえ! 欲しいのは、世界に認められること! 人々に、ウィチア・バルファムートを焼き付けること! それが、偉大なる魔女の生き様だ!」

「生き様? 焼き付ける? そんなものが何になると言うのです。価値あるものじゃないでしょ。目を覚ましなさいな」

「価値は……私が決める! 私は伝説を残す! それだけが、私の願い! それが私の欲望!」

「だから、それの価値が分からないと言っているのですわ」

「……だって、分かるわけないよ。生きた証しを世界に刻みたいって願い。私には力がないから」


 グロウディアはため息を一つ漏らすと、錫杖で地面を叩いた。

 ただ、彼女の口端は釣り上がっていた。

 子供のような、無邪気さすら感じさせる。


「ウィチア。あなたは世界のために戦うなんて、バカげたことを言わない辺り、あたくしの娘ですわね」

「そんなもののために戦うなんて言うかよ。私は世界に、存在を焼き付かせること。見下した奴らを見返し、私が世界を支配してやる! そんで、私が神だと、支配者だと高らかに宣言してやる! 全人類滅べ!」

「ぷっ! あっははは! 面白い娘ですこと。そんなもののためにあたくしにケンカを売るというの?」

「そうだ。世界を支配したママを倒したら、今度は私が世界を支配できる」

「とんだ反抗期ねぇ」

「……親不孝もので、ごめんなさい」

「謝るなんて許さないわ。決めたなら欲望のままに奪い取りなさいな。あたくしと同じように」


 グロウディア・ソーサレスは錫杖をカンカンと鳴らすと、魔導石をウィチアに向ける。

 ウィチアは、倒れた仲間たちを背に、深呼吸をした。

 杖を胸に添えて、祈りながら杖を持つ。


「力がない、才能はない、犯罪者の娘だと散々にバカにされてきた。ここに来たのも、普通の手段じゃない。実力も伴ってない。けど、私は絶望的な状況に追い込まれても、勝ってきた」

「今度も勝てるかしら?」

「勝つ。ここにいる二人には勝っている。私よりも強くて、恐ろしくて、死にかけて。それでも私は勝ってきた。まぐれや介入があっても。だから、次も勝つ!」


 ウィチアは……グロウディアに向けて走り出す。

 彼女を倒して、世界に認められる魔女になるために。


「偉大なる魔女、ウィチア・バルファムートが、偉大なる魔女に挑む! その伝説の証人になれ!」


 もたもたと走るウィチアに、グロウディアは一歩たりとも動こうとしない。


「別に勝てなくても、世界の半分を挙げると言ってますのに」


 グロウディアは錫杖を地面に叩くと、ウィチアの周りを囲うように封印術が現れる。

 セレスやブルーナたちが使っていた空気やら音やらを通してしまう封印術や、アリーナにあった音も遮断する結界術よりも遙かに上の封印術。

 時すらも通さない、時間停止の封印術だった。


「娘とは争いたくないあたくしの気持ち。分かって欲しいものですわ」


 時間停止の封印術に封印される中、ウィチアはグロウディアに手を伸ばす。

 だが、封印術はウィチアの動きを止めてしまった。


「ああ、かわいそうに。どうしてこんな子に育ってしまったのかしら?」


 封印されたウィチアの手に触れるようにグロウディアは手を重ねる。


「お前たちがこの子に悪い影響を与えたのは間違いないようね。起きてるのでしょ?」


 ウィチアの背後から、声が聞こえる。

 ウィチアのパーティー一向だ。

 だが、そのパーティー全員の声は、声を絞り出すのもようやくなほど、ヒドく小さな声だった。


「……違うわよ。その子は刹那的で、いっつもその場のことしか考えられない子なのよ」

「世界に目が眩むなんて。半分で満足しておけばいいのに。無謀なことを」

「……でも、ウィチア・バルファムートは目的のためなら諦めへん。何度もぶつかりよる」


 ウィチアの生き様を知る三人だからこそ、どこにも心配して気を遣う言葉などない。

 まるでさも当然のように、封印から飛び出してくるように。


「無理ですわ。あの空間に閉じ込められれば身動きも、声も届かない。魔法は届きますが……あなたたちには、高度な魔法をアンロックできると言うのですか?」

「無理ね」

「ほら、ご覧なさい。多少、魔法の心得はあるようですが、ウィチアは魔法に不便している様子。あの子のお腹の中で力を与えて欲しいのですわ」

「それは必要ないわ」

「どういう意味ですの?」

「すぐに分かるから。あの子がどんな想いで認められたいのか」


 弱くても、誰にも認めてもらえなくても、立ち上がる。

 ボロボロになっても、死ぬかもしれなくても、価値が見いだせないと言われても。

 それでもウィチア・バルファムートは生き様を変えることも、諦めることはない。

 何度でも食らいついて、何度でも挑みながら死んでいく。

 それが、ウィチアにとって大事な生きるための死なのだ。


「私は偉大なる魔女、ウィチア・バルファムート! 悪魔にも魔女にも魂を売る必要はない! 私に与えられた、アンロックだけで世界を支配してやる!」

「ウィチア……!? 時の中に取り残されたのでは……!」


 ウィチアは、時の封印術の中でグロウディアを見つめると、彼女は驚きを隠せずに一歩、後ろに退いた。

 時間停止の封印術に囲まれながらも、ウィチアは自由に動き、封印術を完全に解除する。


「いったい、どういう魔法ですの? 時間が停止した中でアンロックなどできませんわ」

「簡単だ。ママならすぐに分かってくれる」


 以前、ウィチアはブルーナが使ったバインドの魔法に捕まった時がある。

 その時は反応が追いつかずに捕まってしまった。

 なら、どうすればいいかを考えた結果だ。


「アンロックを全種類、常に自分へかけ続けていただけだ。四六時中、寝ている時もずっと」

「「はぁ!?」」


 ブルーナとグロウディアは一緒に眉がハの字に、口がへの字になる。

 理解してもらえると思っていたが、そんなことはなかった。


「アンロックをずっと!? しかも、全種類やと!?」

「世界にどれだけの封印術があるか知ってますの!?」

「しっかも寝てる時もかけ続けるって、頭の中でずっと難しい数式を解き続けた上に、繰り返してるってことやぞ!?」

「しかもこの世にある数式を同時に全て並行して解いている状態……なんてあり得ないですわ。どうせ、かけられる魔法を裏読みして――」


 一緒になって集中砲火を受けるウィチアだったが、聞くに堪えず、耳に小指を突っ込んで聞き流していた。

 随分と憎んでいる人間と仲良くなっているなと、全く別のことを考えながら。


「裏読みなんてできないから。だから楽しようと思ってな」

「魔力を消費し続けるんやぞ! 楽なわけあるかい!」

「脳もパンクしますわ! 楽なわけないでしょう!」

「そうなのか?」


 ウィチアはよく分からなかった。

 それがどれほどすごいことなのか、この世にある封印術を並行して考え続ける程度なのに。


「嘘や……マジで言っとる……」

「全ての力がアンロックに傾いてますわ……」


 右手は相変わらず使えないが、左手や足が曲がることを確認する。


「私にはアンロックしかなかった。それしかないなら、認められるためならアンロックを究めるしかないだろ」

「アンロックを究めるって……アンロックだけでここまで究めたのは素晴らしいですわ。けれども逆を言えば、アンロックしか使えない。この炎を躱せませんわ」


 グロウディアの錫杖に備え付けられた魔導石から炎が浮かび上がる。

 火炎球が飛んでくる前にウィチアはアンロックで、錫杖に浮かんだ炎を消した。


「さっきは油断したけど……今度は使わせない」

「あなた、ディスペルも使えたのね」

「違う。これはアンロックだ!」


 狐につつまれたように、グロウディアは錫杖を確認する。


「アンロックは結合状態を解除する魔法……でしたわね。魔法による封印や、錠前などの結合状態を解除する便利魔法。あたくしのダンジョンでも、宝箱を作り、アンロックさせていましたが……」

「結合状態や封印状態を解除できるんなら、魔法を分解することだって自然な考えだ」

「自然じゃあありませんわ! あなたは、どこまでアンロックを究めたというのですか!?」

「まだ私のアンロックは進化する! 立ち上がる度に、戦う度に私は強くなる!」


 グロウディアは錫杖を見ながら、「本当にアンロックだ」と呆れたように言っている。

 そこまで娘が使う魔法が信じられないというのか。


「なら、もういいでしょう。そこまで力を身につけたと自慢するならば、戦うことを止めることも視野に入れなさいな」

「私はまだ、誰にも認めてもらえてねえ!」

「あたくしが認めてあげると言っています。それでもあなたはワガママを言うと承知しませんわ」

「欲望のままに世界を手に入れたクセによく言う。私は世界に認められたいんだ。私の力を、存在を!」

「なら、あなたがあたくしを倒しても、得られるのは世界を終わらせた汚名のみですわ」

「なにっ!?」

「ビジネスの解放、魔導器からの解放。それらを全て失えば、この国は混乱と不毛の大地が残るのみですわ」

「う、ぐ……それは……」


 グロウディア・ソーサレスが世界の経済を掌握したならば、彼女がいなくなることは、世界から魔導器がなくなるということ。

 そもそも、魔導器はただでさえ豊かな人々の生活に、さらに豊かさを与えるための道具。

 魔導器がなくなった社会は不便になるどころか、失った利便性を求めるために、百年前以上に浪費を求め、資源が枯渇するのは目に見える。


「ウィチア。あたくしを倒しても名声は得られませんわ。夢など、バカなことを言うのを止めるのです」

「私の夢は、ママにもバカにされたくない」

「なら、夢を肯定してあげますわ。けれどもあたくしを倒しても、夢とは真逆の結果に終わるのがオチ」

「……くっ、それは!」


 ウィチアは止まってしまった。

 今まで道に立ち塞がるものを全てなぎ倒す勢いで走り続けていたウィチアが、立ち尽くすことしかできなくなった。


「ウィチア・バルファムート! 我に言ったことは嘘やったんか!?」

「……言ったこと?」

「諦めないんやろうが! 我だってまだ諦めてへん!」


 ブルーナはふらつきながらも立ち上がる。

 魔力を奪われてしまい、戦う術はナイフによる攻撃しか行えないハズなのに、それでも彼女は立ち上がった。

 ただでさえ強敵だと分かっているのに、圧倒的に低い運動能力では勝つことなど困難だと分かっているだろうに。

 それでもブルーナは立ち上がる。


「どけ! お前が戦わんで諦めるなら、我が戦う! 世間様にワルもん扱いされても、かまへん! それが我の夢や!」


 セレスもふらつきながら立ち上がる。

 彼女も身体能力を向上や、破壊力のある魔法も使えなくなっていても、立ち上がり、ウィチアのもとへと歩く。


「あんたは危なくて、身の危険を考えなくて、命すら粗末にして生きてるけど……夢に向かってひたむきだったわ」


 セレスは自分で言っておきながら「違う違う」と首を振った。

 言いたかったのはそうではないと。


「ああ、もう。わたしまで感染してきちゃった。とにかく、あんたの危ない生き方を見ていて、怖くてここまで付いてきた。死なないで欲しい。でも、諦めてしまうのも、アレだけ目的に向かって全力疾走していたのに寂しいわ」


 セレスが語る中、ミルトはゆっくりと逃げていた。

 気づかれないように這いながら逃げていたようだが、セレスは足を掴むと彼を引っ張っていく。

 恐怖な光景に、ウィチアは夢に出てきそうだった。


「あー、僕は特に言うことはないけど。まあ、あれほど僕に殺されかけたクセに諦めるのが早いんだね。だったら僕のために命ごと消えてくれれば良かったのに」


 セレスは無言でミルトを執拗に殴り始めた。

 無言、無表情、無限の応酬にウィチアは恐怖を覚える。


「……ああ、そうだったな。私は、諦めることができない魔女だ」

「ウィチア。分かってますの? あたくしを倒したところで、世間は間違いなくあなたを糾弾しますわ。そこの子たちはあたくしを倒しても問題なさそうですが……あなたには戦う理由なんてないのです」

「……ある。私の夢を終わらせない。ここで諦めてしまったら、全てが終わる」

「諦めるのではなく、撤退や、妥協はできませんの?」

「そんな妥協はねえ。私は死ぬまでまっすぐ暴走し続けるしかねえ」

「……あたくしの娘に、変なことばかり教えて。唆した罪は重いですわ」


 グロウディアはゆっくりと地面から足が離れていく。

 ダンジョンの地下に彩られた文字は光がより一際強くなり、眩しさに目を開くことも困難になる。


「あたくしの魔法の全てをあなたたちにぶつけてあげますわ」


 薄目で空のグロウディアを見上げれば、その手には大きな黒い塊を手にしていた。


「世界中の人間や魔導器から魔法を奪ったのか!?」

「返してもらっただけですわ。少しだけ国王に文句を言われますが……仕方がないことですわ」

「国王様、相手にビジネスができるママはすごい……けど!」


 ウィチアはアンロックの魔法を黒い塊に向けるが、まるで変化を起きない。

 やがて、風もないのにウィチアたちは宙に浮かび上がる。


「これがブラックホールですわ。覚えときなさいな。星を飲み込む規模がどれほど危険なものか!」

「ママ!? 自滅する気か!?」

「あたくしのブラックホールはしっかりと封印術でコーティングしてますから大丈夫ですわ。ゆっくりとあなたたちを飲み込んだ後、じっくりと解除させてもらいます」

「なるほど、封印術のコーティングで邪魔してるわけか」

「そうですわ。あなたのアンロックがディスペル以上に強力なものであれば、封印術で何重にも薄く重ねがけすれば、こうして重力の調整もできますし、あなたのアンロックも届きませんわ」

「さすがママだなー。木の年輪みてえに重ねて、真ん中にはたどり着けないようにする。ダンジョンに長年こもっていることだけはあるな」


 百階ものダンジョンに冒険者たちを挑ませて、魔力を吸収し、自身のいる最終層までたどり着けないようにする。

 それとまるで、同じ。

 魔法の核を最後に添えて、薄い層を重ねて、封印を解除していけばブラックホールが威力を増すためにたどり着くことができない。

 なら、答えは決まっていた。


「人を通せるような弱い封印術も使いようだな! だが、この偉大なる魔女、ウィチア・バルファムート様には関係ねえ!」


 ウィチアは、足をバタバタさせると、自分からブラックホールに近づいていく。


「ウィチア!? 飲み込まれるつもりなの!?」


 セレスは止めてくれと叫ぶ。

 だが、抵抗する手段を失っている以上、命を賭けないと戦えないのだ。


「そうだ。ブラックホールがママとダンジョンと同じなら、裏技で最深部にたどり着くまで」


 封印術を一つ、また一つと乗り越えると重力が強くなっていくのか、身体の速度が上がっていく。

 ウィチアは身体が重力で潰される瀬戸際とアンロックのタイミングを計り……ブラックホールの核とそれを守る封印術を一瞬にして解いてみせた。


「あなたのアンロックはどこまで……! なら、直接、この手で!」


 重力場を失い、頭から落ちていく中、迫り来るグロウディアに対し、ウィチアは努めて無表情で見つめた。

 錫杖を大きく後ろに引き、魔力による身体強化で破壊力のある一撃を繰り出そうとしているのだろうが、それこそがウィチアの真の目的。


「ママ、ごめんなさい。あなたの命を、私にください」


 ウィチアはアンロックをグロウディアにかけた。

 身体強化を行う魔法や、空を飛ぶための魔法にではない。

 アンロックの本来とも言うべき用途、囚われた空間からの解放。

 すなわち、グロウディアの腹の中でもがき苦しんでいる魂たちの解放だった。


「ウィチア……ウィチア・バルファムートぉ……!」


 ウィチアもグロウディアも並んで落ちていく。

 その最中、グロウディアは口を大きく開き光を漏らしていた。

 怪物のような腹の中から少女たちは上を目指して泳いでいき、血を満たした液体は水位が減っていく。

 ぐしゃりと全員で落下した時には、グロウディア・ソーサレスの腹は、人間の皮膚に戻っていた。


「ああ、あたくしの美貌が……金が……音を立てて消えていく!」

「もう、生贄にした魂も、ダンジョンからの魔力供給も断ち切った。もう終わりだよ」

「……ウィチア。最期に……顔を見せてちょうだいな」


 地面に膝をついたグロウディアのすぐ側までウィチアは歩く。

 グロウディアは笑顔でウィチアの顔を撫でた。


「ああ、あたくしの子。素晴らしい魔女。素晴らしい魔力」

「……聞かせて欲しいことがあるんだ」

「その必要は、ありませんわ!」


 グロウディアはウィチアに抱きつくと、そのまま首筋に噛みついた。

 セレスはまるで自分のことのように叫ぶ中、ウィチアはただただ虚空を見据えている。


「知ってたよ。ママなら、間違いなく何かするって」

「ふふ。ならどうして近づいたんですの?」

「ママは、私が大事なようにしてるけど私を魔法で処理しようとしていた。時間停止の封印術で時を止めたのも、私を殺さないためじゃなくて、私を食糧として保存するためだって。私にそれほど愛情なんてないんだって」

「あたくしの魔法、ドレイン。魂と魔女(ソーサレス)の血族をあたくしの体内に取り込んで、力を我がものとする……ハズだったのに」


 グロウディアが首筋から離れ、ウィチアは首筋についた牙を手で払う。

 力なく倒れていく彼女を見つめることができず、ただただ虚空を見続けていた。


「アンロックでドレインの魔法に必要な牙を抜いたのね……アンロックだけでここまでやれるなんて、すごい子ですわ」

「私はアンロックしかできない落ちこぼれだけど……ママの子だから。愛を向けられなくても、落ちこぼれでも、私は……尊敬してるから」

 ウィチアは倒れた彼女をゆっくりと膝に乗せた。

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